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桜 石

桜石
 風化したホルンフェルスの中に、六角柱形をした塊が入っていることがあります。表面は土色なのですが、割ってみると中の色は、 白っぽい色でやや黄色や赤みがかっていることもあります。絹のような光沢があるのが特徴です。また、真ん中に円形の筋が見えます。円の大きさは、 柱の真ん中で割ったときは非常に小さく、端の方で割ると大きくなります。また、円から六角形の角に向かって六本の筋も見えます。 ちょうどよい位置で割ったときには六枚花びらの桜の花のように見えます。こういった特徴から、この石を桜石と呼ばれることがあります。
 桜石は、小さな絹雲母と呼ばれる鉱物が集まってできています。絹雲母は、いろいろな鉱物が風化したときにできます。 この場合は菫青石と呼ばれる鉱物から変わってできています。菫青石はもともと、青色をしたきれいな鉱物です。(背景の壁紙にも多数入っています) ホルンフェルス中では不純物が混ざるので、きれいな色になることは少ないようです。しかし、この時にすでに、 断面で円形や放射状に見られる筋はできています。変成岩中で、菫青石などの新しい鉱物ができるときに、結晶の形を整えていくものの、 周囲にあったじゃまな鉱物は中に取り込みながら生長していくためです。このようにして変成岩中で大きく生長した結晶を斑状変晶といいます。
 斑状変晶として、広域変成岩では斜長石の一種の曹長石(ソウチョウセキ)がよくできます。片麻岩で大きな曹長石の結晶が目立つ眼球状片麻岩や、 結晶片岩では白い斑点状のもの(アルバイトスポット)ができた点紋片岩などに見られます。いずれも不純物が多いので濁った感じがするのが特徴です。 ホルンフェルスでは、岩石中のマグネシウム含有量が多いと菫青石ができ、アルミニウム含有量が多いと紅柱石ができるといわれています。


分 類: 変成岩(接触変成岩) 
岩石名:  ホルンフェルス   
産 地:京都府亀岡市湯の花温泉



 菫青石(桜石)は、鉱物なので岩石として分類することができませんが、周囲の岩石中に入っているときから識別できますので、 これらを含む岩石として分類しています。




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