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地震と活断層


 日本列島の内陸部で地震が起こる度に、活断層が話題になってきます。 活断層が地震を引き起こしその近辺では地震の揺れが大きくなりそれに伴って被害が大きくなるからです。 ここでは活断層とと地震の関係について詳しく見ていくことにします


内 容

1.地震断層

水鳥断層  1891年にあった濃尾地震は内陸部であった地震では非常に大きなものでした。 この地震で、被害状況を調べている時に地面(地盤)が大きく食い違っているところがたくさん見つかりました。 その中で最も大きずれた場所が根尾村水鳥地区(現在の本巣市根尾水鳥)のものです(右写真)。
 写真の右手前から左奥に向かって延びる崖は、地震前にはありませんでした。 向こう側の地盤が、上に6m左(向こう側)に2m持ち上がるように動いてできたものです。
 一般に地盤のずれた場所を断層といいます。この崖のあるところが断層ということになります。 断層は地層のずれとして確認されることがほとんどで、地盤がずれ動いたところがわかった最初の例です。
 この地盤のずれたところは、近くを流れている根尾川にぞいの上流部にたくさん見つかりました。 これらのずれのある場所は、ひとつながりであると考えられる事から、それらのある地域の名前をとって「根尾谷断層」と呼ばれています。 他の場所で見つかった根尾谷断層の写真はここにもあります。

 発見されてしばらくの間は、こういう現象もあるのだという程度にしか見られていませんでした。 その後国内でいくつかの地震が起こり、その調査をしていると動いたのではないかとみられる断層が見つかってきました。 その例を、最近のものも含めてあげていきます。
 昭和2年(1927)北丹後地震です。

 丹後半島の付け根の部分を横断するように、断層ができました。郷村断層といいます。 写真の場所では、側溝がまっすぐだったものが断層の動きで、手前側が右斜め下にずれています。 2本の石柱は元々隣同士だった場所を示しています。
 この地震の調査後始めて活断層という言葉が使われたそうです。
郷村震断層

 昭和5年(1930)北伊豆地震です。

 この地震で、開削中だった東海道本線の丹那トンネルがずれたというので有名になりました。 断層は丹那断層といいます。
 写真の場所では、石積の並びがまっすぐだったものが、断層運動で向こう側が左にずれています。 郷村断層と同じように2本の石柱で元々隣同士だった場所を示しています。
 ここにも他の地点のものを載せています
丹那断層

 昭和49年(1974)伊豆半島沖地震です。

 石廊崎の民家の裏にある崖が、半分だけ前にせり出してきた様子が観察され、詳しく報告されました。 これ以外にも、ずれの確認できたところがここから震央方向に向かって多数見つかり、石廊崎断層と名付けられました。 地震が起こる前から断層があったことがわかっていて、それが再び動いたものだということが確認されました。
石廊崎断層

 平成7年(1995)兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)です。

 震央の明石海峡から淡路島の西岸に沿って地面のずれが見つかりました。 そこは前から断層があるとされていた場所です。野島断層といいます。
 シートがかぶっているところの左側の地面が40cmほど盛り上がっています。遠方の民家の塀もずれているのがわかります。
野島断層

 平成28年(2016年)熊本地震です。

 布田川・日奈久断層帯で起こった地震とされています。何本かの断層が動いたとみられ、地表付近でずれの確認できたところは広範囲に分布しています。
 道路が補修されわかりにくくなっていますが、センターラインの曲がりなどから向こう側が右にずれながら盛り上がっていることがわかります。
熊本地震地震断層



