岩石中に、方解石や石英、斜長石の結晶が放射状にたくさんできたものを菊花石といいます。菊の花の形に似ているのでこのようによばれています。
岐阜県の根尾谷の物は非常に大きくなるので有名で天然記念物にも指定されています。
枕状溶岩などの球形の溶岩では、
放射状に割れ目ができることが多く、
この中に後から石英などの鉱物が詰まることによってできたと考えられているのが一般的です。根尾谷を始めとして、
緑色岩に見られる物がふつうです。
写真の物は、チャートという岩石中にできています。珪酸分が静かにたまってできますから放射状に割れ目ができることはありません。
また、一つの大きさが直径3cm程度と小さく、10cm角の小さな石に3こほど見つかりました。これらの現象は、
先ほどの方法では説明できません。最初に書いた定義に従って菊花石とします。
岩石堆積後、堆積物のすき間にあった水中に溶けていた炭酸カルシウムなどの物質が、温度が下がるなどの理由で一点を中心に放射状に成長を始め、
その後珪酸分と置き換わってできたものと考えられます。一部の放射状の筋が、葉理状の筋の方向に曲がっていく物もあることから、
堆積後にできたことは間違いないでしょう
分 類:堆積岩(化学的沈殿岩)
岩石名:チャ−ト (菊花石)
産 地:新潟県 佐渡市 赤玉
この菊花石は、佐渡の赤玉石として売られていた石の中に入っていました。チャートの一種なのですが、赤茶色の独特の色をしています。
マンガンを含まず純粋な酸化鉄(赤鉄鉱)成分を含んでいるためです。このような特殊な環境も菊花石を作った原因の一つかも知れません。
2013.01.03