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散歩道の宝物



滝の拝
滝の拝
和歌山県古座川町滝ノ拝

 河床が平らで、一見普通の川のように見えます。よく見ると河床は小石がたまって平になったのではなく岩盤がむき出しになっています。 川は最大で4mも岩盤をえぐり急流となって流れています。最も奇妙なのは、河床の岩盤は上面は平らなの、 スコップで掘ったようなへこみが無数にあいていることです。
 上面が平なのは、水平な地層中に硬い層が挟まっていて、川の流れが、硬い層の上の軟らかい層を全て削り取ったからです。 写真より下流側の硬い層が削り去られた所では、階段状に低くなりふつうに砂利をためた河原ができています。硬い岩盤の上を流れる流れは、 少しでも深く削られたところに集中し、そこをさらに深くえぐった流れとなります。急流はこのようにしてできたのでしょう。
 岩盤にあるへこみはどのようにしてできたのでしょうか。一見石灰岩地帯にある石灰岩に似ています。水の流れに削られたと言うより、 溶かされてできたような感じです。石灰岩と違うのは、表面に雨の流れに溶かされてできた細かい筋が見えないことです。 石灰岩よりゆっくり水と反応してできたようです。岩石自体は、やや透明感のある白っぽい岩石で、黒い結晶が点在しています。 岩石は流紋岩としてよいでしょう。流紋岩は周囲の白亜紀−第三紀層の四万十層群より硬いので、削られず取り残されました。 また、流紋岩に含まれるガラスは、水とゆっくり反応して変質し軟らかくなっていきます。水たまりの底で軟らかくなり底だけが削られて、 だんだん深いくぼみを作っていきました。 風化したところが水流で削られてできたともいえます。そういった意味では甌穴といっていいのかも知れません
 ところで、流紋岩は地層ができたときに流れてきたものでしょうか。この地域では地層の堆積後も様々なマグマの活動がありました。 この時に上昇してきたマグマが地層のすき間に入り、あたかも地層を形成しているようにできることがあります。 このような火成岩の入り方を岩床と呼んでいます。

2011.06.26
岩石についてはシルト岩(定義されていない)とか地層名の書かれている書物などもあります。
甌穴としている文献もあります。最終的には水流といっしょに流されてきた土砂が削ってできます。 場所や形によってはそういってもいいものはあります。




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