4m位の長さの細い柱のような石がたくさん一列に積み重なっています。階段のようにも見えますし、材木を積み上げているようにも見えます。
柱のような石は、
地下を上昇してきた溶岩や噴出した溶岩がかたまるときにできたものです。溶岩が冷却固結するときには、熱が逃げていく方向に割れ目ができます。
この方向を一般には冷却方向といいます。右の写真は地下の割れ目に入った溶岩がかたまってできたもので岩脈といいます。溶岩の周りにあった岩石は、
軟らかく、浸食されてなくなっています。岩脈は写真の上下・前後方向に伸びています。周囲にあった岩石に熱を奪われますので冷却方向は左右方向になります。
割れ目は、水平方向にできたものが目立ちますが、写真の面と平行にできたものもあります。このようにして岩石には柱の形に割れ目ができ、
このよう割れ目を
柱状節理と呼んでいます。
上の写真のような割れ目は、下の写真にある割れ目の間隔はそのままにして、左右・前後・上下方向に大きくするとできることがわかります。
材木を積み上げたような石は、岩脈とそれにできた柱状節理によって作られた物だとわかります。
ところで、階段のようになっている右側の壁にも上下方向の柱状節理ができています。この柱状節理は、厚い溶岩流が流れてきてたまってできたものです。
実際垂直方向の
柱状節理は溶岩流にできていることが知られています。溶岩流と岩脈はどちらが先にできたものでしょうか。
岩脈が先にできていたものと考えると、溶岩流は岩脈によって冷やされますので、冷却方向が岩脈側に曲がるはずですが、溶岩流の柱状節理は真すっぐです。
また、岩脈のはばは一定であることから、溶岩流が流れたあと、溶岩流がある程度冷却してから、岩脈が入ってきた(貫入といいます)と考えられます。
越前松島には、このほかにも奇妙な形の柱状節理といった溶岩の複雑な動きを示しているものなど、でき方を考えてみると不思議な物がいっぱい見られます。
分類:火成岩類(火山岩・中性岩)
岩石名:安 山 岩
時代:新生代中新世
産状:岩脈・溶岩流
産地:福井県坂井市越前松島
柱状節理の形は、玄武岩ではきれいな六角柱型になる事が多いのですが、安山岩や流紋岩では六角形がくずれてきます。溶結凝灰岩でもできることがありますが、
四角柱とかかなり底面がいびつな形になります。ここの岩石は安山岩ですので、きれいな六角柱とは言い難いのですが、それでも大きさのそろったきれいな形をしています。
写真に写っている小山の左側にへばりつくように岩脈があります。その左側の崖を見ると、柱状節理の底面の形がよくわかります。