香川県でみられる岩石にたたくと金属音がするので、かんかん石と呼ばれているものがあります
表面は白っぽく、断面は黒く、貝殻状に割れます。
この岩石は、讃岐岩(サヌカイト)と命名されています。正式には、微晶質古銅輝石安山岩と言います。
古銅輝石と呼ばれる鉱物を含み、非常に細かい結晶でできている安山岩という意味です。
金属音がするのは、大きさのそろった非常に細かい鉱物でできているので、
岩石内部での音の乱反射や吸収が少ないからです。質のよいものを集め、
音階別に並べて石琴も作られています。いくつかの博物館などでは比較的大きなものをつり下げて、
叩いて音を聞けるように展示しているところも多数あります。
もう一つの特徴は、貝殻状に割れることです。割れ口が非常に鋭く、紙などを切ることができます。
この性質を利用して、古代には石器として利用されていたようで、
近畿地方などでは石器の石材として遠くまで運ばれていたようです。
一般に讃岐岩と呼ばれているものは、古銅輝石やその他の非常に細かい結晶でできていて、
割れ口が滑らかなものを指していうようで、あまり音にはこだわっていないようです。
讃岐岩の産地としては、ほかに大阪府の二上山のものがありますが、金属音という点では、
香川県のものには劣るようです。
写真の讃岐岩も金属音では少し劣るものです。岩石中に大きな穴が開いているように見えます。
産地付近のものは、流理構造と言って、溶岩が流れたときに、急冷されたところ、
ゆっくり冷えたところが流れで引き延ばされて細長い筋状になっていて、
風化作用によって特定のところがとけてできたものです。よくみると、溶けたところ、
溶けていないところによって左斜め上から右下にかけて筋状になっているのがわかります。
香川県や大阪府近辺では、讃岐岩に似ているけれどももう少し大きな鉱物を含む岩石もあります。このようなものは、讃岐岩(サヌカイト)
に似た岩石と言う意味のサヌキトイドと呼んでいます。違いは、鉱物の大きさだけです。これは流れた溶岩が、
ゆっくり冷えたか急激に冷えたかの違いかもしれません。サヌカイトの様な細かい鉱物が集まったものは、
地表や空気によって急激に冷やされてできたもの(周辺急冷層といいます)ではないかと考える学者もいます。
分類:火成岩類 中性岩・火山岩
産地: 香川県 坂出市 国分台
サヌカイト・サヌキトイドやそれに類する岩石は、東の愛知県設楽から、奈良県中部の畝傍山・耳成山、大阪府奈良県境の二上山・信貴山、
大阪府南部の嶽山・鍋山、兵庫県西宮市の甲山、香川県の小豆島・屋島や琴平山(象頭山)等で見ることができます。
初期は流紋岩の噴出に始まり、ざくろ石を含む安山岩、サヌカイト・サヌキトイドの噴出へと変わっていきます。
サヌカイト・サヌキトイドの噴出だけの地域もありますし、逆にそれがかけている地域もあります。
これらの岩石が分布している地域の特徴は、西日本の中軸部にある低地に沿っていることです。
この地域の西部は海が入り込んで瀬戸内海となっていることから、この岩石の分布域を瀬戸内火山帯と呼んでいます。
今から1500万年前(中期中新世)の火山とされています。
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