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さざれ石

さざれ石
 写真の岩石は、兵庫県内の某神社の境内にさざれ石として置かれているものの表面を拡大して撮影したものです。これがさざれ石である根拠として、 さざれ石は周りにある仲間をくっつけて大きくなり、最終的に岩(巌)にまで大きくなると、傍らの解説に書かれていました。 いくつかのホームページの解説にも似たような説明が見受けられます。また、同様の岩石が全国の神社に置かれているようです。
 有名な和歌の文面を読むかぎり、境内に鎮座している写真の岩石はさざれ石でないことになります。さざれ石というのは、 大きくなる前の小石のことであり、写真に写っている赤や白、黒の一つ一つの丸い石ころのことになります。一般的にも、 小石のことをいうという説明が多いようです。おそらくこの岩石と解説を見た人は、さざれ石とは小石が集まってできた岩石だと勘違いするでしょう。 この石を寄付した人もそう勘違いしているようです。
 なぜこの岩石が、さざれ石と勘違いされたのでしょうか。それは、小石が大きくなるということが理解できなかったからでしょう。 ちょうどうまい具合に、レキが集まって硬まりレキ岩になるという続成作用の考え方があり、その方が科学的に理解しやすかったためと思われます。 そうして、さざれ石が大きくなるという見本としてレキ岩のサンプルがおかれるようになったのでしょう。
 繰り返し書きますが、さざれ石とは小石(学術的にはレキ)のことであって、写真の岩石はさざれ石ではありません。
 昔の人は、小石はどのようにして大きくなると考えていたのでしょうか。今まで聞いた話の中で気に入っているのは次のようなものです。 自然界にあるものには全て命が宿っているので、小石でさえも、水をやったりして手入れを怠らないでいると、 草木のように生長しだんだん大きくなっていくという話です。
 ごろごろ転がって周りのものをくっつけていくというより(妖怪変化のようで気持ち悪い)、日本人好みの考え方ではないでしょうか。

分 類: 堆 積 岩 類
岩石名: レ   キ 
時 代:中生代白亜紀


 この岩石は香川県産と解説に書かれていました。岩石の特徴や分布などから、香川県南部に分布する和泉層群の最下部に見られるレキ岩と見られます。



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