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散歩道の四方山話 


天体観測をしよう(後編)

 きれいな星空を眺めると、圧倒されることがあります。そうでなくても、一つ一つの星を見るだけでも楽しいものです。 注意事項とかこんな見方もあるよといったことを思いつくままにまとめてみました。
 写真撮影の方法についても解説しています。一般的な写真撮影法についても触れてみます。
内 容

後編(写真撮影編)
3.天体写真を撮ろう
3-1 天体写真に適したカメラ・レンズ
3-2 用意したいもの
3-3 星を撮る
3-4 天体望遠鏡を使ってとる
4.画像処理をしよう
5.ビデオ撮影
5-1 何が撮れるか
5-2 望遠鏡につないでとる
5-3 連続写真を映像に
6.カメラと写真
6-1 失敗写真の例
6-2 フィルムカメラと特性
6-3 デジタルカメラと特性
6-4 カメラの特性
6-5 撮影の手順
6-6 あると便利なもの
6-7 特殊な撮影

前編(天体観測編)の内容
3.天体写真を撮ろう

星は見るだけではなく、写真に撮ることもできます。ここでは、その方法について説明します。

3-1 天体写真に適したカメラ・レンズ
<最低限必要な機能>
 天体は暗いので、長時間露出することになります。最低でも1秒、長くて何時間もかかることがあります。 そのため、カメラは三脚などに固定できること、必要な時間露出できるように、マニュアル(シャッターモードでM)かバルブ露出(B)のついているものになります。 バルブ露出はシャッターボタンを押している間だけ、または次に押すまでの間シャッターを開く機能です。 これだけの機能があれば必ずついていますが、絞り値が調整できるとべんりです。 また、暗くて自動でピントが合わせられませんから、ピントが手動で調節できることも必要な条件になります。 これらのことができる機種かどうか確認してください。
 どのように写っているか確認するために、ライブビューを使うことがありますが、好みで評価は分かれます。 画角の確認は確実ですが、反応が遅いのと明るい画面は天体観測中は見たくないので、極力使わないようにしています。 焦点距離にもよりますが、一眼レフカメラのファインダーでも2〜3等星はじゅうぶんに確認できます。
 その他の機能のこともあわせてみると、一眼レフカメラが天体写真撮影に最適なカメラといえます。 一眼レフカメラの欠点はミラーが上下することによって振動が発生することです。ミラーアップ機能がついていれば利用してください。 なければセルフタイマー機能で防ぐことができるものもあります。

<フィルムカメラかデジタルカメラか>
 どちらも一長一短がありますので、一概には言い切れませんが、最近のデジタルカメラの性能や特長は、 フィルムカメラを上回っています。赤外線写真を撮ってみるとか特殊な使い方をしない限りは、デジタルカメラでじゅうぶんでしょう。
 デジタルカメラで、重要になってくるのは、撮像素子の一個あたりの大きさです。これが大きいほど光に対する感度がよく、ノイズも少なくなります。 デジタルカメラの発売時期が同じなら、最大画素数はあまり変わりませんから、どちらかといえば撮像素子全体の大きさが問題になってきます。 大きなものがいいでしょう。最大画素数はあまり意味がありません。レンズの性能が追いついていない場合が多いからです。 携帯電話カメラにその傾向が顕著に見られます。大きいほど一素子あたりの大きさが小さくなるので、天体写真には不向きになります。
 デジタルカメラは使う前に、画素の破損がないか確認しましょう。レンズキャップをしたまま、長時間撮影し光の点(ダークノイズ)がないか調べます。 あまりたくさんでるようでしたら、そのカメラは天体撮影に使えません。次に画素上にゴミがついていないかも確認しておきましょう。 長い焦点距離のレンズを使い、できるだけ絞り込んだ状態で、ピント無限大で近くの白い壁などを写します。 黒い塊が写っているようでしたら、それは画素上のゴミなのでブロアーなどを使って吹き飛ばしましょう。 この時カメラは机などに置いてすると、せっかく吹き上げたゴミが舞い落ちてくることもありますから、 下向きにして行ってください(空気は上向きに吹きかける)。どうしても取れないときは、イメージセンサークリーニングキットを使うこともあります。
 天体写真を撮る場合、デジタルカメラの記録方式は、JPGではなくRAW方式が向いています。 RAW形式の方が画像処理に向いているのと、 JPG画像では存在しない光点が現れたりするからです(後述)。

<レンズ>
 星は暗いので、明るいレンズが適しています。レンズのF値ができるだけ小さなものです。この値は焦点距離によって違ってきます。 標準レンズで1ぐらいのもの、望遠レンズで4あたりのものが、明るいレンズといえます。より暗い星が写るだけでなく露出時間を減らせます。
 焦点距離は、何を撮りたいかによって変わります。星座なら標準レンズ、 星と風景を合わせてとか夏の大三角といった大きな星の並びとか天の川を撮りたいのなら広角レンズが適切でしょう。
 ズームレンズは単焦点のレンズに比べて、暗い(F値が大きい)、 使われているレンズが多いのでひずみがでたりゴーストができたりしやすいという欠点があります(といわれています)。 暗いということ以外は使ったかぎりでは、周囲から明るい光が入り込まないかぎり、あまり問題がないようです。 明るいレンズを持っているのでなければ、ズームレンズで結構役立ちます。何本もレンズを持ち歩かなくて済みますので、荷物を軽くしたいときには便利です。 ただし、画質にこだわりたいのなら多少重くても我慢してください。

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3-2 用意したいもの
<三脚>
 カメラを固定するためのものです。できるだけしっかりしたものを選びましょう。 ない場合は、台の上に置いてなにか(本でもいい)で支えて方向を固定するという方法もあります。 この場合は、何が写っているか確認できないのと向きを微調整できないが欠点です。撮影中にバランスを崩して動くということもあります。

レリーズ・ケーブルスイッチ・リモコンスイッチ <レリーズ・ケーブルスイッチ・リモコンスイッチ>
 カメラに触れずにシャッターを押すためのものです。カメラに触ることで振動が発生し、写した写真がぶれてしまうことがあります。 できるだけカメラに触らないようにしなければいけません。そのために使います。 カメラによってどれが利用できるか違います。このうちのどれか一つがあればいいでしょう。 入手できなければ、レンズキャップを利用してシャッター操作時には光が入らないようにする方法があります。 また、カメラのセルフタイマー機能を使って振動を防ぐこともできます。 写真は左から、レリーズ・ケーブルスイッチ・リモコンスイッチの順に並んでいます。

<ヒーター>
 露出時間が長いので、写真の枚数のわりには時間がすぐに過ぎていきます。星がきれいに見えるときほど冷え込みが強くなります。 この時困らせられるものが露です。レンズにつくと画像がぼやけてきます。こまめに拭き取ればいいのですが、なかなかきれいに取れてくれません。 レンズをヒーターで暖めておくと露がつかなくなります。代用品として懐炉を輪ゴムなどで縛って使っても大丈夫です。 使い捨てカイロでもいいのですが、反応が止まっているときがありますので、ちゃんと暖めているかチェックしてください。

<予備の電池>
 カメラは露出中も結構、電池を消耗しています。撮影途中で電池切れになることがあります。 電池がなくなっててしまうとどうしようもありませんから、必ず予備の電池は用意しておきましょう。 電池の必要のないカメラを使うという方法もありますが、デジタルカメラではそのようなものはありません。

<その他>
 セロファンテープがあると、ピントリングを固定するのに便利です。 撮影中、なにかの拍子にリングを触ってしまい、ピント合わせをやり直さないとということがあります。その面倒な作業を省くことができます。
 フードも役に立つ場合があります。横からの光によってレンズが光りゴーストができるのを防いだり、露をつきにくくしたりする効果があります。

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3-3 星を撮る
<ふつうに撮れるもの>
 月や惑星なら、そのまま撮影できます。夕焼けの中に月と惑星が並んでいるようすなどは、そのままカメラを構えるだけでじゅうぶんです。 薄暗くなってくると、露出時間が長くなってきますので、しっかり構えることが大切です。
 薄暗くなってから、月を撮ると露出過多になり、形がわからなくなることがあります。露出補正か、マニュアル露出を利用して適正な露出時間で撮影しましょう。 月だけならスポット測光で適正露出がわかることがあります。
 太陽もそのまま撮れますが、じゅうぶんに減光してください。目や撮像素子を痛めることがあります。 減光のためにNDフィルターが使えますが、そのときはできるだけファインダーをのぞかないようにしてください。

<三脚に固定して撮影>
 三脚に固定することで、手ぶれを防いで露出時間を延ばすことができます。月や惑星を撮るときはできるだけ使うようにした方がいいでしょう。 明るい彗星なんかも、この方法で撮ることもできます。
 カメラを撮りたい星の方に向けて固定し、ピントを合わせ、レリーズなどを使ってシャッターを押します。 この時、絞りはふつう開放まだは1段絞った状態にします。シャッター速度は、マニュアルかバルブを使います。 レリーズ等がないときは、セルフタイマーを利用しましょう。 シャッターをテープで固定する方法もあります。その時シャッター操作中はレンズの前をなにかで覆い光が入らないようにしましょう。
 三脚がないときは、台の上に置いてとる方法もあります。
 星は日周運動で動いていきます。そのため露出が長くなると、星は点ではなく、横方向に延びていきます。 点の形で写したいのなら、露出時間に限界があります。 星の座標とレンズの焦点距離によって変わりますが、例えば標準レンズではオリオン座なら10秒くらい、カシオペア座なら20秒くらいが限界です。
 日周運動のようすを撮りたい場合は、もっと露出時間を延ばす必要があります。 北極星を中心に回っているようすとか、星が昇ってくるようすなども撮ることができます。
 流れ星はどこを流れるかわかりません。そのため、撮影する場合は、偶然撮影範囲に入ってくるのを待ちます。 きるだけ広角レンズで、絞りは開いたままで、空が白く写りはじめる寸前まで露出します。 輻射点の確認をしたいなら露出時間は5分位までにした方がいいでしょう。

