ヨッシンと 地学の散歩
散歩道の風景 写真集(No.24)
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富士山・北岳・間ノ岳
奧穂高岳付近上空から
日本で一番高い山はと聞かれると大概の人は富士山と答えられます。それでは2番目、3番目となるとどうでしょう。
第2位は南アルプスの北岳で、第3位は同率で、南アルプス間ノ岳(あいのだけ)と北アルプスの奧穂高岳が並んでいます。
間ノ岳、奧穂高岳は標高を求める正確さが違いますからどちらが高いのかは判定できません。
東北から大阪まで飛行機で移動する途中に南アルプスの向こうに富士山が見えました。北岳・間ノ岳も見えています。
飛行機のいる場所は正確にはわかりませんが、山の見えた方角、その前後の飛行経路などからすると奧穂高岳付近の上空だったようです。
写真にマウスをあわせると山の名前、標高(地理院地図による)等を表示します。
流山
秋田県にかほ市象潟
江戸時代以前には、このあたりは小島がたくさん浮かぶ潟になっていて、象潟とよばれていました。
紀元前に鳥海山が山体崩壊したときに運ばれてきた土砂には小山ほどの大きさのかたまりがたくさん混じっていて、
それがそのまま海に流れ込んでたくさんの小島を作りました。その後、海岸が砂丘で塞がれることに寄って小島がたくさん浮かぶ潟ができました。
1804年にこの付近を震央とする象潟地震がおこり、この潟は隆起し干上がってしまいました。
もともと小島だったところは、そのまま木の生えた小さな丘として点在しています。
海岸沿いの道の駅の展望所からの風景です。
キノコ岩(溶食ノッチ)
鹿児島県徳之島犬の門蓋
海岸にある岩の付け根の部分が大きくえぐられて、細くなっています。
全体の形がキノコに似ていることから、キノコ岩と呼ばれることが多いようです。
岩石が水面の高さ近くで大きくえぐられてできる形を「ノッチ」といいます。
その中でも石灰岩が水によって溶かされたものを溶食ノッチといいます。鍾乳洞内では地下水の流れる高さに、
海岸では海面の高さに作られます。
海岸では、波が激しく当たる所ほど海水中に二酸化炭素をたくさん含まれ、その分岩がよく溶かされるようです。
奄美から沖縄にかけての海岸近くには琉球石灰岩が露出しています。
それが海水に溶かされてこのようなキノコ型になっているものをよく見かけます。
三角州
三重県津市香良洲(西方上空から)
川が海に注ぐところでは、運ばれてきた土砂がたまって平野が作られていきます。
川の流れが緩やかになり、川がどんどん分岐していきます。分岐した川に挟まれた陸地は三角形をしていることから三角州(デルタ)と呼ばれます。
伊勢湾に注ぎ込む雲出川も、河口付近で分岐し左側の雲出古川と右側の雲出川に分かれ、川に挟まれたところは香良洲と呼ばれています。
写真から見ると奇妙なところもあります。雲出古川はいきなり高角度で分岐しているし、雲出川は分岐したすぐ先で急角度で曲がっています。
どちらかが人工的に作られたものの可能性は否定できません(室町時代に地震で流れが変わったという言い伝えがあるようです)が、地名から三角州と判断します。
砂嘴
熊本県苓北町富岡半島曲崎
海岸から沖合に向かってのびる砂浜です。沖合に向かう海流に沿ってできます。先端部が内側に曲がっていることがあり、
鳥のくちばしのようだということで砂嘴と呼ばれています。
曲崎は富岡半島を迂回してきた流れによって半島の裏側にできたものです。先端部は内側に曲がっているように見えます。
砂嘴全体の形は、くちばし型というより左右逆の「へ」の字形のように見えます。富岡半島自体も、陸繋砂嘴によって島がつながったもののようです。
リッジ・ランネル
山形県鶴岡市湯野浜
海浜に、打ち寄せる波によって、海底の砂はだんだん陸地側に運ばれていきます。
運ばれた砂は、最終的には、満潮時に波が運び上げることができる限界の高さまで積み上げられ、海岸に平行な盛り上がりを作ります。
ここは、リッジと呼ばれます。
リッジより陸地側は、少し低くなっていることが多く、ランネル(ラネル)といわれます。
