木の幹そっくりの石です。表面は樹皮の様なものが見えます。断面には、木の年輪のような模様も見えます。顕微鏡で見ると材木の組織まで見え、
木の種類までもが特定できることもあります。どこからどこまでもが木の幹なのですが、違うのは成分が有機物やそれから変わってできた炭素ではなく、
石の成分である二酸化珪素である点です。木がそのままそっくり石になったようです。石になった木という意味の、珪化木と名付けられています。
珪化木は、樹木の木の成分、セルロースなどが二酸化珪素に置き換わってできたといわれています。
ふつうの地下水中には二酸化珪素がほとんど含まれていませんから、二酸化珪素が材木中にすぐにたまるとは考えられません。そんなわけで、
珪化木のでき方として、「長い年月の中で」という言葉が含まれるようになりました。
ところで、どれくらいの年月がたてば珪化木に変わるのでしょうか。写真の珪化木は新生代古第三紀、今から約5000万年前のものです。
小豆島にも珪化木があるようですので、1500万年もあればできるという事はわかります。これぐらいなら、珪化木になると思えます。
ところが、もっと新しい時代の材木化石を調べてみると不思議なことに直面します。
100万年前程度の材木化石を顕微鏡で見ると、細胞は押しつぶされてぺっちゃんこになり、判別しづらくなっています。丸かったはずの材木も、
ちょっと厚めの紙のようになっています。数万年程前の材木でさえも扁平になり、組織がつぶれて、種類の鑑定は難しくなっています。
これに対して、写真の珪化木を見るとわかるように幹は生えていたときの形のままで、全然押しつぶされていません。
ちなみに、写真の珪化木は、地層中に倒れて残されていたものですから、扁平になっていないといけないはずです。
このことは、珪化木ができるのに1万年もかからないことを示しています。
写真の珪化木の産出地では、珪化木の入っている地層は特定の地層に限られています。
その地層中で樹木が立ったまま化石になっているものを見ると、上の地層にまたがっている部分では、珪化木になっていなくて、
黒い石炭状で、細胞組織も押しつぶされています。このことは、珪化木になるためには、それを含む地層そのものが関係していて、
地層堆積後岩石が固まっていく過程でできたものではないことを示しているようです。
この産出地では凝灰岩層の中に入っています。
火山灰がたまるとき、あるいはその直後に何が起こったのでしょうか。おそらく、特定の圧力・温度・水分量の条件の中で起こるものだと考えられます。
それが何なのか、どのような化学変化によって起こっているのか全くわかっていません。
分 類: 堆 積 岩 類
岩石名:(珪 化 木)
産 地:神戸市西区布施畑
珪化木という名称も岩石名として使われることはないので、正しい岩石名ではないのかも知れません。写真の石の場合は、
凝灰岩中の包有物ということなのでしょうか。