<赤道儀架台を使う>
 暗い星などを撮るために長時間露出をして、しかも星を点に写すためには、少なくとも星と同じ速さでカメラを動かさないといけません(追尾といいます)。 ところが、経緯台式の望遠鏡に固定して、望遠鏡で星を追いかけながら撮影しても、追いかけた星が中心に回転するように写ってしまいます。 固定したまま写す場合に比べて多少は露出時間を長くすることができますが、完璧ではありません。もっと長く露出するために、赤道儀式架台が必要になります。
ポータブル赤道儀  写真撮影用のポータブル赤道儀というものが市販されています。右写真は、ポータブル赤道儀にカメラを載せたものです。電池で動かします。 右にスイッチ(コントローラ)があります。赤道儀式望遠鏡があれば、その上にカメラを乗せて写すという方法もあります。 一般にはモーターを使って星を追いかけます(自動追尾)。 望遠鏡で追尾モーターがない場合は、望遠鏡の視野内で星が動かないように赤経微動ハンドルを操作(手動追尾)する方法があります。かなり練習が必要です。
 赤道儀架台を使うと、使わない場合に比べて格段に露出時間を長くでき、暗い星まで写すことができます。逆に映り込んだ地上風景はぶれることになります。
 最近は、撮像素子を星の動きに合わせて動かす機能のついたカメラもあります。 星を点状に写すことができますが、撮像素子の動く範囲が限られているので、それほど長時間の露出は無理かもしれません。
 赤道儀架台を使っても彗星や小惑星など速く動く天体を望遠レンズや後に記述しているように望遠鏡につないで撮ると、線のようになって写ります。 点状に写したい場合は、自動追尾しながらさらに望遠鏡の視野内を動かないようモーターを操作します。 この場合、追尾用のガイドレンズがあると便利ですが、姿勢が変わると目盛りの見える位置がずれるので、動けないので大変です。 そこで、次の方法をとって写すこともできます。たとえば、1分間そのままにしておきます。天体は移動していきます。 ここで、モーターや微動ハンドルを操作して元の位置に戻します。そのとき赤経方向に5秒(微動ハンドルを5度まわしたでもいいです 同じように換算してください)、 赤緯方向に6秒操作したとします。この場合写真露出中に、赤径方向モーターを(60÷5×1=)12秒、 赤緯方向モーターを(60÷6×1=)10秒おきにそれぞれ1秒間操作します。 それでも線状に写るようでしたら、モーターの操作時間を短くし、それに合わせて操作間隔を短くします。

望遠鏡の位置合わせにモーターを使う機種では、基本的には微動ハンドルは使用できません。 文中微動ハンドルでの方法は、モーターのない機種で星の日周運動を追いかけたいときにも利用できます。
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3-4 天体望遠鏡を使ってとる
 月や星団など、望遠鏡で見ていると、それを写真に撮ってみたくなります。ここではその方法について記します。
<コリメ−ト法>
 望遠鏡で見える状態で、カメラをそのまま接眼レンズに近づけて撮る方法です。
 星の光がやって来る方向だけで考えると、望遠鏡で見える画像は、その方向に見えているのと同じ大きさの物体があるのと同じです。 従って、そのままカメラのシャッターを切れば、撮影できるはずです。この原理を利用するのがコリメート法です。 撮影するときカメラの焦点距離は無限大(正確には観測者の目のピントが合う距離)になります。
 実際に撮影してみると、カメラの向きやレンズの位置が前後左右に、少しでもずれると写らないし、 シャッターが降りるまでに動いてしまうことが多いので、非常に苦労します。 デジカメの種類によっては、望遠鏡に固定する装置が販売されていることがあります。望遠鏡専門店に相談してみるといいでしょう。

直接焦点撮影法 <直接焦点法>
 望遠鏡の対物レンズを、カメラのレンズの代わりに使う方法です。望遠鏡の焦点距離と同じ焦点距離の望遠レンズの代わりとして使えます。
 レンズを交換できるタイプのカメラで利用できます。 一般的な望遠鏡メーカーの望遠鏡には、オプションで接続用の器具(アダプター)が販売されていますので購入してください。 普通は、カメラマウントとカメラアダプターの2種類が必要です。 また最近のカメラでは、オートフォーカス以外のレンズや絞りリングを使用できるように設定しないと撮影できないものがあります。
 右写真は、望遠鏡にカメラをつないだ例とアダプター(右)です。望遠鏡とカメラが同一メーカーなので1つだけです。 同じ大きさに表示していますが、使っているのは別のカメラ機種用のものなので、マウントを変換するアダプターでカメラにつないでいます。

<間接撮影法>
 太陽投影板に太陽が写すことができます。太陽が写っている位置にフィルムを置くと太陽の写真を撮ることができます。 これと同じように、天体だってその写る位置にカメラのフィルム(撮像素子)を置いてとることができます。このようにして撮る方法が間接撮影法です。 直接撮影法との違いはカメラの前に接眼レンズが挿入されることです。大きく拡大できますが、その分暗くなり長時間の露出が必要になります。 また、画像は見た目と裏返しの関係になります。
 直接焦点法の器具以外に、接眼レンズスリーブ(望遠鏡付属のものが使えるもの、アダプターが兼用するものもある)、拡大筒が必要です。
 天体を大きく写すことができますが、その分露出時間が長くなり、ぶれやすくなります。しっかりと固定できるようにして撮る必要があります。

※アダプターについて :アダプターの形・接続方法は望遠鏡メーカーによって違います(そろえてくれたらと思うが)。 何が必要なのかどのようにつなげばいいのかマニュアルやカタログに書かれています。よく読んでから使うようにしてください。
※ピント合わせについて:カメラのファインダーでしっかり合わせたつもりでも、ぼけていることがよくあります。 うまくとれるようになるまでかなり練習が必要です。遠くの景色でピントを合わせておいてからピントリングを固定した方がうまくとれることがあります。 最近のデジタルカメラでは、ライブビューモードで拡大してみると結構正確に合わせられます。
バーティノフマスクを使うという方法もあります。詳しい説明はこちら(クリックでページに移動)で説明しています。

ここまで2015.07.10掲載
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4.画像処理をしよう

 写真を撮ったものの今ひとつという時、デジタルカメラの映像では適切な処理をすると見栄えがよくなるものがあります。 その処理について解説します。最近のパソコンでは様々な処理ができますが、場合によっては改竄と取られかねないものもあります。 人によっては考え方に違いが見られるかも知れませんが、この程度なら許容されるであると思われるもののみにします。 フィルム時代からおこなわれていた処理程度のものです。紹介するのは、トリミング、明るさ・コントラスト調整、輪郭をはっきりさせる、 コンポジット合成、比較明合成、ダークノイズ除去、 の6種類です。これらの処理に当たって、ソフトが必要です。 写真処理や天体写真専用のものも販売されていますが、市販ソフトの宣伝はしないという信念によりフリーソフトのGIMPを使うことにします※1。 英語で書かれていますが、GIMPのサイトからダウンロードできます(http://www.gimp.org/downloads/)。 ダウンロードされたファイルを実行すると、ソフトがインストーされます。 日本語ダウンロードサイトからもダウンロード可能です。※2
 当然同様のことは市販のソフトでもできます。どのメーカーでも、ほぼ同じような処理ができるようになっています。もう少し簡単にできるかも知れません。 ソフトによっては、処理の表記方法や位置が違っていることもありますので、メニューバーなどを見当をつけ探してください。 天体画像処理専用のソフトならもっと高価ですがその分簡単にできるはずです。写真処理専用ソフトでもう少し簡単にできるものもあります。
※1 確認に使ったGIMPのバージョンは2.6.1.1です。バージョンアップに伴い、操作方法等がかわることもあります。
※2 ダウンロードサイトによっては有害無益なソフトに導かれることがあります。 目的外のものをダウンロードしようとしていないか、必要以外のものをインストールしようとしていないかよく注意してください。

 説明が長くならないようにしたいので、操作方法についての書き方のルールを決めておきます。次のとおりです。説明では太字にしていますが、 本文では標準の字体です。
明るさコントラスト メニューバーにある色(C)をクリックしたときに出てくるリストの中の明るさ-コントラスト(R)をクリックする
チャンネル明度 ダイアログ(サブウィンドウ)にあるチャンネルの項目を「明度」にする。 入力項目枠の右にある「▼」をクリックしたときにでるメニューから選ぶことができます。
プレビューON ダイアログにあるプレビューにチェックを入れます。はずすときはOFFです。
「12移動 ツールボックスの12番目にあるアイコンのことです。アイコンの種類によって番号が変わります。 アイコンが横に6個並んでいるとき(標準状態)の時は、2段目右端にあります。 アイコンにマウスをあわせると【移動】(処理によって表示は変わります)という文字とその説明が現れます。クリックしてください。

