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散歩道の風景  写真集(No.16)

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低層湿原
低層湿原(釧路湿原)
北海道釧路市コッタロ湿原展望台から

 河川や地下水によって周囲から水が供給される場所にできる湿原です。全体的に水に浸かっている感じに見えます。 植生としては、アシやスゲ類が中心となります。
 釧路湿原は、釧路川の氾濫原にできた湿原です。釧路川本流とその支流が蛇行して流れ、網目のような水路を作っています。 中央の水路は、曲がりくねりながら流れ、多数枝分かれしているように見えます。 様々な方向から流れ込んできた水が行き場をさえぎられ、ここに大きな湿地が作られた事がわかります。
サーフベンチ
サーフベンチ
沖縄県南大東村海軍棒

 海岸では浸食によって海食台ができます。珊瑚礁ができるような地域では、海面下になる海食台上には珊瑚礁が作られます。 そのため、波の浸食作用は時々来るような高波による場合にだけ影響されるようになります。 低い所に打ちつける波による浸食はありませんので、普通の海食台よりも高いところにできます。
 満潮に近い時間帯なのですが、海食台が海面すれすれの所にできています。
 大東島では、このような場所を削ってプールを作り、干潮時のみ海水浴ができるようになっています。
隆起環礁
隆起環礁
沖縄県島尻郡北大東島

 環礁は、珊瑚礁だけが丸く並んでいるものをいいます。珊瑚礁のできる海域にある火山島がゆっくり海面下にまで沈んでできます。
 隆起環礁は、環礁が隆起したものです。周辺部が高く、中心部が低くなっているのが特徴です。 環礁では、最後部は一番外側になりますが、ここの場合は浸食によってだいぶ島の中心部に寄っています。
多島海
多島海
長崎県対馬市濃部浅茅湾

 島がたくさんあります。沈降によって、山の高いところだけが島となってできるとされています。
 普通は、山の高いところも高い低いがありそんなにたくさん島ができるわけではありません。ここでは、島が真っ直ぐ並んでいます。 もともと平坦な地形だったものが隆起して、いくつかの平行に流れる谷ができ、2つの谷に挟まれた尾根がちょっと低かったために、 いくつかの島に分けられたようです。
溺れ谷
溺れ谷
長崎県対馬市仁位浅茅湾

 沈降によって、谷が海面下に半分沈んだ地形です。海がないとしてみると、長い谷があるように見えます。
 ここのものは、尾根の高さもほぼ一定で、それに挟まれて溝のような形で谷があるということが特徴です。 枝谷もいくつかあり、そこでも奥に向かって海が入りこんでいます。
河川争奪
河川争奪
長崎県対馬市御岳登山道

 河川争奪とは、川の水を別の川が奪う現象です。水の流れから見ると、流れていく先の川が変わるということになります。
 写真ではわかりにくいので、だいたいのようすを解説します。 写真右側は深い斜面となっています。 向こう側から来る尾根は写真下の部分で、 左側の川の河床からの高さが最も低く1mほどとなっています。
 左後方から来る川の流れは、現在の川のある左前方に流れてもいいし、尾根を突っ切って右に流れてもいい状態になっています。 川が斜面に平行にできることはありませんから、右側がだんだん削られて今の斜面ができたと考えられます。 このまま右側が削られていけば尾根はさらに低くなって、川が尾根を越えて右側に流れていくことになるでしょう。
砂堆
バリア(砂堆)
長崎県壱岐市母ヶ浦(ほうがうら)

 海岸線と平行にできる砂州のような地形をバリアといいます。写真の左側が湾口になりますので、 砂州が海岸線に平行に曲がっているのがわかります。
 でき方を考えてみると、一般的なバリアとは違うようです。普通は海岸に向かう流れによって作られますが、 ここの場合は干満による潮の流れによって作られているようです。満ち潮によって全体的に沖合から砂が運ばれてきて、 引き潮の時には、湾側方を流れることによって端っこの砂を沖に運んでいく事によって三日月型の砂地ができたようです。
砂堆 百合ヶ浜
砂堆
鹿児島県大島郡与論町百合ヶ浜

 砂がたまっている海底上に、一定方向の海水の流れがあると、流れに直角方向に伸びる何列かの砂丘のような地形が海底にできます。 風によってできる風紋や、海底の漣痕を巨大にしたようなものです。
 砂が海流によって運ばれる過程で、一時的に積み上げられてできます。また、台風など海が荒れたときには壊されたりもします。 毎日見ているとその形が変わっていくのがわかります。
 百合ヶ浜というのは、この付近で干潮時に一時的に現れる砂浜のことです。右端の砂堆列の一部が海面から顔を出してい場所になります。 浜の形が変化するというのも、その成因から説明することができます。
中央構造線
中央構造線(断層谷)
長野県大鹿村鹿塩〜飯田市和田付近
長野県大桑村付近上空より

