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ダイヤモンド結晶構造模型




ダイヤモンド結晶構造模型

ダイヤモンド結晶構造模型

 ダイヤモンドの結晶構造模型は市販の原子組み立てキットを使って作ることができます。右図は、その一例で、表面形が正八面体になるように組み立てました。 簡単に作れるのですが、大きな物を作ろうとすると数が必要になって、費用もかさんできます。そこで、安くできる、折り紙を使う方法を紹介します。
 この方法については、出典元が不明になっています。そこから折り方を簡略化したり応用しています。炭素原子の組立結晶模型の組立単位格子の組立ての順に紹介します。
 ボールで組み立て例BB弾で組み立て例も、比較のために紹介します。



炭素原子組み立て模型

 炭素原子は、周囲にある4つの炭素原子と共有結合しています。周囲の炭素原子は等間隔になるように位置しますので、その中心を結んでできる立体は、 正四面体になります。従って組み立ては、炭素原子を正四面体で作りその頂点に共有する炭素原子をつなげていく形になります。
炭素原子の折り方
 炭素原子を組み立てるには、縦横比1:1.44の長方形の用紙を用意します。ふつうの1:1.41の比の用紙でも作ることは可能です。
 折り方は右図Aの通りです。破線は、谷折りにするところです。矢印は折る方向を示しています。矢印の始まりの位置と先の位置を合わせます。 レ型の矢印は折った後元に戻し、折り目を入れるところを示しています。斜めの線の角度は60°になっています。 この角度は、図A2の折り方で作ることができます。60°が折れた状態を図A3で示しています。図A5では、できている折り目に沿って折ります。
 図A10では、白矢印の始まりを、先にあるすき間に差し込んでいます。この時、紙についている折れ目が重なるところまで差し込むと、 自然と正四面体に近い形になりますので、白Vの方向に押さえて形を整えます。
 この折り方はオリジナルの物から簡略化しています。オリジナルでは、紙の端が正四面体の面上に出ないようになっています。 簡単した分だけ、組み立てた原子の写真の中で左下の原子のように、見栄えが少し劣ります。
継ぎ手の折り方
 次に、原子をつなぐのに必要な継ぎ手を作ります。縦横比1:2.31の用紙を使います。 この時縦1の長さは図Aのたて1の長さの3分の1から4分の1くらいの長さにします。この用紙には右図Bのように折れ目を入れます。 点線は、山折りになります。この線の角度は角度は60°です。また、斜めの向きがもう一方の対角線の向きになっていても、 方向さえそろっていれば問題はありません。
 折り目ができたら、縦の谷折り線に沿って折り右端と左端の長方形を重ね、重なったところをのり付けします。できたら斜めの折り線で折り目を、 しかりと入れてできあがりです。この時筒状になっている中をのぞいて三角形で穴が見えないようにしてください。完成品は図B下のようになります。 上と下に、60°ねじれた正四面体ができています。 うまく作るには、折り目を入れた後、折り目に沿ってしっかり折り、正六角形になるまでしっかり折りたたんでおくのがこつです。

 原子と原子をつなぐには、原子の角にのりをつけ、継ぎ手を差し込みます。うまく差し込めるはずです。継ぎ手のあいた反対側にも原子をつけます。 つながった後、原子同士が60°ねじれているか確認してください。




ダイヤモンド結晶構造模型

原子の組み立て方  ダイヤモンドの結晶模型を作るには、炭素原子を継ぎ手をつないで組み立てていく事になります。実際には、継ぎ手のねじれがうまくつかないので、 よく注意していないと、いびつな形になってしまいます。基本的には、炭素原子6個で環になる構造を作るつもりで組み立てていきます。 適当につないで、これが結晶構造といってもいいのですが、できればダイヤモンドの形にしたいものです。ふつうダイヤモンドは正八面体をしています。 写真は、最小の個数で正八面体になる結晶構造模型です。炭素原子35個と継ぎ手52個を使っています。
 写真をよく見ると、模型を置いた台と平行な面にすき間ができています。そのため3層の構造になっているようにも見えます。 この層の境界面では、継ぎ手の数も少ないため、この面に沿って壊れやすいと推定されます。台には、正八面体の一面を載せていますので、 層の境界の面も、正八面体の各面に平行に存在するとわかります。よくダイヤモンドは硬く割れないと誤解されているのですが、実際には劈開があり、 このことは結晶構造模型からの推定と一致します。
 写真の結晶構造模型を各層ごとに分解し、上のものから順に並べてみると右図(C)のようになります。図で正三角形は炭素原子を表しています。 線の入っているものは上向き、ないものはさかさま、●印のついているものは上か下とつながっているものです。下2段は同じ形の裏表になっています。 写真の模型を作るには、右図のように各段を作ってから組み上げていく方が作りやすいようです。
結晶構造模型  六角形の環状構造を作るという基本構造を頭に入れながら、全体をイメージしながら組み立てていくともっと大きなものも作ることができます。 左写真は、倍の大きさに組み立てた結晶構造模型です。ついでに正六面体(立方体)になるようにも組み立ててみました(左写真右)。 2つを比べてみると、正六面体の方が、浮いている原子が多いため形がくずれやすいこと、 表面に原子がくっつきやすいため形がくずれやすいことがわかります。いずれにしても、正六面体は不安定な形で、正八面体は安定な形だとわかります。




