地磁気と磁力線
磁石に鉄粉をつけると、両極を結ぶ筋のようなものができます。 その様子は右の写真のような形をしています。
このようになるは、鉄粉が磁石の周りにできる磁力線に沿って並んでできるためです。 従って、鉄粉の作る筋は磁石の磁力線といえます。
ところで、地球も大きな磁石なのでその周りにはその影響が及んでいます。 磁石が北をさすのはそのためです。
地球の磁石が関係する働きを地磁気といいます。 地磁気は磁力線に沿って伝えられます。
その形はどのようになっているのでしょうか。筋を針金で表す模型を作ってみました。
地球近くの地磁気
地球表面から1万kmくらいの高さまでだと、地球の中心に短い棒磁石をおいたのと同じような磁場ができます。
最初の写真と同じようなものです。この磁力線を針金で示した模型を作ることができます。
針金の作る線の方向が、磁石の針の指す方向になります。
詳しく見ると、地球の北磁極南磁極上に棒磁石があるというような単純ではないこともわかります。
模型を作ってみるとよくわかりますが、日本付近で磁力線の方向をみると西にふれずに東にふれてしまいます。
地球の磁力線は幾何学的な線になっていないからです。この問題を解決するために、
この模型では、地表での偏角・伏角に合わせて磁力線を作っています。
日本付近で磁力線の方向が北極の左(西)を向いているのに注目してください。
このようなことをしたために磁力線がかなりいびつな形になっています。
いびつになっているのはもう一つ転倒などによって針金が曲がってしまったことも原因しています。
地球磁気圏
地球表面からもっと離れると、地球磁気圏の形は太陽からの太陽風に流されて変形します。
そのため磁気圏の外側の形は彗星の形に似ているといわれています。
模型では右側に太陽があります。太陽側で約6万kmより高いところには地球の磁力線は届いていません。
それより高いところに行くはずだった磁力線は反り返って反対側にどこまでも流されていきます。
低いところを通る磁力線は、地表の南側から出て北側につながっていますが、
高いところの磁力線はつながりません。ちょうどその境目に磁力線の隙間(カスプといいます)ができます。
この隙間から、太陽からの荷電粒子が地球磁気圏に入り込み、その後極地方でオーロラとして光ります。
参考文献(ちょっと古いですが)
小口 高 神秘の光オーロラ NHKブックス
小口 高 宇宙空間の科学 NHKブックス
西田 篤弘 宇宙空間への招待 岩波新書