青ヶ島は、周囲が海に浸食されたカルデラでできた火山島です。そのカルデラの中央火口丘にあたるのが丸山です。
丸山の形は、頂部が凹んだ円錐形をしています。
このような形になるのは、噴火口から火山弾やスコリアを噴き上げそれが噴火口の周囲にたまって山となった場合です。
噴石丘(スコリア丘)といいます。
奇妙なのは、山の直径に対して高さがそれほど高くないことです。高いところから写した写真では、へこんだところがいくつか見えます。
はっきりしているのは左側に2つ並んでいるものです。パンフなどには、2つの火口を持つ火山と記されています。
よくみると、裸地になっているその向こう側にも凹地があることがわかります。形が円形でないので噴火口とされていないのかも知れませんが、
間違いなく噴火口です。つまり、丸山は3つの噴火口を持ち、3つの噴石丘が合体してできた山であるといえます。
そのため、高さに比べて周囲の直径が大きくなったといえます。
ふつう、1回の噴火で噴火口がいくつか作られるときは、噴火口が直線上に並びます。これは、マグマが地下深くから上昇してくるときに、
地下にある割れ目を伝わって上がってくるためです。丸山の噴火口が、直線上に並んでいないというのも不思議です。
マグマの通り道が途中で3つに分岐したとか、2つの平行な割れ目を伝ってマグマが上昇してきたとかいうことが起こったのでしょう。
右側にある3つ目の噴火口の形がいびつなのは、噴火が途中から溶岩を流出するようになったからです。
流れ出した溶岩は、噴石丘のうちの向こう側一部を乗せて100mほど向こう側に運びました。そのため、噴火口の形は向こう側にのび、
さらに、噴石丘が分かれて低くなったところと合わさって曲がった谷のような形になりました。
溶岩が流れ出した頃には、左側の噴火口からの噴火は収まっていたようです。噴火口が浅いのはそのためです。
溶岩流の上に乗って運ばれた砕屑丘の断片をスコリアラフトといいます。
ここでみられる向こう側に崩れ始めた砕屑丘の一部はスコリアラフトといえるでしょう。
丸山を見てもう一つ気づくことは、山の右手前側が裸地になっているということです。
近くに行けばわかりますが、ここには蒸気を噴き出す穴がたくさんあります。
このような穴を地元では「ひんぎゃ」と呼んでいます。この熱のため植物が育たず、裸地となっています。
蒸気は、料理に使ったり、サウナにしたり、製塩をするための熱源として利用されています。サウナ・製塩のための施設は山の中腹右側に写っています。
マグマの余熱によって地下に蒸気ができたとします。だんだん上に上がってきます。ところが溶岩が流れたところでは、
すき間がありませんから上がれなくなります。仕方がないので溶岩が流れたのと反対側(こちらの方が高いから)に移動していきます。
そして、溶岩が流れていないほうの斜面からたくさん吹き出すようになります。このようにして噴気孔群ができたのでしょう。
2015.06.10