4-1 トリミング・明るさコントラスト補正
 これらの操作は、見栄えはよくなりますが、画像情報は減少します。今後、補正をやり直したいというようなこともあるかも知れませんので、 サムネイル画像(縮小版)を作るとか印刷用とか限られた用途で使うようにしています。 このサイトの画像は基本的にサムネイルなのでこれらの処理が施されていることがあります。
トリミングは、画像周囲のいらないところをなくす作業です。実際には切り捨てるので画像の画素数が少なくなります。 「14切り抜き」または「ツール→変換ツール→切り抜き」のあと(カーソルがナイフの形になります)、 切り抜きたい範囲の左上から右下までをドラッグして範囲を決めたあとダブルクリックするとできます。
M81銀河 明るさ・コントラストは、明るすぎたり暗すぎたり濃淡が少なかったりとかで見にくい画像を、見やすいように加工する作業です。 「色→明るさコントラスト」で、ダイアログにある明るさとコントラストのスライドバーを左右に操作することでするのが一般的です。
ここでは、もう一つの方法を説明します。説明のために右写真を使うことにします。おおぐま座のM81銀河を撮影したものです。 説明通りやってみたいという方は、画像上で右クリックし、でてきたメニューから画像の保存を選ぶことで、画像をダウンロードできます。
 保存した画像を開いてください(「ファイル→開く→ファイル選択」)。
 画像が表示されたら、「色→トーンカーブ」とやってみてください。右のようなダイアログが出現します。 明るさ調整ダイアログ ここで設定です。たぶんこの通りになっていると思います。「チャンネル=明度」です。それと 「チャンネルのリセット」の横にあるアイコン二つはどちらでもいいのですが、左の線形が使いやすいでしょう。 「プレビュー=ON」にしておくと、調整結果が見ることができますので便利です。
 ここに現れた山のようなグラフは、明るさの点がいくつあるかを、暗いものから順番に並べてできたものです。 山のようになっているところは星の写真では、背景の明るさになります。銀河や星を作っている点は、もっと右側低いところに並んでいます。
 もう一つの斜線は、ある明るさの点は、どれくらいの明るさで表示させるかを表すグラフです。 最初は、各点の明るさと、表示させる明るさは同じなので当然線の傾きは45度(右上がりの対角線)になります。
 それでは、マウスを、グラフにある斜線の左下に合わせてください。カーソルの形が十字矢印に変わり、x: 0 y: 0と書かれた表示がでます。 これは、0(Xの値)の明るさ点は、0(yの値)の明るさで表示するという意味です。 グラフの山の左裾野付近は、背景より暗いので明るくする必要はありません。斜線が動くのと同時に、画像の背景が暗くなっていきます。 そこで、マウスを、カーソルが十字矢印(クリックすると+に変わります)のまま、山の左下あたりへドラッグしてください。 明るさ調整ダイアログ とりあえず、山に少し入ったところ、表示された数値がx:70 y:0まで移動させることにします。 これで、70より暗い点はすべて真っ黒になりました。
 今度は、斜線の右上の丸印です。星などは白くなってもかまわないのでグラフの上端にそって左へドラッグさせていきます。 xを130より小さくすると銀河の中心部は明るくつぶれたようになりますので、130にあわせることにします(x:130 y:255と表示される)。
コントラスト処理したM81  ここでは、これでいいことにしますから、OKボタンを押してください。気に入らなければいろいろ試してみてください。 線の形を折れ線や曲線にすることもできます。とりあえずこれでいいことにします。左はできた画像です。銀河の縁がざらついた感じになっています。

 このざらついた感じを何とかしたいですね。コンポジット合成で消すことができるかも知れません。一つおいて次で説明します。

4-2 輪郭をはっきりさせる
 ピンぼけ写真のように輪郭がぼやけてわかりにくい写真を、はっきりさせることができます。これには、「アンシャープマスク」という方法を使います。 アンシャープとは「ぼやかせる」という意味です。これで、はっきりさせられるというのは変な感じがします。実は、この方法は、 アンシャープにした画像で元画像をマスクする(覆い隠す)と元画像がシャープになるという現象を利用しています。 処理方法の名前もこれに由来しています。
月縁写真  早速やってみることにします。画像は右のものを使って説明することにします。
 月の南側のヘリを写したものです。何となくぼんやりしています。
 処理したい画像を開いてください(「ファイル→開く→ファイル選択」)。
 処理を選択します(「フィルタ」→「強調」→「アンシャープマスク」)。ここまでは意外と簡単ですね。
アンシャープマスク  ダイアログが出てきました(左図)。プレビューにチェックを入れましょう(入っていると思います)。 これで、どのように変わるかを確認しながら作業ができるようになりました。
 実際の処理は、3ヵ所に数値を入れるか、スライドバーを動かして値を調節することでおこないます。
 まず半径です。この処理には、ぼかしをかけた画像が必要になります。 そこでかけるぼかしの半径です。輪郭がぼけている幅を入れましょう。10pxちょっとありますので、ここでは7(半径だから半分にする)を入れています。
月縁写真処理後  次は量です。ぼかし画像をどれくらい効かせるかの数値です。大きくすると輪郭をはっきりできますが、 境界部に光の点や黒い穴のようなものができやすくなります。ここでは1.00にしてみました。
 最後にしきい値です。これくらいの差だったら強調しなくていいよというときの、差の値です。大きくすると強調されない場所が増えてきます。 ここでは、平らな部分がそのまま見える10にしてみました。
 OKボタンを押すと画像が更新されます。処理後の画像が右写真です。シャープになっています。
 この処理では、いろいろな数値を入れますが、元の写真によってその値をいくらにすればいいかまちまちです。 たとえば、半径は、ぼけのひどい写真では大きく、シャープなものでは小さくなるでしょう。 プレビューを見ながら、いちばんいいと思える画像になるように選んでください。もともと、明暗の差が大きかった場所がぼやけていると効果が大きいようです。 逆に、明るさの差がわかりにくいものを撮影した画像では、あまり効果が現れないようです。

−補足−  GIMPのヘルプでは、明度にのみアンシャープマスクをかけるとよいと書かれています。 処理をして変な色模様ができたりした場合は、その方法を試してみるのもいいでしょう。

4-3コンポジット合成
 明るさ・コントラスト調整をしすぎた画像とか、超高感度モードで撮影した画像は、ものすごくざらついたような感じになっています。 このような場合、何枚かの画像を組み合わせ平均の明るさにすることで、ざらついた感じが押さえられ、その結果淡い天体の輪郭が浮かび上がってくることがあります。 一般的には10枚とか20枚とかといったようにたくさんの画像を使用するのですが、ここでは説明ですので、先ほど明るさコントラスト処理した画像と、 それに加えて全く同じ条件で明るさコントラスト調整をした下の3枚の合計4枚の画像を使うことにします。下に処理前の画像を並べて示します。
処理済みM81 処理済みM81 処理済みM81

処理前M81 処理前M81 処理前M81
 先ほどの明るさコントラスト調整をした画像が開いているものとして始めます。
 「ファイル→レイヤーとして開く」で保存している2つ目のファイルを指定して読み込ませてください。 画像が動いたように見えて、新しい画像が表示されます。動いたように見えるのは、2枚の画像の位置がずれているためです。 合成を始める前に、位置の調整をしなければなりません。動いて見えなければたぶん必要ないでしょう。念のために確認した方がいいでしょう。
コンポジット合成中  レイヤーダイヤログを見てください。表示されていなければ「ウィンドウ→ドッキング可能なダイアログ→レイヤー」で表示されます。
 読み込んだ画像を選択してください(レイヤーダイアログで画像またはその説明をクリックします。背景色が変わります)。 その状態で、まずメニューバーから「色→階調を反転」をした後、ダイヤログで「モード=標準」「不透明度=50.0」としてください。右のようになります。
 星の右側が白く、左側が黒くなっています。これは、あとから読み込んだ(上に重なっている)画像が左にずれているためです。 そこで「12移動」を使って動かします。画像の上でドラッグすると動きます。 「表示→表示倍率→4:1(最後の比はいくつでもよい)」で拡大するとやりやすくなります。きれいに重なると全体が灰色になります。 完全に灰色ににはならないので、できるだけフラットに見えるようにします。場合によっては「15回転」も使ってください。
処理済みM81  納得できるものになったら、上に重なっている画像を元に戻します。操作はメニューバーから「色→階調を反転」です。
 続いてレイヤーの不透明度を調整します。今は全部で2枚の画像が合わさっているので2分の1の50%でいいので、このままです。 もう一枚処理したときは全体で3枚になるので3分の1の33.3%、その次は25%……というように不透明度を変えてください。
 画像を重ね合わせます。「レイヤー→下のレイヤーと統合」。ちょっとだけざらついた感じがなくなりました(右写真)。
 2枚目の重ね合わせが終わったので次は、3枚目です。「ファイル→レイヤーとして開く」の処理から繰り返してください。 処理済みM81 4枚を使って処理したものが右写真になります(クリックすると拡大します)。だいぶ見やすくなりました。 全体に銀河に覆われ、腕がいっぱいに広がって見えるはずなのですが、3等星までしか見えない町中で撮るとこれが限界のようです。
 すべて終われば、「画像→画像の統合」の操作をしておいてください。何十枚と重ね合わせるときは、5枚とか10枚ごとに処理したものを作り、 それを再び合成するようにします。

4-4 比較明合成
 この方法は、星の動きをみせたり、流れ星やのように時々現れる明るいものをまとめて見せたいときに使うことができます。 ここでは、星の日周運動を例に使い方を示します。例として、下の4枚の画像を使うことにします。
日周運動 日周運動 日周運動 日周運動
レイヤーダイアログ  カシオペア座が写っています。町中で、日周運動を撮ろうとしたのですが、星が軌跡を作る前に、空がかぶり(白くなり)始めています。 これ以上露出を長くすると、空が真っ白になります。逆に絞りを絞って暗くすると、星の写りが悪くなります。
 最初は先ほどと同じです。4枚の画像がファイルとして保存されているものとして始めします。まず、1枚目を開きます(「ファイル→開く→ファイル選択」)。 次に、2枚目をレイヤーとして開きます(「ファイル→レイヤーとして開く→ファイル選択」)。
 位置調整が必要な場合は、コンポジット合成の場合と同じように行ってください。日周運動なら地上風景、流星なら恒星を基準にするといいでしょう。 今回はその処理が必要のない画像なので省略します。
日周運動  レイヤーダイアログで、あとから読み込んだ方の画像を選択します。ここまでは先ほどと同じです。 「モード=比較(明)」にしてください。右図で文字の背景が灰色のところにあります。選ぶと、星が少し伸びたように見えます。 できれば「レイヤー→下のレイヤーと統合」です。あと、3枚目、4枚目と順番に繰り返すと左のようになります。 回数が少ないのでそれほど伸びているという感じはしませんが、もっと多くの写真で合成するとここにあるような写真になります。

