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かんらん岩

かんらん岩
 写真の岩石は、外側が灰色で内側が黒っぽく見えます。内側の黒いところは表面だけです。その内部はその左下で見られているように、 黒みがかった黄緑色で、少し大きめのの粒でできています。同様のものが小さいですが右上にもあります。逆に外側の部分は、非常に細かい粒でできてます。 内側の岩石は風化すると黒ずんでくること、内側外側で粒の大きさが異なっていること、外側部分の中に内側の特徴を持つ部分が散在することから、 内側の岩石が風化して外側部分ができたのではないことがわかります。
 周囲にある岩石を調べてみると、外側の部分を作っているものと同じ灰色のものが多数見つかります。 従って灰色の岩石が主体で、その中に黒っぽい(暗黄緑色の)岩石が、何らかの理由で取り込まれたことになります。灰色の部分は、 いくつかの特徴から玄武岩だとわかります。それでは、暗黄緑色の岩石は何で、どのようにして玄武岩の中に入ってきたのでしょうか。
 暗黄緑色の岩石は、同じ大きさの黄緑色の鉱物でできています。これはかんらん石で、これだけからなる岩石をかんらん岩といいます。 かんらん岩は、マントルを作っている岩石だといわれています。
 一般に、玄武岩のような地下深部からマグマが上昇してきて冷え固まってできた火成岩では、マグマが上昇してくる途中で、 周囲にある岩石を一緒に持ち上げてくることがあります。このような火成岩中に入っている、マグマの周囲にあった岩石のかけらを捕獲岩 (ゼノリス)といいます。実際にはこの説明は、火成岩中に入っているマグマとは全く異なった特徴を持っている部分を説明するための解釈です。
 ここの捕獲岩は、非常に大きなものがあるのと、玄武岩に対する割合が非常に大きいのが特徴です。マントル上部で、 マントルを作っているかんらん岩の溶けやすいところから大量に虫食い状に溶ける現象(部分溶融)が起こったのでしょう。あまりに大量に溶けたため、 溶け残ったかんらん岩もバラバラになって、マグマが上昇する勢いに乗って地下深くから一気に上昇してきたようです。
 地下非常に深いところで起こった現象を示している岩石です。また、地下深部のことを知るために重要な岩石です。


分 類:火 成 岩 類
岩石名: 玄 武 岩 
産 地:島根県隠岐島後



 ふつうかんらん岩といえば、大規模な地殻変動で上昇してきたものを見ます。この時水分が多量に混ざるので蛇紋岩化しているのがふつうです (岩石の説明へ)。蛇紋岩の岩石中には、たまに変質していないところがあり、 そこではかんらん石ばかりでできている岩石を見ることができます。その岩石はダンかんらん岩(Danite)と呼ばれています。ダンかんらん岩は、 かんらん石の結晶が圧力で壊れているせいか形がわかりづらく、かんらん岩らしくない岩石です。



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