ヨッシンと 地学の散歩
散歩道の風景 写真集(No.19)
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大雪山
中富良野町から
大雪山というのは、かなり広い範囲を指していいます。その中で、最も高い所は旭岳で2291mあり、北海道の最高峰となっています。
周囲にも愛別岳や白雲岳など、いくつかの古い火山体が連なっています。このあたりが、大雪山火山群と呼ばれる地域になります。
地名的には南の忠別トムラウシ火山群を含めた地域が大雪山の中心部で、表大雪といわれています。
写真中央の旭岳近くの地獄谷や御鉢平周辺で、活発な噴気活動が見られます。
時々水蒸気噴火が起こっているようですが、詳しいことはよく分かっていません。
大雪山と呼ばれる区域内では東大雪にある丸山も活火山として別に指定されていますので、
活火山としての大雪山は、旭岳近辺を指します。
十勝岳
中富良野町から
北海道の真ん中あたりにある活火山です。周辺には、古い火山が連なっていて十勝連山を作っています。
現在の活動は、真ん中にある十勝岳山頂近くの噴火口で起こっていて、噴煙が上がっている様子が見られます。
この一画だけ、岩肌がむき出しになっていることから、火山活動の活発さがうかがえます。
1923年から始まった一連の噴火の中で、26年5月24日の大噴火で岩雪崩が発生し、熱水放出とともに、
山頂付近の残雪を融かしたために、大量の泥流が発生し、美瑛川・富良野川に沿って流れ下りました。
泥流は写真左方にある上富良野の町を埋め尽くした後、写真正面にある低地を流れていきました。
那須岳
栃木県那須高原から
関東地方最北端の活火山です。那須岳というのは、茶臼岳の別名とされていますが、周囲のいくつかの火山をまとめて那須岳と呼ぶこともあります。
特に高い峰、茶臼岳・朝日岳・三本槍岳・南月山・黒尾谷山を那須五岳と呼んでいます。この中で最高峰は三本槍山になります。
東側の裾野は、岩雪崩堆積物や溶岩などでなだらかな地形が広がっています。
最近の噴火活動は、茶臼岳を中心に起こっていて、現在も噴煙が上がるのが見られます。残念ながら噴火口は山向こうになり写真からは確認できません。
何となく噴煙ぽくみえるものは写っています。
高原山
栃木県那須高原から
北側の前黒山・明神岳を中心とする塩原火山群と南側の釈迦ヶ岳を中心とする2つの火山群からできています。
塩原火山群は40万年ほど前の噴火でカルデラを作り、その後中央火口丘として前黒山ができました。
さらにその後、南側の釈迦ヶ岳火山群が噴火し、カルデラの南半分が埋め立てられます。
残ったカルデラ内には湖ができ、その湖底にたまった土砂からは保存のよい木の葉の化石に混じってカエルなどの化石も産出するので有名です。
10万年ほど前から噴火を停止していたのですすが、最近になって前黒山北麓で噴火を起こし富士山などが作られたために、活火山と認定されています。
日光白根山
群馬県館林市付近から
関東地方で最も高い山だそうです。周辺には高い山が多いため、関東平野からはあまり目立って見えません。
横にある男体山や女峰山のほうがよく見えます。日光付近の火山としては、男体山の方が中禅寺湖をせき止めた噴火などで知られています。
日光白根山はこれとは別の火山体です。新しい噴火は日光白根山で起こっています。戦場ヶ原といったところに火山地帯特有の地形が見られます。
男体山も1万年以内の噴出物があるようですが、現在のところ活火山とされていません。
写真は、関東平野からの周辺の山との見え方の違いを示しています。コントラストを強調していますので、色が正しく再現されていません、
赤城山
群馬県館林市付近から
群馬県にある火山です。周囲にいくつかの古い単成火山や火口が見られます。吾妻鏡に、この山が赤く光っていたという記録があり、
それが火山噴火によるものだとして活火山に分類されています。周辺を調べてみても、最近になって噴火したようすは見つかりません。
そのため赤く光ったのは山火事によるものではないかという考えもあります。
関東平野に吹き渡る空っ風も、この山にぶつかった北西の季節風が利根川にそって集められ、南に流されて強風となって起こるように見えます。