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2.地震と断層の関係

 地震が起こると、断層の運動が観察されます。 1回だけならたまたまということもありそうですが、何回も見つかってくると何かの関係があるように思われてきます。 地震が起こって断層が動くという理由はなさそうです。断層が動いたときに、その動きによって地震が発生するのではと考えた方が良さそうです。 このように考えてみると、地震がどうして起こるのかという問題は、 断層はどうしてずれるのか、あるいは、どうしてできるのかという問題に置き換えることができます。
地震でできた壁のひび割れ  右写真は、地震の時にコンクリートの建物の壁にできたひび割れです。「X」の字型に入っています。 かたいものに力が加わった時のひびの入り方は、だいたいこのようになります。岩石の一方向から大きな圧力をかけて破壊する実験をしてみます。 片側だけの「/」や「\」のようになることもありますが、「X」型に割れ目ができるのが普通です。
 この時のひびは「+」ではなく「X」です。力を加えた方向に対して、斜め(45度)の方向になります。 岩石を圧縮しようとすると、コンニャクをつぶそうとしたときと同じように、加わっている力が弱い方向に膨らもうとします。 この時に膨らむ方向にも力が発生しますから、岩石に加わる力(実際にはねじれようとする力)は斜めの方向に伝わっていきます。 この力によって岩石が破壊されると、力の加わった方向※1に対して(加わる力の一番弱かった方向に)斜めにひび割れができます。 このことからわかるのは、岩石(岩盤)に大きなひびが入る方向は、力の加わった方向に対して斜め(45度)の方向である事です。 これを逆に見れば、岩石(岩盤)にひびが入った場合、ひびの方向に対して斜め(45度)の方向に力が加わった事がわかります。 写真の場合は、上下方向か左右方向のどちらかに力が加わった事が読み取れます※2
※1 一番大きな力が加わった方向を最大圧縮応力軸、一番弱い方向を最小圧縮応力軸(地学では引張力は基本的には働かないので)といいます。
※2どちらの場合も同じようなひび割れができますから、これだけではどちらであるかの判断はできません。

 岩石の圧縮破壊実験をすると、岩石が割れるときに大きな音がします。音は空気の振動が伝わったものです。 岩石が破壊されると、岩石で大きな振動が発生し、それが空気にも伝わってたのでしょう(他にも原因はあります)。 これが岩石を伝わってきてその表面で観測されたのなら、地震としてとらえられるでしょう。 このように、断層運動で発生した岩盤の振動が地震の原因とする考え方を「弾性反発説」といいます。
 正しくいうと、断層が動く前に力で変形していた岩石が、元の形に戻る時の振動が地震の原因と考えます。

 実験で壊れた岩石をよく見ると、岩石の全体の長さが圧力を加える前と比べて、圧力を加えた方向に縮んでいるのがわかります。 これは、できたひび割れに沿って、割れた石がずれていったからです。ひび割れに沿って岩石(岩盤)がずれたものが断層といいますから、 圧力が加わることによって断層ができるといえます。
 岩石に上下方向に力を加えたとします。この時にできる「/」型のひびでは左上側が左下にずれていきます。 「\」型のひびでは右上側が右下にずれていきます。どちらも正断層です。これは裏側から見ても同じですね。 横方向に力が加わった時は、横に倒して考えるとわかります。この場合は、どちらも逆断層になります。 もう一つの見方があります。図を真上の方向から見ていると考える場合です。この場合圧縮応力軸は最大、最小のものとも水平方向であると示しています。 できる断層は、右横ずれ断層と左横ずれ断層の組み合わせになります。
 岩盤に「X」型に断層が入っていて、ずれの方向の組み合わせも先ほど書いたようになっていれば、この断層の組み合わせは「共役断層」といいます。

 ひび割れの写真にもどりす。このひび割れがどのようにしてできたのかを考えてみます。
 ひび割れをよく見るとまっすぐ一直線に入っているのではなく、「/\/\/\/\」のようにジグザグになっています。 このひび割れのすき間をよく見ると、横向きに近いものはすき間が狭くてひびがあまりはっきりしないのに対して、 縦向きに近い物はすき間が広く、ひび割れがはっきりわかります。
 「/\/\/\/\」に入ったひび割れの上側が右に動いたとします。その場合、「/」のひびは狭くなり。「\」のひびは広がっていくことになります。 このよう形に、すき間を広げたり狭めたりする方向を考えてみると、写真のひび割れの場合どちらも正断層になるように動いたことがわかります。
 交点のすぐ左上にある「\\」の形のひび割れに注目します。 この部分をよく見ると、剥がれた塗装が、膨らみ盛り上がっています。これは、ひびで挟まれた部分の長さが短くなっていることを示しています。 そのような動きになるのは、上側が右に動いた場合です。この方法での解析結果でも、正断層型の動きである事がわかります。
 杉型雁行配列(「彡」型といった方がいいのかも知れませんが読めません)とは反対の関係になっています。原因は不明です。
 写真の場合の動きは、ずれが小さいので断層といっていいのかどうかわかりませんが、共役断層に相当します。 また、最大圧縮応力軸の方向は上下方向だったということがわかります。