4-5 ダークノイズ除去
 デジタルカメラを長く使っていると、撮像素子が劣化し、ないはずところに光の点が現れるようになります。 これが、ダークノイズです。特に天体写真のように長時間露光するものでは、その傾向は顕著に表れます。 一応カメラの機能として、ノイズを消すように設定できるのですが、それをすると、1分間露出したら、処理のため最低1分間は使用できなくなります。 彗星写真など、時間と勝負の場合もありますので、この時間は何とかしたくなります。 ダークノイズを消去するソフトもありますが(効果がいまいちよくわからなかった)、ここでは強引にGIMPにやらせることにします。 ここでできるのは、光の点のみで、撮像素子が熱によって反応し、全体が明るくなる熱ノイズは除去できません。
 まず、必要なのは、ダークノイズがどこに出現するかというデータです。 1日や2日では大きく変わりませんから、一晩の間に1回やっておくだけでかまいません。その方法は簡単です。 カメラにキャップをしたまま、長時間露光させます。時間は、撮影中の平均的な露光時間よりちょっと長めにするといいでしょう。 表示させてみると、真っ黒に写るはずなのに、赤や緑といった光の点がいくつか写っています。 これがダークノイズです。この方法で撮った写真を「ダークフレーム画像」と呼ぶことにします。
 やりたいことは、デジタルノイズのある位置を、周囲の画像の平均的な明るさの数値で埋めることになります。 厳密にこれをおこなう方法はありません。代わりに、ノイズの場所もあわせてその付近の明るさの平均値で埋めることにします。 やり方は色々考えられますが、その例として一つあげます。次の写真を例にやってみます。 1枚目が、普通に撮影した映像です。星ではなく夜景(万博公園太陽の塔)を写しています。首の上と背中の後ろ側、左下の森の中にノイズがみられます。 これくらいなら、「28スタンプで描画」で消す方が簡単かも知れません。星の場合は、ノイズと区別ができないこともありますのでスタンプでは消しきれないでしょう。 2枚目が、ダークフレーム画像です。1枚目の写真のノイズがある位置と同じ位置にノイズがあるのが確認できます。
夜景 ダークフレーム画像
 処理を始めます。まず、処理したい画像を開きます(「ファイル→開く→ファイル選択」)。
ぼかし後画像  次に、新しいレイヤーに平均値の画像を作ります。「編集→コピー」「編集→貼り付け」 「レイヤー→レイヤーを追加」の操作を続けて行います(「ファイル→レイヤーとして開く→ファイル選択」でもかまいません)。 次にこの画像を平均化します。操作は、「フィルター→ぼかし→ガウシアンぼかし」のあとダイアログのぼかし半径を調整します。 この数値が大きいほど、ダークノイズの影響が少なくなりますが、離れた場所の背景の影響がでるようになります。少ないとノイズが残ります。 真っ暗なところ(明るさ0)に、半径1の輝点(明るさ255)があるとして、その点が、半径が16倍の面に平均的にぼかされたとします。 ぼかされた明るさは1になります。これくらいの差なら見てわかりません。これ以上大きくても意味がないでしょう。 ぼかしの大きさは水平垂直とも15から20くらいにするのがいいでしょう。ぼかしの種類は、どちらでも大差はありません。 右は、ぼかしをかけ終わった後の状態です(画像が小さいのでぼかし大きさを10にしています)。
 次は、ノイズの位置を知りたいので、ダークフレーム画像を新しいレイヤーに読み込みます(「ファイル→レイヤーとして開く→ファイル選択」)。 次に「4ファジー選択」で、表示されている画像の背景の部分でクリックします。これで、ノイズのない部分が選択されました。 必要なのはノイズの部分なので、「選択→選択範囲を反転」をして、選択範囲をノイズ部分に変えます。 見かけは変わったように見えないのですが、画像周囲の動く点線がとまります。選択範囲を少し大きくしましょう。 「選択→選択範囲の拡大」からおこないます。どれだけ大きくするか聞いてきます。 2から3ピクセルでじゅうぶんです。念のために境界をぼかしておきましょう。「選択→境界をぼかす」です。 大きさですが、大きくした選択範囲の幅よりは小さめにしておきます。
 これでダークフレーム画像は必要なくなったので消去します(「レイヤー→レイヤーを削除」)。 右が、ダークフレーム消去後のようすです。ぼかした画像に、ノイズのある場所にマークがあるのがわかります(下1枚目)。
 次に、ノイズのある部分にだけにかぶせる画像を作ります。 「編集→コピー」「編集→貼り付け」 「レイヤー→レイヤーを追加」でかぶせる画像が新しいレイヤーにできました(下2枚目)。
ノイズ位置画像 被せ画像
 ぼかしをかけた画像は必要なくなったので消去します。レイヤーダイアログで、ぼかしのある画像を選択します。 縦に3つ並んでいる真ん中の画像または説明をクリックして背景色を変え、「レイヤー→レイヤーを削除」です。
 見た目は完成しましたが、画像は元のままです。2つのレイヤー結合させる必要があります(「レイヤー→下のレイヤーと統合」、「画像→画像の統合」)。 これで完成です。できあがりが下写真です。ノイズがわからなくなっています。
処理後画像

ここまで2015.08.08掲載



4-6地上光の軽減
 天体写真では、町の明かりなどが映り込むことがあります。そのような場合、暗い星を強調させて見ようとコントラスト強調処理しても、 地上光の写り込んだ写真 空の明るさに影響されて効果が上がらないことがあります。 このような地上光やレンズの性能による周辺部が暗くなる現象(けられ)など、 明るさにむらのある画像に対応できます。天の川や銀河星雲など、薄く広がっている天体を消してしまいますので、これらの写っている画像には使えません。
 右の写真を例に、処理をします。左下側が町の明かりの影響で明るく写っています。 処理方法は、周囲の明るさを引けばいいことになります。この方法は、原理的には輪郭をはっきりさせる方法とほぼ同じ処理になります。 操作手順は、段階ごとに手作業で行います。
 GIMPに読み込ませてください。その上にもう一枚、同じ画像を重ねます。
「ファイル→レイヤーとして開く→ファイル選択」か、
「選択→全て選択」「編集→コピー」「編集→貼り付け」「レイヤー→レイヤーを追加」でできます。
ぼかしをかけた写真  次に、上に重なっている画像全体にぼかしをかけて星を消します。
「フィルター→ぼかし→ガウシアンぼかし」を選びます。 出てきたダイヤログにぼかし半径を入力します。できるだけ大きな値にします。画像サイズの1割程度でじゅうぶんでしょう。 この画像の真ん中にアンドロメダ銀河が移っていますので、このような場合はこれが消えないよう銀河より大きなサイズにします。 ここでは30pxにします。これで星が見えなくなりました(2枚目)。
 次に上に重なっている画像を反転します。
「色→階調を反転」でネガ画像になりました。
反転画像を重ねた写真  ここでレイヤーダイアロの上の方にある、不透明度を操作します。 スライドバーを動かすか、右側の%の数値を変えます。50%にすると色むらを完全に消去できます。灰色の地に星が見える状態になります。
元の光を残しておきたいのなら、少し数値を小さくします。ここでは、45%でやってみます。
この状態ではまだ、2枚の画像を重ねてみている状態なので、画像を結合させます。
「レイヤー→下のレイヤーと統合」です(3枚目)。
 全体に灰色っぽい色をしていますので、背景が暗くなるように処理します。 方法は明るさコントラスト補正と同じです。
反転画像を重ねた写真 まず、「ツール→色ツール→トーンカーブ」です。カーブのダイアログでチャンネルを明度にして、 グラフ左下点からドラッグして灰色の山の左下角の少し左に持って行きます。 ここではX:100y:0にしました。 ついでに右上の点もx:160y:255にしました。
 できたのが、右4枚目の写真です。地上光の背景があまり変わっていないのに、星がはっきりと写って見えます。 アンドロメダ銀河も確認できます。 途中で不透明度を45%にしたので、地上光が残りましたが、50%だと背景は真っ黒になります。


この項2015.11.11記載
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5.ビデオ撮影

5-1 何が撮れるか
 比較的明るい天体なら、普通のビデオカメラでも十分に撮影することができます。 たとえば、月はもちろんのこと、木星や金星といった惑星、一等星などの比較的明るい星や明るめの流星ならじゅうぶんに写ります。 このとき、手持ちでの撮影は禁物です。UFOと間違えるような、動き回って何をとったのかわからない映像になります。 必ず、しっかりとした三脚に固定して撮影してください。
 デジタルカメラでビデオ撮影もできるものがあります。この機能を利用して撮ることも可能です。