 中央構造線は、豊橋市付近からほぼJR飯田線に沿って進み、中部天竜付近から国道152号線に沿って北に進み、諏訪湖に達します。
 大断層なので、深い谷が刻まれています。真っ直ぐに延びていきます。左下から右中央にかけて延びる谷がそれに当たります。 手前側と向こう側で岩質が違うので、山の形も違っているように見えます。
 左側を向こうから手前に流れてくる川は小渋川で、断層を横切っています。
カスプ状三角州
カスプ状三角州
福島県猪苗代町天神浜
福島県喜多方市付近上空より

 猪苗代湖に、きたから流れてきた長瀬川が注ぎ込んでいます。長瀬川が運び込んできた土砂が猪苗代湖を埋め立て、河口が前進して行っています。 そのため、陸地が湖の方に飛び出した形となっています。このような地形を「カスプ状三角州」といいます。
 一般に三角州というのは、枝分かれした川と海に挟まれた陸地をいいます。 それができる流れによってできたもの全体を指すこともあります。 その意味でいえば、このような飛び出した地形も三角州といっていいでしょう。
泥火山
泥火山
北海道新冠町

 泥火山は、溶岩とか火山灰とかいった火山噴出物をではなく、泥水を噴出してできる山です。 火山地帯で、温泉水の噴出に伴って泥水を噴きだし周囲に山を作っているものがあります。泥火山はこのタイプのものが多いようです。
 新冠では、温泉と関係なしに泥水が噴き出してきます。山の高さも2−30m以上になり非常に大きなものとなります。 また、直線上にいくつか連なっているのも特徴です。
 地震が起こると、泥水が噴出することが知られています。液状化現象によって起こる噴砂現象とよく似ていますが、 こちらの方が格段に大規模です。地表直下ではなく、地下深部の砂層が液状化を起こし、 限られた噴出口から何年にもわたって吹き出してきてつくたれたからです。
蛇行
蛇行
千葉県市原市養老川

 羽田空港に着陸しようとする飛行機から見ると、東京湾に注ぎ込む川の流路が曲がりくねっているのがわかります。 川が平野部を流れるとき、曲がって蛇行となるのが普通です。 都市部を流れる川では洪水調節のためにまっすぐになるように付け替えられ、その様子を見ることはできません。 房総半島を流れる川では、高い山から大きな洪水を起こすような流れがないこと、住宅地があまり広がっていないこと等により、 昔のまま残されていることが多いようです。
スコリアラフト
スコリアラフト
東京都青ヶ島村丸山

 青ヶ島丸山の最高地点から南側を見ると、噴火口のような窪地が見えます。ちょっと変わっているのは形がまん丸ではなく、 南北に細長い谷のようになっています。その先は右に曲がって流れていくように見えますが、そんな強い流れできるようにも見えません。
 全体の形は噴石丘のようです。地形図を見ると、南側に溶岩流のような地形が300mほど伸びています。 上面の高さは、噴火口底面と同じくらいです。
 噴火の初期は、スコリアを放出し噴石丘を作っていました。噴火が続いてくると、溶岩が流れ出すようになります。 流れ出した溶岩は、噴石丘を持ち上げて南側に流れていきます。持ち上げられた噴石丘は溶岩に流されて100mほど移動します。
 右側に見えるピークはもっと手前にあったのものです。それが溶岩に運ばれて今の位置に落ち着きました。 このようにして運ばれた、噴石丘の残骸をスコリアラフトといいます。
噴泉塔
噴泉塔
北海道新得町トムラウシ温泉

 温泉水の噴出口では、噴き出した温泉水が空気に冷やされ、含まれている不純物が沈殿(析出)します。 沈殿した不純物は、噴出口の周りで固まります。この時、固まったものが噴出口の周りで柱のように高く積み上がることがあります。 このようにしてできたのが噴泉塔です。
 写真の右側の噴泉塔は、温泉水の噴出が止まっていてこれ以上大きくなることはありません。 左側にもう一つ小さな噴泉塔ができています。こちらでは、温泉水の噴出が続いているのでこれからも大きくなっていくことでしょう。
 ここの噴泉塔を作っている不純物は、石灰分のようです。
シオワッカ
シオワッカ
北海道足寄町螺湾

 水の流れが段になって流れているところに、ドーム型の岩の塊があります。これを地元ではシオワッカと呼んでいます。
 解説によると、吹き出した温泉水に含まれている石灰分が沈殿してできたと書かれています。 ところが周囲を探してみても温泉の吹き出し口のようなものが見つかりません。 ドームそのものを見ると、石灰質の膜のようなものが重なってできています。石灰分の沈殿があるのは間違いありません。 水流のあるところに石灰分の沈殿はないのですが、川そのものが温泉水のようです。
 鍾乳洞に見られる畦石のようなものが水流に押されて、外側に張り出すようにできたように見えます。
沈水カルスト
沈水カルスト
小笠原父島諸島南島鮫池