ダイヤモンドの単位格子

 単位格子は、同じ物を上下左右前後に並べていって結晶構造を組み立てられる最小の形です。ダイヤモンドは、等軸晶形といって、 軸の基本になる長さがが上下左右前後等しく、全て直角に交わっていますので、単位格子の形は立方体(正六面体)になります。
 単位格子がどのようになるかを考えるためには、結晶構造の中に正六面体を探す必要があります。六角形の構造が目に入って探すのは大変です。じつは、、 最初の炭素原子組み立て図の中に、正六面体がかくれています。どこかわかりますか。ヒントは正六面体の面の数と正四面体の辺の数が同じということです。
1/2原子組み立て図  正四面体の各辺を対角線とする正方形6こが作る立体は正六面体になります。このことは、 炭素原子の模型で外側にある2個の炭素原子を机に乗るような形で置いてみるとよくわかります。安定が悪いので、ふつうはこのような置き方をしないので、 ちょっと思いつきにくい発想です。単位格子の写真の中をよく見ると、そのような置き方がされているのがわかります。
 それでも、この正四面体を積み上げたとしても、1個分ずらさないとうまくつながりません。そこで、 正四面体を前横上に組み合わせることで、このずれを解消させます。この時、1つおきに炭素原子が入らないブロックができます。 できあがった物が上の写真です。色分けした2つの単位格子を並べてみました。格子の枠を線で入れています。正四面体の関係にも注目してみてください。
 単位格子にするためには、少し工夫が必要です。格子の面上にある炭素原子は隣の格子にも入っていますので、 正四面体を半分に切った形の炭素原子を作ることにします。また、頂点にある炭素原子は周囲8個の格子に所属しています。 結合子の数は4本なので、格子内の炭素原子と結合していないのに、格子の中にある炭素原子が4個あることになります。 これは、結合している炭素原子につけることで代用しています。
 格子の面上にある炭素原子は、右図のようにして折ります。9番までは、ふつうの炭素原子と同じなので省略し、続きから書いています。 基本的には高さをさらに半分にして、折ることでできます。差し込んでから半分には折りにくいので、半分に折ってから差し込む方法をとっています。 12番で差し込んでいます。丸めて差し込むより、11番のように折ってからの方が差し込みやすくなります。13番では箱形に開いています。 14・15番をしないで、いきなり16番にいってもできますが、結合部があいた物になります。ふたをするために14・15番があります。 キャラメル包装の側面を閉じるのと同じ方法で、底面を作っています。中で二重になっている内側のものだけで作ります。 16番では、縦に折れている折り目をまっすぐにし、側面についている斜めの折り目に沿って折っています。全体的には矢印の方向に、 開いたり閉じたりするかんじになります。
 単位格子の頂点にある原子は、現時点できちんとした物が作られていません。一つは、格子内でつながらない原子をどう処理するかという問題のためです。 結局周囲にあるつながっている原子にくっつける事にしましたが、その分だけ格子からはみ出してしまいます。正四面体の一つの頂点からの距離が、 他の頂点からよりも近いところにある部分の形にすることが考えられます。この形にすると単位格子は2点で支えられることになり安定しません。 また、形が複雑で紙から折り出す方法を見つけていません。そこで、もう少し単純に考えて、格子面上にある原子に使った形をさらに半分にすることにしました。 置く向きを考えないといけないのですが、安定して立たせることもできます。この形でも、切り口にふたをする方法を見つけていません。
角原子組立図  折り方は右E図のようになります。用紙のサイズは、縦横比1:1.15で、縦の長さは原子の半分になります。 最初の図は、上下を入れ替えていますが、原子を作った図Aの4番までと同じ方法で折り目を入れたところからスタートしています。 上にできる辺が開きやすいのが欠点ですが、継ぎ手で押さえることである程度開きを押さえることができます。
 最後に組み立てになります。ふつうの原子の間に入る半分サイズの原子は切り口面が必ず外側を向くようにします。 どれか一つの半分サイズの原子の切り口面と並ぶように、横に並ぶ2つの1/4サイズの原子の正方形の面を合わせます。 残った二つの1/4サイズの原子も同じように取り付けて完成です。

変形原子用用紙切り出し図 用紙について
 組み立てに使う用紙は、A4版やB4版の色上質紙を使用することができます。原子や半分サイズの原子は、その用紙を8・16分して使います。 紹介した方法に比べて、重なり部分が小さくなるだけで問題はありません。 継ぎ手や1/4サイズの原子は、原子用の用紙から図Fのように切り出すことで作ることができます。図Fで、斜め線は図A2〜3で折った線です。 縦網掛け部が継ぎ手用、横網掛け部が1/4サイズの原子用になります。同じサイズになるところはどこでも使えます。 継ぎ手と原子で色を変えるとみやすくなります。


