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傘 岩
傘岩
岐阜県恵那市恵那峡

 下が狭く上が広がった形をしている岩です。花崗岩でできています。その形から「傘岩」と名付けられたようですが、どちらかといえばキノコのようです。 普通に「キノコ岩」と考えてもいいのですが、補足する必要があるようです。
 一つは、近くに大きな水の流れがありませんから、根元を大きくえぐるような力が働いていそうにないこと。 次にどのようにして上面が平らになったのかということです。 上面が傾いているのも気になります。周囲の様子も見ながら考えて見ることにします。
 この傘岩から20mほど離れたところに、千畳敷という奇勝があります。非常に平らな岩盤が露出しています。 ここの表面も、傘岩の上面と同じようにかたむいています。また、表面をまっすぐ広げていくと、傘岩の上面に一致することがわかります。 このことから、昔は千畳敷よりもっと広い平らな面があったことがわかります。平らな面は斜めにはできませんから、元々水平にできたものが、 後に斜めになったと考えられます。このとき同時に今の高さまで持ち上げられたと思われます。
 傘岩の上の方の岩の色を見ると、赤黒くなっているのがわかります。千畳敷の表面も同じような色をしています。 傘岩の下の方は、風化して少し削れやすくなっているようです。堅い花崗岩のままだとこのように、えぐられるように削られることはないからです。
 一度地表面が削られ平らになったときには、ある程度風化していたでしょう。その後の平らであった時代に、 地表面を流れていた水分か地下からしみ上がってきた水分かに含まれていた不純物が沈着し、表面付近の岩石に色がつくと同時に固められ、 浸食に対して抵抗力をつけるようになりました。
 その後は先に述べたとおりです。地面が持ち上げられると同時に傾きます。このことにより浸食力が復活し、傘岩側が削られ始めます。 こちら側に水流が集中したのかもしれません。傘岩側では、傘岩の部分がわずかに残されます。初めのうちは下の方に削られていましたが、 2mほど削られたところで、水流は横方向にも削りはじめ、傘岩の根元の部分が柔らかいために大きくえぐられていきます。
 隆起前に削られていなかったのは、傘岩が現在の重力方向に対して平行だからです。

 傘岩という奇勝は全国には他にもあるようです。多くは単純にキノコ岩としてもいいようですが、今回のような変形版もあるようです。

2015.01.09



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