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3.地震からわかる断層

 地震は震源で発生し、そこから四方八方に広がるように地震波が伝わっていきます。 各地には、P波の方が早く到着します。この時の揺れ(初動)は震源から遠ざかるか近づくかのどちらかになります。 遠ざかる場合を「押し波」、近づく場合を「引き波」といいます。押し波になるか引き波になるかは震源の手前側の岩盤が、 近づくように動いた(押し波)か遠ざかるように動いた(引き波)かによって決まります。
 ここで、地震計の記録から簡単に押し波か引き波かを見分ける方法があります。 地震は、必ず地下から伝わってきます。上下方向だけを考えると震源は地下にあります。 初動が上向きの場合を考えてみます。地下方向を見ていると、地面の最初の揺れは近づくようだったので押し波ということになります。 逆に初動が下向きの場合引き波になります。押し引き分布図といいます。

 地図上にその地点が押し波であったか引き波であったかどうかを記入してみます。 下の図は、阪神大震災の時、押し波であった場所を●、引き波であった場所を○で印をつけてみたものです。
阪神大震災押し引き分布図
(この図は、高校生向けの実習としてよく使われるものです)
 ここで●と○の分布域に注目します。よくみるとほぼ直交する2本の直線が分布域の境界になっているのがわかります。 また2直線の交点が、震央である明石海峡にあることも注目できます。 さらに、北東−南西方向に引かれた線は、地震断層である野島断層と平行になっています。 このように見ると、この図は地震断層と関係していることが想像できます。
断層解析図
 押し引き分布図が、地震断層と関係があるのかどうかを考えてみます。
 例として、地表で右横ずれ断層が動いて地震が発生したとします。このとき遠方の観測点でP波がどのように観測されるか考えてみます。 図は上空から見た様子で、F−F’が断層、白矢印のように地盤が動いたとします。 ×印が震央(地表で起こったから震源)で、地震波はAの方向に伝わっていくとします。
 このときP波は、波の伝わっていく方向にしかゆれませんから、白矢印で表されている地震によるゆれのうち、 震源とAを結ぶ方向の成分だけを持って行くことになります。この大きさは、黒矢印で示されています。
 黒矢印の大きさは、AがF−F’と直角方向の位置(破線上)にあるときは大きさが0になります。 そして、それよりF’側にあるときは、P波の伝わる方向に揺れます(黒矢印の向き)から押し波になります。 逆にF側にあるときは引き波となります。また、断層に対して反対側に位置は震源に対して点対称になります。 押しの地域と引きの地域の境界線は、2本の直交する直線で分けられることになります。 2本の直線のうちどちらかが地震断層の方向になるのですが、この図だけではどちらなのかを決めることはできません。
発震機構解解析図
 ここで、図では震源までの距離は関係ないので、代わりに震源を中心とする球面上に投影するとして考えます。 地図上の位置の代わりに、その場所に向かってP波が進んで行く方向の面上に点を打ちます。 こうするともう少し立体的な図を書くことができます。ただこのままでは見づらいので球面の上半分を取り除いてしまいます。 ちょうど、お椀の中を上から覗くような感じになります。このお椀を震源球といい、こうして書かれた図を発震機構解といいます。
 同じような図は、各地の揺れかたなどを詳しく解析することでも作ることができます。モーメントテンソル解(MT解)といいます。 右図は、平成19年能登半島地震の時のものです。 この図では、揺れの中心でのものを示しますので、初動から求めたものと少し違う場合があります。 初動から求めたものを初動発震機構解(初動解)、計算で求めたものをCMT解として区別しています。
 発震機構解は解析から求められたデータをいいますが、震源球で代表させることもあります。


