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散歩道の風景  写真集(No.15)

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溶岩ローブ
溶岩ローブ
鹿児島県十島村諏訪之瀬島須崎

 溶岩流が山の斜面を流れ下って、傾斜の緩いところに達しました。溶岩流は水平方向に広がります。 それと同時に、表面は冷やされ固まっていきます。溶岩流の勢いが強いと、固まった表面を突き破って溶岩が流れ出してくるのですが、 勢いが弱くなると、殻のようになった表面を突き破ることはできません。その時は、ちょうど水を入れたビニール袋を台に置いたときのように、 先端部の縦方向の断面が丸くなるように固まります。この形を溶岩ローブといいます。
ライチョウ
ライチョウ
富山県立山町室堂ミクリが池温泉

 主に日本アルプスの高山にいる鳥です。ハイマツの広がる所にいるようです。寒さに非常に適応しています。氷河時代に本州にやってきて、 暖かくなってきたときに、高山に移り住んだと考えられています。その意味で、氷河時代の生き残り(レリック)といわれます。
 羽毛の色は、冬と夏で異なっています。それぞれの時期では保護色となり、外敵から発見されにくい様になっています。 実際に、足下にいるのに、それだといわれるまでは気がつかなかったくらいです。写真は、冬羽のものです。
 北海道には、別属のエゾライチョウがいます。本州と北海道で2種が棲み分けているのは不思議です。

 PentaxK30 f=300mm
ミツガシワ
ミツガシワ
福島県檜枝岐村尾瀬ヶ原見晴

 高山地帯の湿原では普通に見られる植物です。葉が三枚の小葉からできていることから「三つの葉」→ 「ミツガシワ」と呼ばれるようになったそうです。白い五枚の花弁と、網のようなおしべが特徴です。
 関西の地層から種子が化石となって見つかることがあります。その場合、その地層ができた時代は寒冷であったと推定します。 いわゆる「示相化石」の一種となります。
 氷河時代には日本列島に広く分布していたものの暖かくなった現在では、分布が高山地帯に限られるようになったものです。 この植物も下のナキウサギと同様「氷河時代のレリック(遺存種)」といわれています。寒冷地では普通にあるのですが…… 京都市街北部の深泥池には冷たい湧水のため、たくさん生育しています。これだと生き残りといっていいのかもしれません。
ナキウサギ
ナキウサギ
北海道河東郡鹿追町駒止湖

 北海道の高山にいる耳の短いうさぎのなかまです。崩れた岩が積み重なったガレ場にすんでいます。
 日本にいるナキウサギは、エゾナキウサギと呼ばれ、キタナキウサギの亜種とされています。 氷河時代に日本列島に移り住んだものの、暖かくなって北方に戻れなくなり、少数が高山地帯に移り住み生き残ったものです。

 PentaxK30 f=300mm 面積の1/2にトリミング
マンガン固定菌
マンガン固定菌
北海道足寄郡足寄町オンネトーの滝

 雌阿寒岳南西斜面から吹き出した温泉水は、斜面を滝のように流れ落ちています。オンネトー湯の滝といいます。 この滝の水がかかる斜面を見ると黒っぽい色をしているのがわかります。色の主成分は二酸化マンガンです。 ここの温泉水にだけ大量に含まれるマンガン成分が酸化され沈殿したものです。
 この黒い塊を顕微鏡で見ると、特殊な細菌がたくさんいることがわかりました。 この細菌がマンガンを酸化させ沈殿させていたのです。このことから、この細菌はマンガン固定菌と呼ばれています。 非常に原始的な細菌類で、太古の地球に最初に生まれた細菌類の一種と考えられています。
半化石
半化石(ヒロベソカタマイマイ)
東京都小笠原村南島

 小笠原諸島父島のすぐ南にある南島の砂がたまった斜面には、 たくさんのヒロベソカタマイマイというカタツムリのような陸貝の殻が散乱しています。 中には、砂に埋もれたものもあります。ところが、このマイマイの一種は、生きているものが見つからないのです。 それとよく見ると、白いものばっかりです。
 絶滅してしまった生物の殻だけど化石っぽくないことから、現地では「半化石」とされています。 実際にはこれでも立派な化石です。よく見ると、殻の下面に茶色っぽい色がついています。 砂に埋もれていたものが洗い出され、 上面は日光や雨にさらされるうちに白っぽくなったようです。
 さらさらとした砂に埋もれていますが、これは小高いところにあることが幸いしたようです。 でも、なぜこのようなところに珊瑚の破片でできた砂があるのか、その中に大量の貝殻があるのかは不思議です。
溶岩塚
溶岩塚
北海道利尻町沓形公園