5-2 望遠鏡につないでとる
 望遠鏡につなぐ利点は、写真を撮る場合と同じことが、動画を撮るときにいえます。レンズが大きな分だけ、たくさんの光を入れることができることです。 そのため、暗い天体を写したり、大きく撮影するのに有効になります。
 ビデオカメラを望遠鏡につなぐ方法は、カメラによる写真撮影と同じです。 ビデオ撮影全体を通じて、写真撮影と違う点は、露出時間に限界があることです。 長時間露出しないと写らないような天体の映像を撮りたいのなら、連続で写した写真を映像化する方がいいでしょう。 その方法については別途説明します。
 カメラの場合に使ったコリメート法はそのまま応用できます。 しかし、ビデオカメラを固定する方法がありませんので、何か道具を工夫する必要があります。
天体用ビデオカメラ  ビデオカメラでレンズを外すことができる機種なら、アダプターが市販されています。Cマウントアダプターというがそれです(右写真左端)。 カメラレンズにつけるものが普通なので、その場合は、カメラアダプターも必要です。 最近は、いくつかのタイプのCマウントがあるようです。カタログ等を確認してください。 ビデオカメラとして売られているものだけではなく、ビデオ出力のあるカメラでも、録画装置につなぐことで撮影は可能です。 教材提示装置のカメラで、写真機用レンズをつけて流星を撮影したことがあります (何時間も撮った映像を見直して写っているかどうかを確認するのは大変でした)。
 専用のカメラも市販されています(右写真 中央はコントローラー、右が受光部)。 レンズはついていないので、 望遠鏡やカメラ用レンズにCマウントアダプターを使って接続します。 一般用として売られているもので同じくらいの性能を持つものもありますので利用することもできます。

5-3 連続写真を映像に
 時間をおいて何枚か撮影した写真を連続して表示させることで、映像のように見せることができます。一般にはタイムラプス動画といわれる技法です。 連続写真を映像ファイルに変換してくれるソフトはいくつかあります。探してみると、たくさん見つかります。 ビデオ編集ソフトを使って作るのが一般的でしょう。ビデオファイルの代わりに、画像ファイルを一枚ずつ並べます。 その後、それぞれの表示時間を調整することで映像化することができます。
 右映像は、画像処理比較明合成に使ったのと同じ画像をもう少し枚数を増やして動画化したものです。 表示されていないときは、マウスを重ね、出てきた再生ボタンをクリックしてください。
 AVIとかMPGといった映像ファイルが必要ではなく、コマ送り映像としてみたいだけなら、スライドショー表示ソフトでも対応できます。 当然、WINDOWSフォトビューワーのスライドショー機能でも見ることはできます。スライドショーでの1枚の画像の表示時間は長いものが多く、 ぱっぱっと変わるようようなものは難しかも知れません。
irfanviewslideshow  映像記録形式にこだわらないなら、フリーソフトのIrfanviewで作ることもできます。
ファイル→スライドショーで出てきたダイアログを操作します。表示させるファイルを選択し、追加ボタンを押しファイルを登録します。
「自動でスライド」にチェックを入れ1枚の表示時間を入力します。1秒以下の時間でも設定できます。
フルスクリーンにするかウィンドウにするか選んだ後、EXE/SCRファイルで保存ボタンを押します。 ダイヤログに出力ファイル名を入力し、EXE形式を選んで「OK」を押せば完成です。
後はできたファイルを実行させると表示してくれます。見終わればESCキーで終了します。
gian 設定画面  表示色数の関係で、ちょっとざらついた感じになることもありますが、GIFアニメーションを作るという方法もあります。フリーソフトのGIAMで簡単に作れます。 右図はその設定画面です。ファイルを選択して(エクスプローラからドラッグ可)、 ウエイト(各画像の表示時間)を設定して保存するだけです。図では、最後の4枚目の表示時間を1.5秒に設定しています。 AVI形式の出力もできますので、出力後動画形式変換ソフトを使ってMPG動画にすることもできます。
日周運動GIFアニメ
この節2015.9.10掲載
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6.カメラと写真

 カメラで天体写真を撮ろうとすると、カメラについてある程度知識があった方が、いざというときに対処できることがあります。 ここでは、天体写真に限らず、普通の写真の撮り方やそれに関連した事柄について、解説することにします。

6-1 失敗写真の例
<ピンぼけ>
ピンぼけ写真  焦点(ピント)の合っていない写真です。狙ったものが、ぼやーとした感じに写ります。周囲にある関係ないものが、はっきり写っていることもあります。
手前にあるものに焦点が合っている場合は「前ピン」、後ろのものにピントが合っている場合を「後ピン」といいます。 右写真の左側が前ピン、右側が後ピンです。真ん中の正しいもの見と比べてください。
 カメラの焦点操作(オートフォーカス)は正確です。たいがいは正確に合わせてくれます。それでも、ピントがあわないのは、次のような場合が考えられます。
 まず考えられることは、ピントを合わせたいものが、画像の中心にない場合です。回避する方法が用意されています。 まず、ピントを合わせたいものを画像の中心に持ってきて、シャッターを軽く押します(半押しと言います)。 そうすると、カメラは、焦点を合わせたあと、焦点位置を固定します。 その後、シャッターを半押しのまま、カメラを動かして構図を決めて、シャッターを押し込めば、狙ったものにピントの合った写真が撮れます。
 次に考えられるのは、あわせたいものの手前側に障害物がある場合です。障害物にピントが合って、目的のものはピンぼけということがあります。 このときは、もう一度シャッターを押し直すと、狙ったものにピントを合わせてくれるかも知れません。 ファインダーやモニタで確認してください。うまくいかない場合は、手動(マニュアルフォーカス)でとるということもあり得ます。
 もう一つは、ピントをあわせたいものが前後に動く場合です。 実際に多いのは、花などの接写写真を撮るとき、花が風で揺れたり、姿勢が安定せず撮影者が前後にぶれる場合に起こります。 風はやむのを待つしかありません。姿勢の問題については、三脚などを利用して撮影するのが一番ですが、アングルがあわないことがあります。 ちょっとしたものを台(膝とかでもよい)にして撮影してみましょう。
 どうやっても、ピントが合わない場合があります。特に近くのものを撮るときに起こります。 接写モードにするとかで撮影できるようになるかも知れません。接写モードが解除できていなくて遠くのものをとってもピンぼけになる事もあります。 どうしてもとれない場合は、小さく写ったもので我慢しましょう。
 最近のカメラでは、画像内の顔のような普通ならピントを合わせるであろう場所を探して、そこにピントを合わせる機能がついているものもあります。 風景を背景に記念写真といった場合、風景をメインにするか、人物をメインにするか、見る人や撮影者によってはピンぼけと感じる場合もあります。
 携帯カメラとかでは、被写界深度(後述)の関係でピント合わせが不要に近い物もあります。レンズ付きフィルムも同様の原理を利用してピントを調節しています。

<手ぶれ>
カメラぶれ写真  シャッターが開いている間に、カメラが動いてしまって、像がぶれたように写る現象です。筋ができたり、像が何重にもなったりします(右写真)。 暗くて露出時間が長くなったとか、大きく拡大(接写や望遠)して撮る場合によく起こります。
 三脚を使使って固定すると防ぐことができます。できるだけしっかりとした三脚を選ぶようにしましょう。 三脚がない場合、脇を締めるとかしてできるだけしっかり構えることが大事です。なにかにもたれかかるだけでもだいぶ違います。
 手ぶれを起こさないシャッター速度を知っておくと便利です。一般的には、レンズの焦点距離の逆数(200mmなら1/200秒)といわれています。 練習すればその4倍くらいの時間までは手ぶれなしでとれるようになります。でも過信は禁物です。
 最近のカメラでは液晶モニタを見るため腕を伸ばした状態で撮ることが普通です。それだと手ぶれを起こしやすくなります。 ファインダーのついているカメラを使っているのならできるだけファインダーを使うようにしましょう。 手ぶれ以外にも、太陽光下で画像を確認しやすいとか、流し撮影をしやすくなるとか、効果があることがいっぱいあります。
 手ぶれ補正(シェイクリダクション)機能が使えるものもあります。 完全に防げるわけではありませんから、働いてくれたらラッキーという程度に、あまり頼らないようにしましょう。 逆に、流し撮影などではそのために手ぶれ写真になってしまうことがあります。使い方に注意しましょう。

<露出不正>
露出不正写真  画像が黒っぽくぼんやりとしていたり、白くかすんでしまったりした、写真は見づらい物があります。 黒っぽくなるのは、露出が足りない場合で、露出不足(露出アンダー)といいます。逆に白っぽいのは光が多すぎた場合で、露出過多(露出オーバー)といいます。 右写真は、左から露出過多、適正露出、露出不足の例です。 最近のデジカメは、大概の場合は写るようになっているのですが、どこで明るさを決めるかによって、時々このような写真ができあがることがあります。
 文字を書いた紙とか、全体が白っぽいものを撮影すると薄汚い色に写ることがあります。 それは、カメラがそこにある物の反射率が、人間の皮膚ぐらいのものだと判断して露出を決めるからです。 つまり、肌色くらいの反射率の灰色っぽいものがあると思い、太陽になるものが灰色になるように撮影してくれるからです。 そのため、黒い紙に書いた白い文字を撮ったときも、全体が灰色っぽくなります。 白い紙に書いた文字などをとるようなときは、露出を1から2段階多めにすることできれいに写すことができます。
 夜の薄明かりや薄暗い室内では、まず写らないと思って間違いありません。シャッター速度に限界があります。 限界のないカメラでは、手ぶれを起こします。相手が動いてしまうことだってあります。ストロボなど工夫しましょう。
 明るい背景に人がいるような、いわゆる「逆光」の場合、どうしても人物は真っ黒になります。 適正に写るように露出を調整しても、回り込んできた光のために周辺がぼやけたようになります。 その効果を狙いたいのでなければ、逆光は避けましょう。避けられない場合はストロボを使うという方法があります。
 逆に、真っ暗な背景に、スポットライトがあったように光って見える花など、真っ白になってしまうことがあります。 この場合は、露出を1−2段階控えることできれいにとれるでしょう。

