ヨッシンと地学の散歩 > 散歩道の宝物  > 青い池

ヨッシンと 地学の散歩

散歩道の宝物



青い池
青い池
北海道美瑛町白金

 白みがかった青い色をした水を湛えた不思議な池です。水の色は半透明のようにも見えます。 この池を写した写真から急に世界中に知れ渡るようになりました。 横を流れる美瑛川の洪水対策として、ブロックを積んだところ自然に水がたまってできたものだそうです。
 水の色がこのような色をしている原因は、一般にいわれているようなものでしょう。 水中に非常に小さな粒子が含まれていて、それが太陽光の内青っぽい色の光を優先的に反射させた結果、水の色が青く見えるようになります。 チンダル現象と呼ばれるもので、空の色が青いのもこの現象によります。チンダル現象を起こす小さな粒のことをコロイド粒子といいます。
 駐車場にあった説明書きには、コロイド粒子以外にも諸説ありますと書かれています
別府温泉かまど地獄  右写真は、大分県別府温泉のかまど地獄です。よく似た水の色をしています。 温泉水がたまっているところでは、時々このような色をしているものを見かけます。 温泉水が適度な速度で冷やされると、温泉水中の成分が小さな粒となります。これが、チンダル現象を起こしているのでしょう。 池の底、特に浅いところを見ると、白っぽいものがたまっているように見えます。コロイド粒子が沈んだもののようです。
 横を流れる美瑛川も水は青っぽい色で、青い川とかブルーリバーと呼ばれています。 上流には白金温泉があります。ここの温泉水が関係していると思われます。 一般的には、白金温泉付近で硫黄沢川と美瑛川が合流し、川の水が反応することで粒子ができるとされています。 ところが、航空写真を見ると、美瑛川はその上流1kmあたりから徐々に青くなっているようにも見えます。 深く水のたまっているところが少なくなったためにそのように見えるだけで、もっと上流から青くなっているのかも知れません。 川底で、温泉水からコロイド粒子が少しずつ供給され、白金温泉付近で青く見えるほどの量になったのでしょう。

 この池に関しては、もう一つの問題があります。池を青くしている水がどこから供給されたかということです。 考えられることをあげてみることにします。
1.美瑛川の水が流れ込んだ
 美瑛川は、池の近くでは池より2−3m低い所を流れています。水は高い方に流れません。
2.上流から分かれた水が流れ込んだ。
 池の上流にはここと同じように、川の方に水が流れるようにブロックを組んだところが何ヵ所もあります。 これを避けて水が流れることはなさそうです。また、上流側のブロックの内側にも同じような池ができていてもおかしくありません。 そういう池は他には見当たりません。
3.美瑛川の水が地下を流れてきた
 土の中ではコロイド粒子は濾過されてなくなってしまいます。従って地下水が青く見えることはありません。
4.池で何らかの化学反応が起こりコロイド粒子がつくられた
 ふつうの水で化学反応が起こるのなら、ふつうにある他の池でも起こっていそうです。そういう池はほとんど聞きません。
5.ブロック内の低地でコロイド粒子を含む地下水または温泉水がわきだしている
 美瑛川の上流側でそのようなことが起こっているのなら、ここでも起こっていてもおかしくはありません。 上流側の供給地は、ここからだいぶ離れています。これだけ離れたところで同じようなものが出てくるとすると、他でも出ていても良さそうです。 それが見当たらないのは、ここと同じく規模が小さいからでしょうか。工事の後に急に湧き出してきたというのも気になります。
6.美瑛川から供給される用水管が、ブロック区域内で破損して水が漏れ出している
 地理院地図には白金温泉の少し上流の所から、地下水路が書かれています。 水路をおっていくと、青い池駐車場あたりで90度方向転換し、山向こうにあるしろがねダム四季彩湖につながります。 水路は、駐車場あたりで一番低くなり、ダム湖に向かって20mほどの高さを一気に駆け上がります。 ここで90度折れ曲がっていますから、水圧が一番かかる場所といえます。 さらに上でブロック積み工事の車両が頻繁に行き来したでしょう。水路が損傷を受ける要因はいくつか考えられます。
 ここから水が漏れ出したとします。その水は最終的にはブロックで囲まれた内側に集まるでしょう。
 このようなものがあったとしたら、損傷した場所で陥没が起こっているはずです。また、漏れ出した水の流れが見つかってもおかしくありません。

 結論は出ないのですが、色々考えてみるのも楽しいものです。他にも何か考えつくかも知れません
2016.12.12




 他にも、青い色をした池はたくさんあります。いくつかを紹介します。

八甲田山地獄沼
 八甲田山酸ヶ湯温泉の近くにある沼です。付近は噴気地帯になっていて、賽の河原やまんじゅうふかし等の噴気に関連したものがあります。 沼の周囲を見ても、草木が生えていない場所がいくつか見られます。このことから、温泉水に含まれる粒子によって色がついたものと推定できます。
八甲田山地獄沼
2017.12.13

秋田県乳頭温泉郷孫六温泉
 乳頭温泉郷孫六温泉の前を流れる沢です。黒湯温泉や一本松温泉、その他噴気地帯の中を流れてきています。 温泉水を多量に含んでいるようです。美瑛川同様、川の水が青みがかって見えます。砂防ダムによってためられた所の水の色です。
乳頭温泉郷孫六温泉
2017.12.13

八幡平ガマ沼
 八幡平山頂の南側には、爆裂火口がたくさんあり、そこに水がたまっていくつかの沼ができています。 ガマ沼もそのような沼の1つで、3つの火口があるとされています。硫黄コロイドによって着色されていると解説されています。
八幡平ガマ沼
2017.12.13





<散歩道の道標>  <散歩道の宝箱>
<<前へ ■ 次へ>>