 溶岩が流れた先端部では、表面が冷やされ、ある程度固まってきても溶岩の塊の中心部を通って、溶けた溶岩が流れてきます。 その圧力で、溶けた溶岩が吹き出そうとして表面を押し上げ、高まりを作ります、こうしてできたのが溶岩塚です。
 写真を撮った場所と、一番奥に大きな高まりができ、その間を尾根状に溶岩がめくれ上がり盛り上がっています。 この場所では、溶けた溶岩が噴き出すまでには至らなかったようです。
溶岩鍾乳石
溶岩鍾乳石
山梨県富士河口湖町船津

 洞窟のような所に溶岩がしみ出して天井や壁を流れるとき、鍾乳石のような模様を作ります。これが溶岩鍾乳石です。 溶岩の量がすくないときは、つららのように垂れ下がってきます。しずくのように下の方が膨らんでいるのが特徴です。 溶岩の粘性が小さいといっても、結構な粘りけがあることがわかります。
 写真は溶岩樹型の内部の壁にできたものです。
石柱型溶岩樹型
石柱型溶岩樹型
山梨県富士河口湖町船津

 ふつうの溶岩樹型のようですが、周囲がたいへん盛り上がっています。
 溶岩が流れてしばらくすると、表面は固まってしまい流れなくなります。中の方はまだ固まっていないので、溶岩は中心部を流れていきます。 噴火が収まると中にあった除けた溶岩は流れ去ってしまい、その分だけ表面は下がっていきます。 ところが、溶岩樹型のまわりは、下から上まで固まっているので、表面が下がることはできません。そのため、 周辺より高く盛り上がります。このように表面の盛り上がっている溶岩樹型を石柱型溶岩樹型といいます。

傾斜型溶岩樹型
傾斜型溶岩樹型
山梨県富士河口湖町船津

 横臥型溶岩樹型と、写真ではよく似ています。穴の底部、奥まで光が差し込んでいる点で異なります。 これは、開口部が水平に近いからです。実際にはわずかに手前側に傾いています。それから考えてみると、穴は斜めに奥の方向に連なるのがわかります。 穴がまっすぐ立たずに、斜めになっているので、傾斜型溶岩樹型と言います。
 溶岩流の圧力で樹木は倒されかけたものの何とか踏ん張って残ってできたものです。穴が傾いている方向から判断すると、 溶岩は向こう側から流れてきたことがわかります。流れてきた溶岩は樹木の向こう側で引っかかって盛り上がり、 手前側に流れ込むのが少なくなり、表面が手前に傾斜します。
横臥型溶岩樹型
横臥型溶岩樹型
山梨県富士河口湖町船津

 水平にできた洞穴のように見えますが、これも溶岩樹型です。溶岩流の下の方にできています。 写真では崖のようにうつっているのが一回の溶岩の厚さです。
 溶岩の流れの強さに絶えられず、樹木が倒れてできたものです。樹木のまわりにできた溶岩の塊と、 地面近くで冷やされてできた溶岩の塊が初期の段階でくっついてしまったため、浮かび上がることもできず、 溶岩流の底に残されています。このような形の溶岩樹型を横臥型溶岩樹型といいます。
流木型溶岩樹型
流木型溶岩樹型
山梨県富士河口湖町船津

 石の筒のようなものが転がっています。これも溶岩樹型の一種です。
 倒木があるところ溶岩が流れてきたとき、木は軽いので持ち上げられます。持ち上げられた木に溶岩がくっついてできたものです。 できるときの溶岩樹型は、木が流されているのと同じように、溶岩に流されているように見えます。
 溶岩流の表面に転がっているように見えるものを、流木型溶岩樹型と言います。 上部が崩れて溝みたいになっているものもあります。
井戸型溶岩樹型
井戸型溶岩樹型
山梨県富士河口湖町船津

 樹木のあるところに、溶岩が流れてきて、溶岩が樹木のまわりにだけ固まってできた溶岩樹型の一種です。 一番ふつうに考えられるものです。穴がまっすぐ立っています。
 川の流れが橋脚にぶつかるとき上流側が盛り上がり、下流側は低くなります。溶岩でもこれと同じことが起こります。 溶岩の表面は、左奥側が高く右手前側が低くなってます。左奥側に溶岩がぶつかっていたようです。 このことから溶岩は左奥の方向から流れてきたことがわかります。
縄状溶岩
パホイホイ(縄状)溶岩
静岡県三島市楽寿園