この項まで2015.9.10掲載
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6-2 フィルムカメラと特性
 フィルムカメラの時代に、写真撮影術の基本的なことが決まりました。デジタルカメラになっても使われる事項について説明します。
 フィルムカメラが出始めた頃は、6cm幅のフィルムが一般的でした。これだけ大きなフィルムに画像を映すためには、 どうしてもカメラは大きくなり、その分高価になります。そこで登場したのが、映画用フィルム(幅は35mm)を1.5mほどの長さに短く切って使用するカメラです。 これによって、カメラは小型化し、安価になりました(といってもまだ高価ですが)。その結果としてカメラが急速に普及し始めることになります。 このカメラは35mmカメラと呼ばれることがあります。
 その後、フィルムを横置きではなく、縦置きで使う(縦長に写す)ハーフサイズカメラやフィルム面積が35mmカメラの約半分のフィルムを使うAPSカメラも登場します。
 現在でも、この頃に使われ始めた用語が、使われています。以下のようなものです。

<縦置き横置き>
 カメラに写る範囲は正方形ではありません。そのため、横長にして見るか、縦長にしてみるか自由に選択できます。 状況によって使い分けることができます。横長になるように撮るのは、景色を撮る場合が多いので、横長写真を「ランドスケープ」という事があります。 これに対して横長に撮る場合は人物を撮るときに多いので、「ポートレイト」といいます。 もちろんランドスケープで人物をとってもかまいません。ちょっと紛らわしいですね。

<標準レンズ>
 焦点距離が50mm前後のレンズをいいます。このレンズで撮影したフィルムを25cmくらいの距離から見ると、 実際に撮影したものが見えた大きさと同じくらいになります。ファインダーで確認したときも、 実際に見えているものとファインダー内に見えているものとがだいたい同じ大きさになります。 ちなみに25cmというのは、作業するときの目から物体までの距離(ちょっと近いような気がするが)だそうで、 顕微鏡の倍率を求めるときの拡大像を作る位置とされています。デジタルカメラになってからも、標準レンズという言い方は使われています。 フィルムを見ることはないので、何が標準という基準の元がなくなってしまっていますが、 フィルムカメラの標準レンズをつけたときとほぼ同じ範囲が映るレンズを、デジタルカメラでも標準レンズと言います。
 ちなみに、焦点距離が短くなるとフィルムに写る像は小さくなり、その分だけ広い範囲が写ります。 このようなレンズは広角レンズといいます。人間の視野より広い範囲が見えるようになったら超広角レンズ、 ほとんど180度の範囲が見えるようになると魚眼レンズと言います。
 逆に、焦点距離が長くなると、像は大きくなります。遠くのものを見ているようなので、望遠レンズと言います。
 写真で写せる範囲は、フィルムの面積(デジタルカメラでは撮像素子の面積)が小さくなると、その分だけ小さくなります。 同じ範囲を写そうとすると、焦点距離の短いレンズが必要になります。 APSカメラでは、フィルムの一辺の長さが0.7倍なので、50×0.7=35mmが標準レンズになります。 レンズの焦点距離を言う場合、カメラの種類によって意味が変わってきますので、35mm換算焦点距離をいっしょに記述する場合があります。

−−−焦点距離による写り方の違い−−
27mm(18mm)写真 52mm(35mm)写真 82mm(55mm)写真
450mm(300mm)写真 1500mm(1000mm)写真               
数字は35mmカメラ換算の焦点距離で、( )内はレンズ焦点距離です。枠は次の写真に写っている範囲です。      

<絞り>
カメラレンズの絞り  カメラに入る光の量を調節するためにレンズについている窓のようなものです。大きく開いたり、小さく閉じたりできるようになっています。
 どれだけの光量を入れたかを示す目安として、F値(絞り値)が使われます。 レンズの焦点距離を、有効口径で割ったものを言います。有効口径とはフィルムに落ちる光が最初のレンズ通り抜ける部分の直径のことです。 一般に、F値が大きなほど、フィルムに届く光の量は小さくなり、暗く写ります。
 もう少し詳しく見ます。レンズの焦点距離が長くなると像が大きくなります。その面積は焦点距離の2乗に比例します。 光が拡散する分だけ暗くなります。従って、像の明るさは焦点距離の2乗に反比例します。ここで、通り抜ける光の量について考えます。 有効口径が大きいと、その面積に比例して多くなります。従って、光の量は有効口径の2乗に比例します。結局、明るさはF値の2乗に反比例することになります。
 いま、シャッター速度を2倍にしたとします。フィルムにあたる光の量は2倍になります。それだけ明るく写ります。 そこで、絞りを調節して同じ明るさに写るように調節しようと考えます。 F値をいくらにすればいいかというと、約1.4倍(ルート2倍)の大きさにします。この操作を、(絞りを)1段絞るといいます。 逆に、シャッター速度を半分にしたときは、F値は0.7倍にします。この操作を、1段開くといいます。

<ASA(ISO)感度>
 フィルムが、光に対してどれくらい敏感なのかを表す数値です。 数値がどのように設定されたかは推測になりますが、だいたいの感じで説明します。 初期のフィルムカメラでは、室内とかの暗いところでは、写すことができませんでした。 そこで、暗くても写すことのできるフィルムが開発されるようになりました。 ここで、このフィルムがどれくらい暗いとこでも写せるかということを表す数値が必要になります。 目安となるのは、シャッター速度です。シャッター速度が半分ですむフィルムは、2倍光に敏感ということになります。 今までのフィルムを100とすると、200という数値で表せます。これがASA感度です。 ISOは、ASAと同じなのですが、常用対数をとった数値を併記するのが正式な表し方です。 デジタルカメラでも、この感度に比較してISO(ASA)を設定しています。
 ASA感度の大きなフィルムの感光粒子は大きくなる傾向があり、その分だけつぶつぶが目立つようになり、ざらざらとした感じに仕上がります。 また、全体が軟調(ふらっとした感じ)に仕上がる傾向があります。 デジタルカメラでも、感度を上げるということは、同時にノイズのレベルを大きくするため、フィルムカメラと同じようにざらざらとした感じに仕上がります。

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6-3 デジタルカメラと特性
 写った映像を一連の電気信号に代えることのできる撮像素子を、レンズの造る像のところにおいて、像を記録することのできるデジタルカメラが開発されました。 デジタルカメラには、3つの系統がありそうです。一つはフィルムカメラの受光面に撮像素子をおいたタイプのもので、デジタル一眼レフが相当します。 二つ目は撮像素子に合うレンズを取り付けたもので、コンパクトデジカメやミラーレスカメラが相当します。 最後に、情報機器などのすき間にあうように、撮像素子やレンズを開発し取り付けたもので、携帯カメラがこれに相当します。 それぞれに個性がありますが、基本的なことは変わらないので一括して説明します。

<デジタルカメラの利点と欠点>
 デジタルカメラがフィルムカメラに比べて優れている点はいくつかあります。最大の特長は、写した写真がその場で確認できることです。 そのため、撮影に失敗してもすぐに取り直しができます。また、一枚あたりの単価が安く、連続して多くの枚数をとることができるのも利点です。 失敗してもいいから何枚も撮影し、その中でいいものだけを残すという使い方ができるもの、このような特徴があるおかげです。 フィルムを持ち歩かなくてもよいので、その分かさは少なくなりますし、空港のセキュリティ検査も気にしなくてよくなります。
 どのような条件で撮影されたかも自動で記録してくれます。 日付や時刻はもちろんのこと、シャッター速度、絞り値といったもの、場合によっては、撮影場所まで記録してくれるものもあります。 いちいちメモをとる必要がなくなりました。
 データの加工も簡単にできるようになりました。フィルムカメラでは、現像室と設備が必要だったのですが、パソコン一つででき簡単にできます。 加工機能のついたカメラもあります。写真の保存も比較的楽でかさばりません。フィルムは劣化することがありますが、デジタルデータは劣化はありません。 記憶装置が寿命になることはありますが、その前に移し替えることで、半永久的に保存することができます。 データの移動も簡単にできます。フィルム何十枚ものデータが一枚のカードに収まります。
 逆に欠点としては、撮像素子にゴミがつきやすく、ついてしまうと処理が大変なのですが、レンズ交換のできないカメラでは問題が起こりません。 そういうカメラは、強烈な太陽光下では、被写体を確認しづらい機種もあります。 それと、撮像素子が劣化しやすく、使っている内に不必要な点が出現するようになります。 また撮影時の構造上、手ぶれしやすくなりますが、手ぶれ補正機能がつけられるのはデジタルカメラならではです。 違いといえないかも知れませんが、電池がないと動きません。フィルムカメラには、電池なしで動作するカメラもあります。

