サトウキビ畑の間にある草地に、5mほどの大きさの岩が顔をだしています。その表面には、楕円形の窪みがいくつか見られます。
左下にあるものは特に大きく30cmほどあります。何となく足跡の形に似ています(右写真)。
地元ではこの模様を鬼の足跡になぞられて、岩を「鬼の足跡石」と呼んでいます。
言い伝えでは、天照大神が奄美の島々に神々を降臨させて島作りをしたとされています。このとき徳之島にはヒメミコ(女神)が遣わされました。
ヒメミコがこどもを連れて大地に降りたった際についた足跡がこの石についた模様とされています。
鬼の由来がはっきりしませんから、「女神の足跡石」と呼んだ方がいいような気がします。
右側にあるたくさんの小さな窪みはこどもの足跡なのでしょうか。
どうしてできたのか考えてみることにします。女神の足跡でははっきりわかりませんから、こどもの足跡に注目にします(右写真)。
岩全体が白っぽい石であるのに対して、足跡の部分は黒っぽい色をしています。
周囲には白いつぶつぶがたくさんありますが、内部は黒と白の細かい粒でできています。
白い大きな粒は石英で、他に長石や黒雲母・角閃石などの粒も見られます。このことからこの岩全体は花崗岩だといえます。
足跡の部分は、長石・角閃石が目立ちますから閃緑岩となります。
岩全体で見ると、花崗岩の中に閃緑岩が取り込まれた形になっています。
花崗岩マグマが上昇してくるときに途中にあった閃緑岩が取り込まれたのでしょう。
マグマ上昇中に取り込まれた周辺にあった岩石を捕獲岩といいます。
その例としてこちらのページ(←クリックでリンクします)にも記載があります。
石英や長石に比べて角閃石の方が風化されやすいという特徴があります。
捕獲岩の部分の方が早くもろくなり削られて窪みになってできたものです。
ほかにある鬼の足跡と呼ばれるものの例です。
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長崎県壱岐島 |
2018.12.15