満潮時には、リッジを乗り越えてきた海水がランネルに流れ込み、海岸と平行に流れていき、
どこかで、リッジを突っ切って海に戻っていきます。
ビーチカスプ
沖縄県石垣市フサキビーチ
海浜に打ちつけられる海水は、大半が沖合に戻っていきます。のこりの一部は海岸に沿って流れ、
たくさん集まったところで、そこから、沖合に戻る流れを作ります。
沖に向かった流れのあるところでは、波の力が押さえられ、砂がたまりやすくなります。
その結果、浜が海に突き出すようになっていきます。この、浜の尖った場所をビーチカスプといいます。
写真では、ものがたまりやすくなった結果、大きなサンゴの欠片がたくさん集まった盛り上がりとなって、いくつも並んでいます。
芝塚
北海道大雪山旭岳山頂付近
草の生えているところが、4−50cmくらいのマウンド状になって点在しています。
このような草の塊は、芝塚とか十勝坊主とか、アースハンモックとか呼ばれています。
地表付近の水分が凍結・融解を繰り返すときに、動かされてできるといわれています。周氷河地域で見られる特長の1つです。
谷地坊主とはできている場所や植物の種類が違うので見分けることができます。
一般に、水分が凍るときに地面を押し上げてできるといわれています(凍上現象)。
ここのものは、
ソリフラクションで運ばれた塊が、地面の斜度が大きくなったことで、
さらにばらばらになってできたようにも見えます。
ソリフラクション(階状土)
北海道大雪山旭岳山頂付近
緩く傾いた地表面で、水分の凍結融解が繰り返されると、土の塊が横に細長いブロックとなって、ゆっくり滑るように落ちていきます。
そのため、斜面は、段々になっていきます。このような形は階状土とかソリフラクションとか呼ばれています。
これも周氷河地形の一種とされています。
ここでは、草によって滑り落ちる土がまとめられ、草の並びが横に細長くなっています。
多角形土
北海道大雪山旭岳山頂付近
砂とレキが覆っている地面で、表面の水が凍ったり溶けたりを繰り返すことで、レキが外側に押し出されるように動いていくことがあります。
その結果、中心部にはレキがなく砂ばかりがあり、それを取り囲むようにレキが並びます。
これが何カ所も同時に起こると、レキの並びは多角形になったり、亀の甲状(蜂の巣状)になったりします。
氷河周辺地域で見られる、地表の特長です。いろいろなタイプのものがあります。全てまとめて構造土といいます。
デレ(周氷河皿状地)
北海道礼文島スコトン岬
緩やかな斜面とその真ん中の船底型をした浅い谷や凹地を、デレとか周氷河皿状地といいます。
周氷河地形の一種ですが、どのようにしてできたのかを判定するのは難しいようです。
後の時代の河川によってできた浸食地形がより深く刻まれて、その形も大きく違っていますので、河川によるものではないのは確かです。
周辺にみられる平坦な地形と合わせてみると周氷河性のものと考えていいでしょう。
周氷河地形
北海道礼文島スコトン岬
氷河ができるほどではないけれども、そこそこ寒い地域では、地下に凍土層が作られることがあります。
凍土層の溶けたり凍ったりするときに、地表付近の土砂を動かし平らな地形を作ります。
北海道や東北地方で比較的なだらかな台地が広がっているのは、氷河時代に凍土層によって作られたものです。
氷河のまわりのちょっと暖かいところにできる地形を周氷河地形といいます。様々な種類がありますが、
このような平坦な地形に対しては特に名前がつけられていないようです。
氷食尖峰(ホルン)
飛騨山脈槍ヶ岳
松本市美ヶ原から
北アルプスには、氷河によって侵食されてできた地形がみられます。侵食の時には、スプーンですくったような形で地面が削られていきます。
ある場所を中心に四方八方に削られると、中心になった場所に、尖った峰が取り残されます。このようにしてできた峰が氷食尖峰です。
ホルンともいいます。
右端の槍ヶ岳から、大喰岳、中岳、南岳までが写っています。槍ヶ岳ははっきりと尖って見えます。中岳もそのように見えます。