<発震機構解(震源球)の見方>
 押し波域と引き波域の境界は平面になります。これは断層面(かそれに垂直な面)を表しています。 震源球に表した場合は、この平面と球面との交線で表されます。一般的には楕円形の線になります。 ただし、平面が垂直の場合は直線で、水平な場合は外周の円に重なります。大きく曲がった線は傾斜の緩い断層、まっすぐに近い線は垂直に近い断層です。
 震源球に引かれた線によって震源球は2つから4つの領域に分けられます。 この領域の内、押し波の領域は、模様や色で塗りつぶしたりして区別しています。 この中心に印がつけられている事があります。ここが最小圧縮応力軸の方向を示します。 この場合塗られていない(白色の)ところにも印があります。これが最大圧縮応力軸の方向になります。
 ふつう、震源球では最大圧縮応力軸を圧力軸として記号Pで、最小圧縮応力軸を張力軸として記号Tで、 これらに直交する方向を中立軸として記号Nで表します。
 断層の走向方向(どちらの方向につながっていくか)は、外周円との交点どうしを結んだ方向になります。 能登半島沖地震の図では、A−A'かB−B'を結んだ方向のどちらかになります。発震機構解からはそのどちらであるかを判定することはできません。
 下に主な断層に対して発震機構解の図がどうなるかを示します。 ただし、断層の走向は東西方向(横方向)として考えています。
発震機構解模式図
 右横ずれ断層の図を、右に90度回転させた図を考えてみます。左横ずれ断層と全く同じ図になります。 これは、右横ずれ断層か左横ずれ断層かは発震機構解からはわからないことを示しています。 断層が2本の線のうちどちらか確定できないからです。 正断層・逆断層の場合でも、同様に断層面がが北落ちなのか南落ちなのかは区別できません。 それでも、最大圧縮応力軸の方向はわかります(色の塗られていないところの中心です)から、 どのような力によってできた断層(地震)か確定することができます。

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4.平成30年(2018年)大阪府北部の地震

 平成30年(2018年)6月18日午前7時58分に大阪府北部を震央とする地震がありました。 地震のマグニチュードは6.1、震源の深さ13km、最大震度6弱です。この地震について、断層との関係を見ていくことにします。
 図は気象庁から発表された発震機構解です。左側が初動解、右側がCMT解になります。
発震機構解
 どちらの図も塗りつぶされた部分の形に注目してください。初動解では葉っぱのような形になっています。これは逆断層を示しています。 詳しくいうと、走向(断層の伸びの方向)が南北で東上がりの断層か、走向が北北東−南南西で西上がりの断層かどちらかになります。
 CMT解です。線を境にして塗りつぶされていません。線のところで塗りつぶされているとみて考えてください。 「⧗」に近い形ですが、交わっているところが真ん中ではなく下(南)にずれています。 基本的には横ずれ断層です。ちょっと逆断層の動きが入っています。 走向が北東−南西で南東側が上がった逆断層ぎみの右横ずれ断層か、北北西−南南東で西側が上がった逆断層ぎみの左横ずれ断層かのどちらかになります。
 どちらの図からも、Pと書かれた場所が西または東に近い場所にあります。地震は東西方向に圧縮されたことによって発生した事をしめしています。

 2つの発震機構解の示す断層が違っています。これはどういうことでしょうか。 初動解でわかるのは最初に地盤がどのように動き始めたかということです。 CMT解では地震の時に地盤全体がどのような動きをしたかということがわかります。あわせて考えるとこの地震では、 動き始めは逆断層的に動いたものの、地震全体では横ずれ断層であったことを示しています。

余震分布  次に地震の断層を確認することにします。最初に、前震・本震・余震の震央分布図を書いてみます。 気象庁のサイトから本震前日から約2週間分の震源データをダウンロードし、 震央近辺区域内の震央分布図を書き、地理院地図の該当区域に重ね合わせてみました。 震源データは、発表直後のもので暫定値とされています。大きな地震は大きな円で、浅い地震ほど黄色っぽい色になるように書いています。 分布図が格子点になっているのは、発表されている震源の経緯度が角度の分の単位で小数第1位までの精度で書かれているからです。
 震央分布図を見ると、震央は半径約3kmの範囲内にかたまっていて、直線的な分布はないように見えます。 それでも眺めていると、本震の震央から南西方向と北西方向へ伸びているように見えます。「>」の字型に分布しているようです。 さらにうっすらですが、その反対方向でもやや余震が多くなっているようです。 なんとなく、「X」の字型にも見えてきます。

 そのように見ると、共役断層の交差部を中心にして西側の2つの断層が動いたようにみえます。 本震は交差している場所近くで揺れ始めています。 その後の動きはCMT解とあわせて考えてみると、南西側に延びる断層は右横ずれ運動、北西側に延びる断層は左横ずれ運動になります。 「>」で挟まれた西側の部分は、外側に比べて東側に移動します。 これは、国土地理院が発表した箕面−宇治間で距離が縮まった(5mm)という観測結果とも一致します。
※大阪府北部の地震に伴う地殻変動(第3報);交野−亀岡間(南北方向)で4mm伸びたとも記されています