群馬県や埼玉県では、この風が赤城山の方から吹いてくるように見えることから「赤城おろし」と呼んでいます。
米丸・住吉池
加治木付近上空から
鹿児島空港の西約10kmの所にある、直径が500mほどの丸い窪地です。東側(下側)のものは水がたまっていて住吉池と呼ばれています。
西側(上側)のものは少し大きいのですが、底が埋め立てられて田んぼになっています。これが米丸です。
どちらも8000年ほど前の爆裂火口(マール)とされています。住吉池の方が先にできたそうです。
他にも円形の窪地のように見える地形があるのですが(住吉池の左隣など)、爆裂火口にはされていないようです。
住吉池と米丸の間にある青敷山(275m)も10万年ほど前にできたスコリア丘です。
若尊(わかみこ)
桜島園山付近から
桜島より北側の錦江湾(鹿児島湾)の底には直径が10kmほどの円形の窪地があり、カルデラと考えられています。
カルデラ壁のほとんどは海底にあるのですが。東側は大隅半島つけねにある若尊鼻から霧島市大廻の斜面が該当します。
対岸の台地の左端が上野原遺跡のあるところで、斜面にある白い建物との間で、崖の濃さがわずかに変わっているところが若尊鼻です。
桜島北東の園山付近から見ると、新島からその左側の硫黄島・中之島とその対岸との間にあります。
新島には火砕流堆積物があり、このカルデラの形成時に堆積したものと考えられています。また、この海域では、「たぎり」
という、噴気に伴う泡がわき上がってきています。
硫黄鳥島
東側上空から
沖縄本島辺戸岬の北方約100km、徳之島の西方約50kmの所にある火山島です。標高が100m程度の台地状になっていますが、
北側と南端に200m程度の高さの山があります。
噴気活動は、北側の山の西側にある窪地と、島中央部の円形の台地で見られます。
硫黄採掘のため、人が住んでいた時期もありましたが、1967年に撤退して以後無人島になっています。
口之島
北東側上空から
トカラ列島最北端の火山島です。最高峰は島中央部の横岳で、標高は629mです。南東斜面は切り立った崖になっていて、
その向かい側に、標高400mほどの燃岳があります。燃岳は直径が500mほどの山頂部が比較的平坦な山で、溶岩ドームとされています。
山頂部には、割れ目噴火口や噴気孔が見られます。1万年前以後の噴火は燃岳が中心のようです。
写真には、横岳が雲の間から見えていますが、燃岳は雲の下です。
口之永良部島
東側上空から
屋久島の西北西10kmほどの所にある火山島です。島で最も高いのが標高657mの古岳で、数百年前前までは噴火していたようです。
そのすぐ横新しい火口を持つ新岳があります。新岳の噴火は19世紀以後に集中しているようです。
この山は、2015年5月29日に噴火をし、全島民が屋久島に避難しました。16年2月現在も新岳火口から2.5km以内は避難区域に指定されています。
噴気活動も活発で、島の隆起状態が続いているようです。写真でわかるのは山の頂部は広い範囲にわたって、噴火の影響で植物が生えず茶色くなっています。
噴煙も確認できます。
島の向こう半分にある番ヶ屋峰も20万年ほど前に噴火をしていた古い火山のようです。
横岳(八ヶ岳まで)
車山乗越から
長野県の群馬県よりの所に、横岳という山が活火山に指定されています。八ヶ岳の中に横岳(2829m)というのがありますが、
それではなく、尾根沿いにさらに北側、蓼科山の近くにある2480mの山がこの活火山に該当します。
地質調査総合センターの活火山リストには横岳ではなく、北八ヶ岳として登録され、その場所を表示させると蓼科山が出てきます。
写真の右側からでこぼこしながら続く山々が八ヶ岳で、いったん一番低くなったところ(麦草峠)から左側が北八ヶ岳になります。
そこから、左端近くで低くなるところまでの山並みの中で一番高い山が横岳になります。蓼科山は山麓部のみが左端に写っています。
妙高山
聖山から遠望
長野市の北側に、3つの火山が並んでいます。南から順に飯縄山・黒姫山・妙高山です。噴火の年代はこの順番に新しくなっています。
この中で、活火山に指定されているのは妙高山だけです。また3つの火山とも、山頂近くが山体崩壊しクレーター状になったところに、