 今から1万4千年前に、富士山が噴火したときに流れ出した溶岩は、三島市付近を覆っているので三島溶岩流と言います。 この溶岩流は、粘性が小さく流れやすかったようです。このような溶岩をパホイホイ溶岩と言います。 その表面は、縄を並べたような模様ができていることから、縄状溶岩とも呼ばれます。 このような模様は、三島市楽寿園の園内に何カ所か見ることができます。

インブリケーション
インブリケーション
石川県白山市吉岡

 手取川河原の石(レキ)です。細長い石が多いのですが、よく見るとみんな右に傾いて転がっています。 右側にある石にもたれかかっているようです。
(平たい石が立つものだとすると右に傾いているといえますが、横に寝るものだとすると左に傾いているともいえます。 地学的には後者の解釈を使います)
 川底をはうように流されてきた石が止まるとき、飛び出した石があるとそれを乗り越えられず、もたれかかるように止まります。 次々と運ばれてきた石が、このようにたまっていったためにできた構造です。インブリケーションと言います。
 もたれかかる石がある方が下流側になります。逆に、石が傾斜して(低くなって)いる方向が上流側ともいえます。 この写真の場合、左の方から流されてきたことがわかります。
逆級化構造
逆級化構造
富山県朝日町宮崎海岸

 海岸の崖の断面です。砂層の中にレキ層が挟まっていますが、そのレキ層をよく見ると、下に小さなレキが、上の大きなレキが並んでいます。 レキの大きさが高さによって順番に変わっていくのですが、下に大きなものがある場合を級化構造(グレーディング)というのに対して、 この場合はその逆になっていますから、逆級化構造と言います。 台風などの接近によって、流れ(波)がだんだん強くなっていくときにできると言われています。
不整合
不整合
大阪府寝屋川市打上

 鉛筆のあるあたりは、白い小さな粒が点々と入っているのがわかります。風化した花こう岩でできています。鉛筆の先あたりに、 茶色い土のような所があって、さらにその左側には黒や白の丸い粒(レキ)が入っているのがわかります。ここは、新生代第四紀の大阪層群です。 茶色い土のような所と、細かいつぶつぶのあるところの境界線が不整合面になります。
 ふつう不整合面上には下の地層(花こう岩)が削られてできたレキが見られる(基底レキ)のですが、大阪層群堆積開始時にすでに、 花こう岩は風化されていたようで、基底レキらしきものは見あたりません。黒いレキはチャートで少し離れたところに分布しています。 長い距離運ばれてきたためかレキは丸くなっています。ふつうの地層中に見られるレキと同じで、基底レキではありません。
 不整合面は垂直になっています。近くにある断層(下の写真)に引きづられて垂直になりました

不整合
垂直断層
大阪府寝屋川市打上

 断層面が垂直な断層が「垂直断層」です。多少垂直から外れていても垂直断層と呼びます。写真中央部を上下に通っています。 左側に花こう岩、右側に花こう岩と新生代第四紀の地層があります。花こう岩側が上昇してできたものです。断層面はわずかに左に傾いています。
 大阪平野周辺部では、断層面は地下深部ではほぼ垂直、地表に近づくにつれ平野側に倒れていく傾向があります。
 生駒断層の一部で、実査に実際には横ずれ運動を起こしていますが、変位からはわかりません。。
津波堆積物
津波堆積物
北海道伊達市アルトリ岬

 1640年の北海道駒ヶ岳の噴火では大規模な山体崩壊が起こりました。それに伴う岩雪崩は海に流れ込み津波を発生させています。 津波は噴火湾対岸の伊達市に到達し、津波堆積物を堆積させています。黒い地層に挟まった白い地層が津波堆積物です。ふつうの砂層のようですが、 ローム層に挟まれていることからそのように判断されます。左端近く、上の黒い層との間にある薄茶色の塊は、この時の駒ヶ岳噴出物です。
 5mほどの丘を越えた反対側にできていることから、津波の高さは5mを超えていたことがわかります。
不整合
不整合
熊本県上天草市樋島

 写真下方人の歩いているところは、片麻岩でできています。右下角から左上に伸びる色の濃いところも、有色鉱物に富む片麻岩です。 色の濃いところを追ってみると、左上側の草の多いところで続かなくなっています。この、色が濃い茶色のところは、 白亜紀後期の姫浦層群という地層です。片麻岩は、肥後変成岩でジュラ紀のものと考えられており、二つの岩石の関係は、不整合になります。 不整合面は右上角から左側中央にあります。





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