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黒曜岩



黒曜岩

 黒曜岩というより黒曜石という名前の方がよく知られています。鉱物ではなく岩石なので黒曜岩という方が正しいでしょう。
 割ったときの割れ口が貝殻状断口といって、二枚貝のように割れるのが特徴です。年輪のような模様もできます。 割れた角がものすごく鋭利で、ナイフのように紙などを切ることができます。大昔は、この性質を利用して石器を作っていました。 国内で産出する場所は、この和田峠以外に数カ所知られているのみで、貴重品であったと考えられます。 この石はどこから運ばれてきたのかということで、人々の交流のようすも推定されています。
 割れ口はガラスに似ています。ガラスは石英(珪砂)を融かした後、比較的短時間で冷却して作ります。 黒曜岩も主成分はガラスなのでマグマが短時間で冷却固結したものと考えられます。 そのような場所は、地表近くとか地表に噴出したというような場所になります。
 ところがここで1つ困った問題が起こります。黒曜岩は組成的には二酸化ケイ素の含有量が多いので流紋岩の仲間に分類されます。 流紋岩質マグマは、地表近くまで上昇してくると内部の圧力が高まり爆発を起こして粉々に砕け散るということが知られています。 このようなことになっていないのは、爆発で吹き飛ばされないように適当な土圧がかかるところで冷えてかたまったからです。 どもこれが、深すぎると冷却が遅くなりガラスが作られなくなります。この微妙な深さのところで黒曜岩ができることになります。
 黒曜岩を加熱して融かそうとすると、発泡して堆積が膨らみ白っぽくなります。炭酸水の栓を開けたときに急激に泡が出るような感じです。 これをそのまま冷やしたものは、土壌改良材のパーライトとして利用されています。  和田峠の場合は、岩床という形で黒曜岩が産出します。これは地下の少し深いところでマグマが宍粟のすき間に入りこんで作られます。


分 類:火成岩 火山岩類 酸性岩類
岩石名: 流 紋 岩 (黒曜岩)
産 地:長野県 下諏訪町 和田峠
頂き物です



 火成岩を見分けるときに、二酸化ケイ素の含有量の多い岩石(酸性岩)は白っぽく、少ない岩石(塩基性岩)白露っぽくなるということを利用することがあります。 ところが、黒曜岩は色が黒いのに酸性岩類に含まれます。 これは、酸性岩では白っぽい色をした無色鉱物が、塩基性岩では黒っぽい色をした有色鉱物がたくさん含まれるからです。 黒曜岩では、鉱物はほとんど含まれていなくて、主体となるのはガラスだからです。 ガラスは、二酸化ケイ素だけだと無色透明ですが、不純物をたくさん含むほど濃い色がつきます。
 色による火成岩の見分け方は、ガラス成分の多い岩石では注意が必要です。

2025.10.20





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