<撮像素子>
 デジタルカメラは撮像素子によって性能が決まるといっていいでしょう。画素の一つが大きなほど、光に対する感度や、受容量が大きくなります。 そのため、素子全体が大きなこと、必要以上に画素数が多くないことが大事です。
 カメラでは、画素数がよく強調されますが、画素数が多くてもそれほどきれいに撮れるわけではないということに注意してください。 たとえば、携帯カメラを考えてみます。中に入っているカメラそのものの大きさは1cmを超えないでしょう。 従って素子もそんなに大きくないと考えられます。大き目に見積もって8mm四方の正方形と考えてみます。 これの画素数が1600万画素(16メガピクセル)とします。この場合、縦横それぞれ4000個の画素が並んでいる計算になります。 割り算してみると、1個の画素の大きさは千分の2mm(2μm)。画素には境界線が必要なので、実際に光を取り入れる部分はこれの半分程度でしょう。 この大きさのものをみるのには高級な顕微鏡が必要です。ということは、その分精度の高いレンズが要求されることを意味しています。 また、その大きさに光を絞ることができなくなる理論上の限界に近い大きさでもあります。 結局、どんなにピントをしっかり合わせたとしても、非常に小さなところ(点光源)から出てきた光は、1この画素の上にだけ当たるということはありません。 また、そうなることで光が分散されて感度が弱くなり、熱ノイズを拾いやすくなります。
 大きな撮像素子を持つのは、デジタル一眼と呼ばれるものです。 35mmフィルムと同じ大きさか、APSサイズの大きさです(これ以上の素子を持つカメラもあります)。 デジタル一眼が高級とされるのはこういうところに関係しています。
 デジタルカメラをもっているのなら、撮像素子の大きさを知っておいた方がいいでしょう。 マニュアルに書かれていますので確認しておいてください。 1型と書いてあれば、約13mm×9mmで、分数が書かれていればこれにその倍数をかけるとだいたいの大きさがわかります。
 画素数が大きいときの弊害は他にもあります。 画像情報量が増えるので、その分保存できる写真の枚数が少なくなること、読み書きや処理に時間ががかるようになることです。 全体の画質が落ちるかも知れないのに、画素数でカメラを選ぶのは無意味なことです。

<記録形式>
 画像の保存に使われているのは、JPG形式が普通です。 市松模様 記録サイズを減らせるので大変便利ですが、記録されるものは、元の画像とは違ったものになります。 圧縮率の小さいもの(高精細モード)ではほとんどわかりませんが、それでもわずかな違いがあります。 たとえば右のような市松模様を描いたとします。高圧縮をかけるて見ると明らかに初めにはなかったはずの模様が現れています(下、最初の図)。 念のために拡大してみました(2番目の図)。明らかに白黒2色に分かれていません。圧縮率を下げてみます(3番目の図)。 元通りの図のように見えます。ところが、画像処理ソフトでコントラストを強調してみると、やはりきれいに2色に分かれないのがわかります(4番目の図)。
市松模様 市松模様 hspace=
市松模様 市松模様
 このような問題がありますが、被写体を正確に記録しないといけないのでなければJPGでじゅうぶんです。
 RAW形式で保存できるカメラもあります。撮像素子のデータをそのまま記録する形式です。 その分記録サイズは大きくなります。写った映像をそのまま記録できる以外にも、利点があります。 各画素から出力されるデータは、約1700万階調です。 JPGで記録するときは、そのうちASA感度に見合った部分を256階調にして切り出しています。 露出がオーバー(過度)であったり、アンダー(不足) であったりした場合、明るさを調整した後の写真はRAWからの方がなめらかになります。 露出を変えて何度も取り直したいとか、自分で色調補正をしたいのならRAWで記録した方がよいでしょう。 RAW形式で問題となるのは、パソコンではそのまま表示されないことです。 記録容量も増えますが、細かい模様が全面に入っている写真では、ほとんど変わりません。
※撮像素子の一つの画素は、カラー画像を取り込んでいるのではなく、赤青緑のどれか1色を取り込んでいます。 従って、カラーになるためには、3つの画素が必要になります。カラー画像の各画素で、取り込んでいない色は、周辺の画素から補完して求められています。 つまり、カラー画像のデータの内、3分の2は意味のない(記録させなくてなんとかなる)データです。 RAW画像は、このような無意味なデータを記録しませんから、その分記録容量が少なくなっています。

<バッテリー>
 デジタルカメラでは、バッテリーは必需品です。 リチウムイオン電池のように、体積の割に容量の大きなものが作られるようになってきています。 最近では、カメラを小さくできるのでリチウムイオン電池のものが主流になっています。 問題になるのはカメラによって独自の形の電池が使われているようです。 結構長持ちするようになっているものの、旅行先で、電池切れになるとどうしようもありません。 替えのバッテリーは意外と高価で、他の機種のバッテリーとは互換性がありません。 空港のセキュリティで止められることもあります。こまめに充電することもできますが、バッテリーの寿命は充電回数に関係するといわれています。 カメラが大きくはなりますが、乾電池の使用できるものだと、最悪の場合電池を購入すればすみます。 カメラを選ぶときは、バッテリーのことも考えておいた方がいいでしょう。 2017.12.13補足:デジタルカメラはだんだんと高機能になってきています。 GPSとかWifiといったものが内蔵されるようになってきて、電気の使用量が多くなり乾電池型のバッテリーでは容量が足りなくなってきています。 そのため、最近では乾電池型のバッテリーを使用できるものは見かけなくなりました。

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6-4 カメラの特性
<被写界深度>
 カメラでピントを合わせたときに、その前後にあるものはピンぼけになります。ピンぼけにならないで写る奥行きの幅を被写界深度といいます。 物体から出た光はレンズで、1点に集められますが、その前後の位置では、少し大きく広がっています。 この広がりが、フィルムの粒子や撮像素子一個の大きさより広くならないようになる、物体の位置の幅で表します。
 一般的には、それほど厳密でなく、おおよその感じで用いられています。 幅が大きなものは「深い」とか「大きい」、小さなものは「浅い」とか「小さい」と表現します。 被写界深度が浅い写真は奥行きのある写真になり、その分ピンぼけになりやすくなります。 前後に不必要なものがある場合、カットする手段として使えます。 逆に、被写界深度の深い写真は平面的に写り、いろいろなものにピントの合った写真を撮ることができます。
絞りの違いによる被写界深度の違い  被写界深度の大きさは、絞りの値やレンズの焦点距離と関係があります。 一般に、絞りを絞ると被写界深度は深くなり、開くと浅くなります。 右写真は、同じピント位置で、絞りを開いた場合(左)と絞った場合(右)です。 絞った方がより遠くのものまではっきりと写っていることがわかります。 焦点距離が変わった場合では、短いレンズでは深く、長いレンズほど浅くなります。
 レンズ付きフィルムのように単純な機構のカメラでは、短めの焦点距離と大きい絞り値にすることで、ピント合わせをしなくてよいようにしています。
 一眼レフカメラでは、絞りを一番開いた状態でピント合わせをするようになっています。 明るく見える方がピント合わせをしやすいからですが、実際にどのように写っているかをあらかじめ確認したいことがあります。 このような場合のために、絞りを操作して写り具合を見ることができるようになっている機種もあります(プレビュー)。 方法は機種によって異なりますので、マニュアルで確認してください。操作すると、画面は暗くなります(開放絞りの時は変化しません)。

<シャッター幕>
 カメラは、撮影をするためにシャッターを開きます。それを開ける方法は大きく二通りあります。 そのうちの一つはレンズの近くで絞り幕のような、シャッターが大きく開くものです。比較的、簡単な機構のカメラに多いタイプです。
 もう一つは、一眼レフカメラにあるタイプで、スリットのように開いたシャッター幕が、フィルムまたは撮像素子の前で、上下左右のどれか一方に動くものです。
転がるピンポン球  後者の場合、速く走っている物体を高速シャッターで撮影した時に、形がゆがむという現象が起こります。 フィルムなどのある投影面上で、シャッターの動く方向と同じ方向に物体が動けば、物体は動きの方向に伸びるように写ります。 動きが逆の時は縮み、直角方向なら形はゆがみます。右写真は、左から右に転がるピンポン球を、 シャッターが縦方向に動くカメラで写したものです。形が歪んでいるのがわかります。 比較のために、真円を書いておきました。実際に、このような状態で写るようにとるために、 タイミングをあわせるのに苦労します。
 ストロボを使って、撮影するときにも問題が起こることがあります。 ストロボの光はほとんど一瞬の間だけ光っているのですが、スリットタイプのものだと、ストロボが光っているときにスリットが開いている幅しか光が当たりません。 フィルム(撮像素子)全体に光が入るようにするためには、スリット幅がフィルムなどの幅より広くなるシャッター速度で撮影する必要があります。 ストロボ撮影時に60分の1秒とか180分の1秒といった速度より速いシャッター速度が使えないのは、このためです。 絞りタイプなら光るタイミングと絞りが開いているタイミングさえ一致すれば、暗くなるかも知れませんが、写すことはできます。

ここまで2015.10.12掲載
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6-5 撮影の手順
 カメラで撮影するときは、ほとんどの手順をカメラがやってくれますが、任せきりにできないときもあります。 そのようなところや、自分で調整した方がいいところを、撮影までの手順に従ってみていくことにします。

<カメラを構える>
 撮影するにあたって、たぶん最初に行う操作です。特段ふつうに行えば問題はありません。 注意ししないといけないのは、暗いところで撮るとか長い焦点距離のレンズを使うとかという場合は、 状況によっては手ぶれを起こす原因となります。ふだんからしっかりと構える習慣をつけておくようにしましょう。 脇を締めて撮るといいとされています。何かにもたれかかるだけでも、手ぶれは軽減します。 場合によっては三脚を利用することも考えましょう。

<構図を決める>
 撮りたいものが、画像の中にきちんと収まっているように調整します。近くのものなら、被写体に近づいたり、遠ざかったりすることで写る大きさを調節できます。 ズームレンズならズーム機能を使うと調整できます。場合によってはレンズを交換することもであります。 立ち位置を変えてみるのも方法です。間にある障害物がなくなりすっきりとすることがあります。 思い切りしゃがんでみるとか、普段やらないような位置から撮ってみると、趣のある写真になることがあります。
 背景と一緒に撮る場合、前に近づいて撮るのと、ズームアップするのとでは効果が違います。 前に近づくと、対象物が大きくなります。背景との大きさのバランスを考えるようにしましょう。