新しい火口丘が作られています。新しい火口丘の方が崩れ残った外輪山状の山よりも高いのも妙高山だけです。
妙高山は山頂部が東側に向かって崩壊しています。崩れ残った南側の高いところが赤倉山、西側が三田原山、北側が大倉山と呼ばれていますが、
全て妙高山の一部とするのがいいでしょう。
2つよく似た形の山が並んでいますが、左側は高妻山で、右側のものが妙高山です。たまたま同じような形に見えているだけです。
安達太良山
飛行機から(北西側上空)
火山噴火でできた火口と思われる地形が見られます。沼の平火口と呼ばれています。直径が1.5km、深さが150mあります。
1900年の噴火の時の中心地で、ここにあった硫黄採掘所は噴火で吹き飛ばされてなくなっています。現在も時々泥水を噴出するなど活動は活発です。
安達太良山と呼ばれる山は、いくつかの山の集まりで、ほとんどが古い火山です。中心になるのは本峰で写真上部中央付近写っています。
最も高いところは箕輪山の1728mになります。
青ヶ島
青ヶ島大凸部より
直径約3kmの火山島です。カルデラを持つ火山島が、周囲を波に浸食され高さが300mほどの断崖に囲まれているような地形になっています。
平地は島の北部と、中央のカルデラ内にあり、カルデラの方が標高が4分の1程度の低さです。見た目は、真ん中のへこんだ奇妙な形をした島です。
カルデラ中央部には、噴石丘とみられる中央火口丘があります。天明年間に噴火があり、その後しばらくの間は、人が住んでいなかったようです。
大凸部(おおとんぶ)は、島の最高峰で、外輪山上にあります。
八丈富士(西山)
八丈空港から
八丈島は、二つの山からできています。南東側の東山(三原山)と北西側の西山(八丈富士)です。
町はこの2つの山に挟まれた凹地にできています。
10万年以前は東山が噴火していたのですが、その後噴火の中心は西山に移りました。初期の噴火では粘性の低い溶岩が放出され、
千畳岩などでは、縄状溶岩が見られます。西山山頂には円形の窪地があり、中央火口丘や噴火口が見られます。
山麓には神止山を初めとしていくつかの側火山もあります。
鬼岳(福江単成火山群)
鐙瀬溶岩海岸から
長崎県福江島の南東側海岸には、鬼岳を始め、火の岳・紫岳・白岳・黄島(おうしま)・赤島・黒島といった単成火山がいくつか見られます。
これらの火山をまとめて、福江火山群として活火山に認定されています。2〜3千年前に最新と思われる噴火があったのですが、
どの火山からだったのかはよくわかっていません。
鐙瀬(あぶんぜ)溶岩海岸は、鬼岳から流れてた溶岩が海岸に迫っている場所です。鬼岳は、円錐形で中央に大きな窪地がありますので、砕屑丘のように見えます。
岩木山
北海道白神岬より
きれいな円錐型(富士山型)をした火山で津軽富士とも呼ばれています。山頂付近に3つのこぶのような峰があります。
これらは、山頂が壊れてできた外輪山と、中央にできた溶岩円頂丘の組み合わせになっています。
大規模な山崩れの跡や、いくつかの側火山がありますが、距離が遠くかすんでいるため確認できません。
右側に盛り上がって見える山は白神山地に続く山々です。
渡島大島
日本海航路より(西側海上)
北海道渡島半島の西側に浮かぶ直径が4kmほどの島です。二つの山でできているように見えます。
一つは、清部岳・寛保岳の山で、清部岳が外輪山、寛保岳が中央火口丘の関係になります。
北側に大規模な山体崩壊の跡が見られ、江戸時代に大規模な津波を引き起こしたようです。
オオミズナギドリの繁殖地として保護されていて、立ち入ることはできません。
雄阿寒岳
阿寒湖桟橋より
阿寒湖の縁に立つ火山です。阿寒湖、雄阿寒岳周辺は大きな窪地になっています。元々あった火山の噴火によってできたカルデラとみられます。
カルデラの中心に雄阿寒岳ができ、カルデラ湖が分断され西側に阿寒湖、北東から東側に側にパンケトゥ・ペンケトゥの湖、
南は湿地になっています。
雄阿寒岳は、カルデラの中央火口丘と見ることができます。
阿寒湖は、堰止め湖に分類されていますが、成因からするとカルデラ湖にした方がいいでしょう。
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