八幡平にある鏡沼では5月の融雪期になると、大きな丸い窪地ができるように雪が溶けていきます。
窪地の底は真ん中に雪が小高く積み上がっていて、その周囲を取り巻くように溶けた水がたまります。
天気がよければ水は青色に輝き、直径が50m近くある巨大な青い目玉のように見えます。
そのようすからこの現象をドラゴンブルーアイと呼んでいます
(2017年に命名されました)。
この日は天気が悪くあまり青く見えなかったのでドラゴンアイとしました。
ドラゴンというのは、東北3県の形を竜に見立てていることが由来だそうです。この場所は、ちょうど目の位置にあたります。
鏡沼は冬期間水位が低下したままで氷結します。春になって気温が上昇してくると、周辺の雪が溶け始め、溶けた水は鏡沼に集まってきます。
そのため鏡沼の水位は上昇し、それにともなって沼に張っていた氷とその上の雪は浮き上がってきます。
このとき、沼の周辺部は氷が岸に固着しているので上昇できず、沼中心部だけが丸く盛り上がってきます。
その後水位が上昇してくると、中央部の盛り上がりを取り囲むように水たまりができます。
出典:岩手県立博物館の山岸千人さん(河北新報2018年2月16日付記事)
これでも2−3の疑問点は残ります。
現地の案内者からは、沼の形にそって風が回って周辺部から雪を溶かしていってこのような形になるのだという説を聞きました。
この点についてはそのような風の記録があればはっきりするでしょう。周辺の積雪からはそのようにも見えました。
この後ドラゴンアイは、中央丘の中心部が陥没し水がたまるようになります。
最終的には、陥没が大きくなり、中央丘も崩れるようになくなっていくそうです。
火山でも隆起が大きくなれば同心円状の断層ができ、中心部が陥没することがあります。これと同じ現象でしょう。
このことからすると、中央部の隆起は実際に起こっていそうです。
いずれの説にしても、どうしてここだけなのかというのが最大の疑問です。
この付近には爆裂火口が多く同じ様な形の窪地や沼がたくさんあります。
形や水のたまる深さなどいろいろな点で絶妙だったのかも知れません。
2018.04.07