<補足 蓋付き4分の1原子の組立について 2016.6.25>
蓋付き4分の1原子組立図  4分の1原子の蓋付きもおることができましたので紹介します。用紙は、横縦比が1:1.04+αのものを用意します。 ここで、αは蓋をとめるの爪に使用する部分の大きさです。大きさは適当で良いのですが、横幅の半分までの大きさになります。 普通の用紙(1:1.41)程度のものを例に右図に示します。折り方についての説明をしておきます。
1.   爪を差し込むための部分を作ります。αが小さいときは横に折る幅を小さくしてください。ここでは横幅の1/4にしています。 幅が狭いときは、上部中央の45°山折り線は、谷折り線の交点から折るようにしてください。
 縦線が4等分するように引かれていますが、折り返しを1/4するために必要です。 あとでこの線も使われますので、先に折り目を作っていても問題ありません。
 角の斜め折りの角度は何度でもかまいません。60°くらいで書いていますが、これくらいが適当でしょう。
 上を、折り返した後、縦に半分に折ってください。この時、折り返した部分の真ん中を引っ張り出すようにします。
2−3  正三角形の面を作るためのものです。折り目が必要なだけので、終われば元に戻します(折り返しはそのまま残します)。
4−5  ここは蓋なし版(E図)の2から5と同じです。異なる点が2点あります
整形するときに、折り返し中央部は最初に折ったようにつまみ出してください。
最後に前に出る部分は中には折り込まないで出したままにします。これが蓋になります。
6−8  細点線より下の部分は前に出た部分です。ここだけを書いています。蓋の形を折るための準備と折り込みです。
8の印は、一番上の紙にだけつけます。軽く折り目を入れる程度で良いでしょう。反対側にもつけてください。
9で、山折り線より下側の谷折り線は、上から谷折り線が真っ直ぐ伸びるのではではなく、直角に曲がっています。
折り目をつけたらそれに従って折り込んでいきます。
10.  蓋についている爪を、上部の折り返しのすき間に差し込んで、おさえると完成です。




ボールで作った原子模型

 ふつう原子は球形をしています。従って、原子構造模型を作ったほうがより実態に近いといえます。 体心格子や面心格子などの模型は球で作られていますが、球をそれほど使わなくても作ることができます。 これを結晶構造がわかるくらいの大きさのものを作ろうとすると、相当数の球が必要となってきます。 安価な球は少ないのですが、100均ショップでボール6個セットで売られていました。早速これで作って見ました。できあがったものを示します。 折り紙で作ったものより形がわかりやすくなっています。逆に、原子のつながり方がわかりにくいようです。、 写真は正八面体の頂点の先の方から見たので、折り紙の写真とは見る方向が違っています。
 組み立ては、ボールどうしを直接接着剤でくっつけています。3つを109°の角度でつないだあと、真ん中のものをもちあげ、 下の正三角形になる位置に一つ入れて三角錐型につないだものをいくつか作り、上に乗せるようにしてつないでいくと作りやすいようです。 三角形や三角錐につなぐ時、段ボールに穴を開けボールの位置を固定するものを作っておくと便利です。
 ダイヤモンドの炭素原子は共有結合でつながっていますので、実際には球同士がめり込むような形になっています。 このような形のものも見てみたいのですが、ほとんどすき間なく原子が詰まっていて、中の様子がわからないかも知れません。




BB弾で作った原子模型

 朱雀高校の戸倉さんがBB弾でも作れるというので、作ってみました。弾同士の接着方法に苦労されていたようです。 弾がポリスチレン製というのを利用して、リモネン系のシール剥離剤をスプレーする方法を使いました。使ったBB弾は約800個で、 できあがった八面体の1辺の長さは約7cmです。
 作り方は、ボールの場合と基本的に同じですが、数が多いので、1mm厚の紙に1段分の弾が並ぶ位置(正八面体の各表面で弾が並ぶ位置)に、 直径4mmの穴を革ポンチで開けたものを用意し、弾を並べスプレーをかけた後、C図のような形になるように弾を乗せ固まるまで放置します。 完全に固まるまで1日かかりますが、半日程度置いて半分軟らかい状態で、各段を重ねていくと上下の弾をつけやすいようです。 シール剥離剤を重なり合う面にスプレーししばらく置いてから、面どうしを重ねます。押さえすぎるとずれてきますし、置いている間にもずれることがあるので注意してください。 弾が外れたりしたものは、アクリル用接着剤を付属の注入器で流し込むとくっつける事ができます。アクリル用接着剤の方が固まるのが早いので、 急いでつける必要があるときに用いました。
 最後に、クリアラッカーを何回かスプレーして完成です。弾より、工作用具に多くの費用がかかってしまいました。





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