剣山から吉野川に流れ込む貞光川の渓流にできた幅2m3段の滝です。川幅が狭く小さい川のように見えますが、
深さ10m以上にわたって削り込んだ部分を見ています。上流や下流では川幅が5m以上ありここだけ狭くなっています。
そのためこの部分に川の水が集中して流れています。写真の撮影時は、台風通過後で近くの道路が通行止めになるほど大雨の降った直後だったので、
非常に増水し、近づくのが怖いほど速い流れとなっていました。
「土釜」という名前は、解説板には渓流全体を指す名前やこの付近の地名として使われています。言葉からすると、
釜の中のような形に削られているためつけられと考えられます。写真中央、流れの右側(左岸側)の崖が半円形に削られています。
ここが釜型になっているところでしょうか。さらに、上下流にも川岸が開いているように見えるところもあります。
水位が引けばその様子がはっきりするでしょう。
このような釜の中みたいな形になったものは甌穴(かめあな・おうけつ)と呼ばれています。川底にできた小さな穴に石が入り込み、
なかで水流の勢いで回転することによって丸く削っていってできると考えられています。
このようにしてできた
甌穴は川幅に比べて小さそうな感じがするのですが、
ここのように川幅いっぱいに広がっているものもあります。
ここのくぼみが甌穴だとすると、不思議なことが感じられます。甌穴ができる場合回転する水流ができているはずなのですが、
中央のくぼみにはそのような渦はできていません。中に入った石が転がるような流れは、写真のように増水したときにできるはずですから、
渦ができているはずです。増水しすぎたため、渦ができなかったと考えた方がいいのでしょうか。
両岸を作っている岩石は結晶片岩です。
全国に巨大な甌穴ができているところがあります。岩石の性質によって、大きなものが作られ易くなる条件があるのでしょう。
2011.05.10 掲載
2011.05.10