岐阜県中津川市や恵那市の木曽川沿いの地域には花崗岩が分布しています。特に、蛭川では、蛭川石として採掘されています。水晶などもたくさん見られます。
花崗岩という岩石は、山腹などに丸みを帯びた大きな岩の塊を木々の間からのぞかせるのが特徴です。
白っぽい大きな塊が顔をのぞかせているようすは、花が咲いたようにも見えます。花が咲いたような岡(崗)ということがその岩石の名前の由来となっています。
木曽川沿いでも、特に恵那峡と呼ばれる一帯では、所々に大きな岩の塊が顔をのぞかせている様子が見られます。
ところが、この紅岩だけは、色が変わっています。 赤といいたいのですが、どちらかといえばオレンジ色です。
ここだけ違う岩石でできているのかというと、そうではないようです。周囲の岩もあわせてよく見ると、色の薄いものから濃いものまで色々あります。
また、筋のような模様が見られます。この模様は、となりの岩にはつながっていかないようです。地学的な現象の場合、つながっていくのがふつうです。
何か表面だけに色がついているように見えます。
この色の正体は、ダイダイゴケという生物です。コケという名前がつけられていますが、地衣類の仲間です。
ダイダイゴケにもいろいろな種類があり、意外といろいろな場所で見つかります。
たとえば、右写真は近所の側溝にある柵の下の水平なコンクリート上にできていたものです。種類まではわかりません。
同じような場所を探してみると、たくさん見つけることができます。
雨が降ると表面にうっすらと水を被るのだけれども、水たまりにはならないところに多いようです。
紅岩を見直してみると、その筋は水が流れたところの模様にも見えます。雨が降って、表面を水が流れて、適当に湿ったところにダイダイゴケがついたようです。
今から4億年前に、生物が陸上に進出したといわれています。それは、緑藻類の仲間から変わった植物とされています。シダとかコケとかいったものの仲間です。
でも、ダイダイゴケのような、コケ類より乾燥に強そうな地衣類を見ていると、ひょっとすると、
地衣類の方が先に陸上に現れていたのではないかというような気がしてきます。
2015.07.10