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輝岩

輝岩
 「きがん」と読みます。ワープロで変換しても「奇岩」としか変換してくれません。 という意味で変わった岩石です。 輝く岩と書くのですが、あまり光り輝いているようには見えません。それもそのはずで、 名前の由来は、輝石だけでできている岩石ということからついています。 輝石は英語でパイロキシン、輝岩はパイロキシナイトとなります。 写真の石は1〜2cm大の普通輝石(オージャイト)だけでできています。 輝石という名前も元々は輝く石という意味で、劈開によって割れた平面が光って見えます。 岩石になると、劈開がはっきりできないことからしっかり輝いて見えないようです。
 ところで輝岩はどのようにしてできるのでしょうか。 輝岩を作っている輝石は次のようにできるといわれています。高温状態のマグマが冷却しある温度になったとき (深さ0mの場合約1200℃)マグマ中からかんらん石の結晶ができはじめます。 かんらん石の結晶はマグマに比べて重たいのでマグマ体の底に沈んでいき、 かんらん石だけでできたかんらん岩という岩石を作ります。 このとき、マグマの成分にアルミニウムが含まれていると、斜長石も作られますので、斑糲岩となります。 もう少し温度が低い場合は、かんらん石ができるのではなく、輝石ができます。また、 マグマの中にできていたかんらん石の結晶はマグマと反応し輝石に変わります。 このようにしてできた輝石も、マグマより重たいのでマグマ体の底に沈んで輝岩を作ることになります。 さらに温度が低いと、輝石ではなく角閃石ができ、せっかく作られていた輝石も角閃石に変わります。 逆に温度が高い状態が続くと、かんらん石だけが作られ、輝石を作るのに必要な成分がなくなってしまいます。 アルミニウムの少ない特殊なマグマが、 特定の温度まで一気に下げられ、その温度が長時間継続したためにできた岩石ということになります。
 地球内部ほどアルミニウムが少ないので、かんらん岩や輝岩は地球深部、 すなわちマントルの岩石と考えられています。 重たいマントルの岩石がどのようにして持ち上がってくるのか不思議です。


分類: 火成岩類 深成岩
       超塩基性岩
産地:京都府宮津市普甲峠


 マグマが冷却し、かんらん石や輝石ができた後、マグマの成分は変化していきます。 かんらん石や輝石ができるのと一緒に、マグマ中から鉄やマグネシウムの成分を取り去られるからです。 このようにしてマグマの組成が変わっていくことをマグマの結晶分化作用といいます。 この仕組みに基づいてぶんしょうをつくりましたが、巨大なマグマの集合体が必要と考えられます。 実際にはこのようなものがマグマにあるわけではないので、何か別の仕組みが働いて作られていると思われます。 もっとも根本的なところは変わりませんが、



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