非常に軽く、ナイフで削れるくらい軟らかい岩石です。岩石というより、ちょっとかための土といった感じなので岩石名の最後が「土」となっています。
ふつうの土と違うのは、土の中にすき間が多く、水分を大量に吸収します。舌をつけてみると土にへばりつくような感じがします。
また、砕いた土を水で濡らしてみてもべとべとせず、さらっとしていることからも、粘土分の少ない土であることがわかります。
この土を少量とり、水で解かして顕微鏡で見ると、小さな珪藻化石の集まりであることがわかります。
珪藻がいっぱい集まってできた土ということで珪藻土と名付けられています。珪藻は水中に生息していますので、水のあるところでできたことがわかります。
日本国内では日本海側の地域でよく見つかります。隠岐の島や能登半島のものは海に住む珪藻化石でできていることから海中で、
蒜山や辰巳峠のものは淡水に住む珪藻化石でできていることから湖でできたといわれています。
一般に、海や湖にたまった地層からも珪藻の化石が見つかります。このことを利用して、その地層に含まれる珪藻化石の種類を調べて、
海でできた地層か、淡水や汽水域にできた地層なのか、あるいそれができたのは流れがあるところかないところか、
暖かいときか寒いときのどちらにできた地層かといったことを調べるのに利用されています。ところが、このような地層中に含まれる珪藻化石は非常に少量で、
特別な方法を用いて珪藻化石だけを集める作業が必要になってきます。これに対して、珪藻土はほとんど100%が珪藻化石でできています。
ところで、珪藻ばかりが堆積するという環境はどのようなところなのでしょうか。粘土分や砂粒がないことから、これらを運んでくる河川がなかったのでしょう。
流入河川のない海や湖が考えられます。また、珪酸分がなければ珪藻が珪酸質の殻を作ることができませんから、
何らかの方法で大量の珪酸分が供給される必要があります。そのような場所として、火山か温泉が考えられます。日本海側の珪藻土の年代は、
この付近で火山活動が活発であった新生代中新世のものが多いのもなんとなく納得がいきます。
火山噴火でできた窪地で、温泉水から流れ込んだ珪酸分を殻にして珪藻が育ち、それが水底に大量にたまってできたものです。
分 類: 堆 積 岩 類
岩石名: 珪 藻 土
産 地:石川県七尾市和倉町
一般に珪酸を主体とする岩石をチャートといいます。珪藻土をチャートと呼ばないのは珪酸独特の透明感のある光沢を珪藻土が示さないからです。
珪藻土も、長年の続成作用を受け、珪藻間のすき間も珪酸分で埋まるようになれば、チャートのような光沢を持つようになるのでしょうか。