 南島は石灰岩でできた細長い島です。その真ん中をたてにいくつかの凹地が並んでいます。そのいちばん南側にあるのがこの鮫池です。 池と行っても海に開いた大きな湾です。南島に上陸するときはこの鮫池から入ります。入口は狭く船は慎重に進んでいきます。
 海の色を見ると、中央部に丸く色の濃いところがあります。ここは急に深くなっているようです。 海面下深いところにある鍾乳洞の天井が崩落したようです。その後、地殻変動により海面下に沈み。海水が入り込むようになったと考えられます。 石灰岩地帯に見られる凹地などの地形はカルスト地形と呼ばれますが、ここではそれがさらに半分だけ海面下に沈んでできたものです。 水に浸かったカルスト地形という意味で沈水カルストといいます。
 鮫池という名前はネムリブカがたくさんいることから名付けられます。浅いところにあまり動かすじっとしているのがたくさん見られます。
分水界
分水界
兵庫県丹波市氷上町石生

 川の流れが2つに分かれています。右に流れた水は最終的に日本海に流れ込み、左へ進んだ水は瀬戸内海へ流れていきます。 一般に2つの大きな川の境界を、分水界とか分水嶺といいます。写真の場合は、日本海に流れる由良川と、 瀬戸内海へ流れる加古川の分水界といえます。実際には、「ノ」の字型に張り出した石組みがそれなのかも知れません。
 普通、分水界は尾根にできるます。谷底にはできることはありません。 なぜなら、写真のように二股に分かれた流れがあっても、 均等に流れが分割されることはないので、 流れが強いほうができます。 そこではたくさん浸食され、その結果流れが強くなります。最終的には一方だけへの流れとなっていきます。
 浸食されるより、土砂がたまるのが早いようなところ、たとえば扇状地のようなところでは、 流れがいくつかに分散していきます。 ここのものはそのような例でしょう。石生付近は、南北に延びる大きな谷があります。そこを東からの川によってできた扇状地が塞いでいます。 この扇状地に流れる水が右に進めば日本海へ、左に進めば瀬戸内海へと行き先が全く違うようになるでしょう。
 本州中軸部にある分水界(太平洋と日本海へ流れる水系の境界という定義もある)を中央分水界といいます。 この先にある扇状地の末端の最高点が、中央分水界で最も低いところとされていてその標高は約95mです。
アバランチシュート
アバランチシュート
福島県桧枝岐村奥只見湖片貝沢

 山の斜面が波打ったような形になっています。わりと滑らかな表面です。草木も膨らんでいるところだけでほとんど生えていません。 これは、雪崩が斜面を削ってできたものと考えられます。雪崩が起こって斜面が削られます。するとそこは雪が少しだけ深く積もりますから、 雪崩が起こりやすくなります。脇で起こった雪崩もよってくるでしょう。そのたびに岩盤は削れていきます。 雪崩はある程度の幅を持って流れますから、削られた岩盤のそこは丸くなります。
 繰り返される雪崩によってできる地形をアバランチシュートといいます。写真では、雪崩によってできた溝が5ヵ所ほどできています。 積雪の多い地域であること、北斜面で雪が積もりやすいこと、適度な傾斜をもった斜面であること、などいろいろな要素が合わり、 ここにたくさんのアバランチシュートができたと考えられます。
海食洞
海食洞
鹿児島県諏訪之瀬島 乙姫の洞窟

 波の作用によって海岸の崖に開けられた洞窟です。上から崩落してきた土砂が入口をふさいでいます。洞窟のある高さは海面より少し高いので、 隆起したのか海面が高いときに作られたものでしょう。溶岩流層直下の火山砕屑物層を削ってできています。
 穴の底面は、海面より高いところにあります。地盤が隆起したことがわかります。隆起海食洞といえるかも知れません。 入口前の丘のようなものは、その後に上から落ちてきた岩石がたまってできたものです。
 洞窟の名前は、トカラ列島に多数ある乙姫伝説にちなんでいるそうです。
砂堆
砂堆
能登半島千里浜

 波打ち際が、のこぎりの歯のように入り組んでいます。このような形になるのは、海底に海岸線と斜めの方向に伸びる砂丘状の砂堆が、 いくつも並んでいるからです。左向こうからの風の流れによって、左手前から右奥方向に伸びる砂堆が作られます。
 海が浅いところには波頭が立つので、浅瀬が左手前に続いているのがわかります。足下の砂浜も同様に斜めに伸びています。



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