余震分布と震源球  共役断層の交差部では地盤の動きはどうなるのでしょうか。このあたりについては、詳しいことはよくわかっていません。 そこで今回の地震について、入手できるデータから読みとれる範囲でどうなったのかを考えてみることにします。
まずは、気象庁から発表のあった初動発震機構解(約1ヶ月間の暫定値)をその経緯度の位置に置いてみました。 軸の数値は経緯度の分の値、大きな球が本震で、残りのものは余震です。震源が深くなるにつれて黄→赤と色を変えています。
 どのように読み取るかは様々あるかも知れませんが、感じたとおりに書いていきます。
 防災科学技術研究所は、地震発生直後の発表で、震央より南では横ずれ断層が北側では逆断層型の地震が発生していると書いていました。 その後の発表文ではこの文面は削除されています。以下の内容はほぼこれからの考察になっています。

 まず震源球の種類に注目します。横ずれ断層型と逆断層型の2種類が混在しています。 本震の震央を中心にしてみると、南側の3地点は横ずれ断層型です。 この3つ震源球から読み取れる断層の走向方向は2つあります。 そのうち、3地点の震央の並びやこの区域の余震の震央分布と一致するのは、北東−南西方向のものです。 これが断層をあらわしているでしょう。断層は北東−南西方向にのびる右横ずれ断層になります。
 本震の震央より北側に注目します。本震の震央から北西方向に並ぶ7地点の震源球は逆断層型です。 震源球の示す断層の走向方向のうち、この方向に近いのは、北北西−南南東方向です。この場合は東側が持ち上がった逆断層になります。 わずかに余震の震央分布の方向とずれています。
 残った3地点は横ずれ断層型になっています。ほとんど単独の分布なので、右ずれか左ずれかは判別できません。
この文章の掲載直前に起こった8月28日の余震は、本震の震央のすぐ北北東側が震央になりますが、横ずれ断層型の初動発震機構解が発表されています。


 本震の発震機構解とあわせてみると、本震は北側の逆断層と南側の右横ずれ断層が同時に動いたといえます。 一般的には2本の断層が動いたと解釈されますが、断層は真っ直ぐ伸びるもので変位(ずれ)もほぼ同じであるという考えに縛られたものです。 単に「>」字型の割れ目に沿って東側の地盤が一体となって西側に乗り上げながら移動していっただけなのかも知れません。

 どのように動いたとしても、断層ができた各部分では、ほぼ東西方向に圧縮力が加わっている点は共通しています。 この力によって、横ずれ断層ができるか、逆断層ができるかの違いを考えてみます。
 横ずれ断層は最小圧縮応力軸が水平方向の場合にできるのに対して、正断層は垂直方向の場合にできます。 岩盤に加わる上下方向の力は、基本的には上にある岩石の重み(圧力)による力です。同じ深さなら、同じ大きさであるといっていいでしょう。 これが最小圧縮応力軸になるかならないかの違いは、南北方向の力がこれより大きいか小さいかによります。
 断層のずれによって地盤が動いた先では、その方向に圧縮力が加わります。2方向ある断層の交わるところでは特に大きくなります。 この力が大きくなって、上下方向の力よりも大きくなれば、逆断層となるでしょう。
 南北方向の力が同じでも、上下方向に加わる力が小さくなれば、最小圧縮応力軸が垂直方向となり、逆断層となります。 浅い場所では、岩石による圧力は小さくなります。同じ断層でも、地表に近くなれば逆断層となることもあります。 この地震では、余震の震源球を見る限りでは、深さによって断層の様子が変わっているようには見えません。


この節で使ったり参考にしたデータの入手元です
震源リスト
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/daily_map/index.html
発震機構解(震源球)
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/mech/ini/top.html
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/bulletin/eqdoc.html#table5
http://www.hinet.bosai.go.jp/AQUA/aqua_catalogue.php?LANG=ja
http://www.fnet.bosai.go.jp/event/joho.php?LANG=ja

  2007.03.27「能登半島地震と活断層」として掲載
2007.03.29   一 部 修 正      
2018.08.31「地震と活断層」に全面書換え開始 





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