<露出を調整しピントを合わせる>
 普段はカメラ任せにするところなのですが、調整したくなるときもあります。
 露出は、画面の全体に対して行うのか、中心付近の一部にあわせるのかを選べるようになっている機種があります。 自分に合ったものを選んでおくいいでしょう。場合によっては、AEロック機能を利用する場合もあります。
 黒っぽいものや暗い背景の中にある明るいものをを撮るときは露出を控えめに、白っぽいものや明るい背景の中にある暗いものを撮るときは露出を多めにします。 このように明暗の度合いによって露出補正をかけるのはもちろんですが、露出オーバーやアンダーの効果をねらう(たいがいは失敗します)ときもあります。
 動きを強調したいとか、押さえたいといった場合は、シャッター速度が先に決まるシャッター速度優先露出を使います。 動きを出したいきはシャッター速度を長めに、動きを止めたいときは短めにします。 下写真1枚目は、短時間(1/500秒)で撮影したもので、水滴の一つ一つが止まったように写されています。 これに対して2枚目は長時間(1/15秒)で撮影しています。水滴が流れた跡がすじのように写っています。
滝 短時間露出 滝 長時間露出
 前後にあるものをぼかして奥行きのある写真にしたいといったばあいは、絞り値が先に決める絞り優先露出を使います。 絞りを開いた状態で撮ります。逆に、被写体と背景を同時に写し込みたいときは絞りを絞った状態で撮ります。
 ピント合わせも機械に任せられないときがあります。狙ったものにあわせてくれない場合もあります。 コントラストのはっきりしないものや、暗いときなど機械は苦手なようです。このようなときは手動でピントを合わせることになります。
 露出・ピント合わせとも、コンパクトデジカメは手動ではできないようです。

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6-6 あると便利なもの
<ストロボ>  最近のカメラには付いているのが普通です。特別何かの目的がない限りこれで事足ります。 ストロボを利用するには接続用の端子が必要になります。端子のないカメラでは利用することができません。大概はストロボ取り付け台座につけられています。
 遠くのものに光を当てたい場合、カメラ内蔵のストロボでは光量が足りないことがあります。このような場合は光量の大きなストロボを使います。 光量の大きさはガイドナンバーという数値で表されます。これ大きなものほど明るいストロボになります。
 ストロボの光は、近くのものには強く、遠くのものには弱くあたります。 そのため、いろいろな距離にあるものをいっしょに撮ろうとした場合、近くのものは白っぽく、遠くのものは黒っぽくなります。 また、被写体の影ができることもあります。このようなことを防ぐ方法として、ストロボの光を壁などに反射させてから、被写体に当てるという方法があります。

<フィルター>
 レンズの前に着けて、フィルムに届く光の色や状態を変え、より自然な感じ見えるようにするためのものです。 デジタルカメラではホワイトバランスで対応できますから、基本的に必要ありません。例外的に、いくつかのフィルターは、それでもまだまだ有効です。 RAW画像に対してはホワイトバランスは働きませんから、この段階で修正されているものがほしいのであれば、 ふつうの色バランスフィルターも使用する必要があります。
 デジタルカメラでも効力のあると思われるフィルターについて説明します。

偏光フィルター(PLフィルター)
 水面やガラスなどの反射を弱めたり、強調するときに使用します。空の色を濃くしたりとか、虹の強調とか意外な場面で使用することができます。
 フィルター部分がレンズの前で回転するようになっています。一眼レフカメラでは、レンズに取り付けた状態でフィルターを回転させ、 効果を確認しながら撮影することができます。 その他のカメラでは、効果の大きい向きを調べてから、その向きになるようにレンズにつけるか前に置いて使用します。
 下の写真は、水中に沈んだ倒木を撮ったものです。1枚目がフィルターを使っていないものです。わずかに倒木の水中部分が見えます。 2枚目は、フィルターを使って水面の反射を抑えたものです。水中部分もはっきり写っています。 3枚目は、逆に反射を強調したものです。水中部分はほとんど写っていません。
水中の倒木 フィルターなし 水中の倒木 反射軽減 水中の倒木 反射強調
 偏光フィルターは、直線偏光(ふつうにPLフィルター)と円偏光(サーキュラーPL)の2種類があります。 効果は直線偏光の方がはっきりとわかるのですが、最近のデジカメではピント誤作動を引き起こすことがあるようです。 最近販売されているものはほとんどが円偏光タイプのものになっています。 使っているカメラのマニュアルにも誤作動を引き起こすことがあると書かれているのですが、気になるほどの誤作動は起こっていません。

減光フィルター(NDフィルター)
 光を弱めるためのものです。その度合いによって、ND4、ND8、ND400などがあります。 数字は、弱める度合いを示していて、ND8なら8分の1に光が弱まります。これは、6段階絞ったのと同じ効果があります。シャッター速度では8倍です。
 使用できる場面は2通りあります。一つは、光が非常に強すぎるので弱めたい場合、もう一つは、露出時間を延ばして動きを強調したい場合です。
 光が強いのは、太陽を直接撮る場合です。それ以外でも、春の雪山とかでは、意外と光が強い場合があります。
NDフィルター使用例  露出時間を長くして水の流れとかを撮ると流れた跡が筋になって写り、流れが強調されるのは先に述べたとおりです。 もっと長くすると、動き回るものが平均化され消えてしまうことがあります。 右写真は交通量の多い交差点をNDフィルターで減光し15秒かけて撮影したものです。右折車が待機していますから、対向車がいるはずですが、 写っていません。タイミング的に、このような車や歩行者が写らない瞬間はなかなかやってこないでしょう。 同様に水面のさざ波を消し、水面に映るものをくっきりとさせることができます。
いずれの場合も、露出時間は手持ち撮影時間の限界を超えますので、必ず三脚に固定して撮るようにしてください。

クローズアップフィルター
 拡大して撮影するためのフィルターです。虫眼鏡で大きく見るのと同じ原理で拡大します。 最近のカメラでは、マクロ(接写)機能のついているものがほとんどですから、出番はないようです。 それでも大きさが物足りない時には使用できます。画像がゆがむことがあります。
ベローズユニット  一眼レフカメラでは、接写リングやベローズユニットを使用してレンズを前に出して撮影するする方がきれいに撮れます。 大きく拡大するときは、標準レンズか広角レンズを逆向きにして取り付けると歪みや色むらなどが少なくなります。 右写真は、ベローズユニットを利用して、マクロレンズを逆向きに取り付けた例です。 これを、三脚やスタンドに固定して拡大撮影をします。
 ピント合わせは手動で行います。撮影時のファインダーは暗くなりますから、十分な明るさの光源をいっしょに使ってください。

クロスフィルター
光条を出させた写真  明るいものから光の筋が引いたように写すためのものです。画像処理ソフトウェアで同じ効果を出せるものがあります。 そちらを使った方が、太さ大きさといったものまで調整ができて便利です。 光源が明るくなりすぎて、白飛びしてしまっている場合は、ソフトウェアでは白い筋になってしまいます。 元の光の色で筋を出したいという場合に限ってこのフィルターは効果があります。 ガラス板などにワックスで筋を引き、レンズの前に置いて撮影すると、同じような効果が出ることがあります。 右写真はこの方法で撮影したものです。

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6-6 特殊な撮影法
<流し撮影>
 動きのあるものを動いているように撮りたいときに使われます。 ふつう、露出時間を長くすると、動いている物体がぶれることによって、動いているような感じに写ります。 このときぶれが大きすぎると、何を写したのかがわかりにくくなります。 そこで、被写体と一緒にカメラを動かし、背景の方をぶれさせようという方法です。 カメラで被写体を追いかけている間にシャッターを押すような感じで撮ります。 追いかけるときは、カメラだけを動かすのではなく、体を被写体に向けるような感じで体全体をひねるように動かすとうまくいきます。 シャッター速度は、その時の状態によって異なります。 短すぎるとぶれがでませんし、長いと全体がぶれてしまってよくありません。色々撮って試してみてください。
 下写真は、動く列車を(特急はるか)を100分の1秒のシャッター速度で撮影したものです。 どちらも動いている感じが出ています。 1枚目は、固定撮影したので、列車はぶれています。2枚目は、列車を追いかけながら撮ったもので、列車はきれいに写っていますが、前後の景色がぼやけています。
列車 固定撮影 列車 流し撮影
 手ぶれ補正機能のあるカメラでは、手ぶれと判断し、うまく写らないことがあります。この機能を解除して撮影してください。

<スローシンクロ>
 夜景を背景に人物写真を写真を撮りたいけれども、人に当たる光が足りないときに使います。 ふつう、ストロボを使って人を撮ることが多いのですが、これだと夜景の方が光不足になります。 そこで、夜景が写るシャッター速度でストロボを炊いて撮るようにすると両方がきれいに写ってくれます。 星を背景にというような場合も有効です。このときストロボではなく、懐中電灯で照らすという方法もあります。 もちろんのことですが、光の当たっていないときの人はどこにいても問題はありません。ただし、背後に強い光を出すものがあると別です。
 ストロボはこれ以外にも、逆光で顔が黒くなるような場合にも、効果があります。シャッター速度は規定の速度より長くなるようにしてください。 シャッター速度優先で撮影します。

2015.05.10 第1節4項まで掲載
2015.06.10 第2節5項まで掲載
2015.07.10 第3節  まで掲載
2015.08.08 第4節5項まで掲載
2015.09.10 第5節3項まで掲載
2015.10.12 第6節4項まで掲載
2015.11.11 第6節6項まで掲載
      第4節6項 を 加筆
      前編 と 後編に分割
2015.12.10 第1節5項 を 加筆

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