ヨッシンと地学の散歩 > 散歩道の宝物  > 軍艦岩

ヨッシンと 地学の散歩

散歩道の宝物



軍艦岩
軍艦岩
愛媛県久万高原町美川

 大きな船の舳先のような形の岩です。正式な名称は御三戸嶽(みみどだき)といいますが、その形から軍艦岩と呼ばれています。 三波川変成岩に挟まれる石灰岩層でできた岩です。石灰岩は周囲の結晶片岩に比べ浸食に強く取り残されてできたようです。詳しく見ていきます。
 周辺の地形を地形・地質の概略をみてみます。この場所は久万川と面河川の合流点にあり、合流後の流れは仁淀川と呼ばれます (愛媛県内の流れを面河川、高知県内の流れを仁淀川にしている地図もあります)。面河川は写真左側を奥から手前に、 久万川は枠外左側から流れて来て、写真の左手前側で合流し、右側を奥の方に流れて行きます。面河川と久万川が正面衝突するような流れがあるのも、 不思議です。
 この付近には東西方向に延びて分布する石灰岩があります。北西から流れてきた久万川は軍艦岩の西側(写真の枠外左手前側) でこの石灰岩帯を乗り越えていました。北東から流れてきた面河川は、もともとは軍艦岩の東側(写真奥の方)で石灰岩体を乗り越え、 その南側で久万川と合流していたようです。その後下方に浸食されていく過程で、石灰岩体は取り残され、その北側の方が深く浸食されていきました。 軍艦岩の上面の高さまで浸食するようになったころに、北側を西に向かって流れはじめ、現在の合流点で久万川と合流するようになりました。
 その後、面河川は河床を下の方向に浸食するとともに、岩にぶつかるように流れてきていますので、 石灰岩体を薄く尖らすように浸食していきこのような形の岩ができたようです。
軍艦岩のでき方
2011.04.10




 久万高原の軍艦岩は長さが150m以上もある非常に大きなものです。 もう少し小くなりますが、軍艦岩と呼ばれるものは各地に多数あります。そのいくつかを紹介します。

沖縄県与那国島
   別名:渡難
 与那国島の東崎の近くにあります。長さは50mくらいで島状になっています。陸地側から見ると浮上してきた潜水艦のようにも見えます。 渡難(どなん)というのは、渡るのが困難だという意味です。
与那国島軍艦岩
2017.12.13up

鹿児島県沖永良部島
   別名:離れ瀬
 和泊町北部半崎の沖合にあります。2つの小さな島が並んでいますが、左側のものを軍艦岩といいます。 半崎から見ると長さが50mほどの大きさに見えます。実際には奥行きも同じくらいあります。
 戦時中に空襲を受けたといういわれがある事からこのように呼ばれています。
沖永良部島軍艦岩
2018.07.15up

大分県中津市深耶馬溪
   別名:渓舟岩
 深耶馬溪一目八景から上流側1.5kmの所にあります。長さ10mくらいの細長い岩です。 溶結凝灰岩が削られてできたと思われます。
深耶馬溪軍艦岩
2017.12.13up




<散歩道の道標>  <散歩道の宝箱>
 次へ>>