他の峰も、わずかに山頂部が取り残されていて、氷食尖峰になりかかる前に氷河がなくなったと見て良いでしょう。
扇状地
新潟県魚沼市入広瀬
川が山から平野部にでるときにできる地形です。ここの場合は、より大きな川の河原にできています。
山の出口から、放射状に緩やかに傾斜した地面がみられます。川から運ばれてきた土砂がたまった地域が扇形をしているのでこの名前があります。
等高線は山からの出口を中心に同心円状になります。そのようすは田んぼの畔の並びから読み取ることができます。
河岸段丘と活褶曲
新潟県南魚沼郡
濃い緑色の所が森林で丘陵など傾斜の強いところで、黄緑色の所が田畑で平地です。
手前の平地が信濃川に沿う十日町盆地、奥の平地が魚野川に沿う六日町盆地です。
間に挟まれた丘陵が魚沼丘陵になります。
魚沼丘陵の信濃川沿いには河岸段丘がたくさん見られます。
この河岸段丘の時代と地面の傾きの関係を調べてみると古いものほど川の方に向かってきつくなってているのがわかります。
川のあたりが沈降し、丘陵部が隆起することで地面が波うつように曲がっていっています。このような動きを活褶曲といいます。
飛行機からの撮影です。
浮島
和歌山県新宮市浮島の森
池の中にある島のようですが、この島は風向きによってある場所が変わるそうです。
島は池に浮いていて、風によって流されていると考えられます。
枯れた植物が集まってできたとか、腐敗してできたガスがたまっているとか色々いわれています。
植物片は水を吸い込むと沈みますし、ガスはすぐにぬけていき、島はすぐに沈んでしまうように思えます。
ガスの発生が多いとか、逆さお椀型構造があってガスがぬけにくくなっているとか、さらにもう一段階浮かぶため仕組みがあるのかも知れません。
谷地坊主
長野県霧ヶ峰八島湿原
スゲ類の群落が作る、直径1m未満高さ2−30cmのマウンドを谷地坊主といいます。
スゲの茎が密集したすき間に枯れた植物が集まることによって少しずつ盛り上げっていくように見えます。
成因に凍結が関係しているともいわれています。
手前の水たまりの中にいくつかのスゲの小島のようなものがあります。
それ以外にも、後方の湿地の中も無数のマウンド状の盛り上がりが見えています。
中間湿原
福島県檜枝岐村尾瀬沼浅湖湿原
低層湿原が埋積されていって、高層湿原へと変わっていく途中の段階のものが中間湿原です。
浅湖(あざみ)湿原では、低湿地が植物によってほとんど埋め立てられ、川の水面とほぼ同じ高さになっています。
そのため、川は湿地表面全体に広がって流れています。同じ湿原でも、山側に行けば水の流れは限定され、
高層湿原のようになっています。反対側では尾瀬沼へと続き池の底に沈んでいくように見えます。
山側に向かっての写真です。
池塘
群馬県片品村尾瀬ヶ原中田代
高層湿原内にできる池のような場所です。真ん中ほど深いというのが特徴です。
この場所では、たまたま枯れた植物の累積が少なかったため、その上に水苔類が育たず、水面が残されてできたようです。
尾瀬沼では竜宮現象といって、水がわき出したり吸い込まれたりしている所があります。
そこでは、水底が頻繁にかき混ぜられることによっ、植物が育たなかったり、枯れた植物が運び去られたりします。
このような現象も、池塘ができる要因となります。
高層湿原
福島県檜枝岐村尾瀬沼大江湿原
高層湿原のでき方は2つのタイプがあります。一つは、雨水しか流れ込まない窪地にできるもの、もう一つは、
低層湿原が枯れた植物で埋め立てられていって、地面が水面より高くなっているものです。
ここの湿原は、後者のものです。背景に尾瀬沼が見られること、間を流れる大江川の水面より地面が高いことからわかります。
地面という言い方をしましたが、水苔が重なっただけのものなので、ふかふかで押さえると水がしみ出してきます。
所々に、水苔類が水面に覆い被さっただけのところもあり、そこに踏み込んでしまうと深くまで沈み込んでいくこともあります。
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