ヨッシンと 地学の散歩
散歩道の風景 写真集(No.27)
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鉱山採鉱跡
秋田県鹿角市尾去沢鉱山
尾去沢鉱山内にある鉱石を採掘した跡です。壁に挟まれた高い空間が広がっています。もともとはこの隙間に鉱脈がありました。
鉱脈に行き当たると鉱脈に沿ってトンネルを掘り、その天井にある鉱脈を崩していきます。
でてきた鉱石ははそのまま足元に残しておきます。
こうすると天井が高くなった分足元も高くなりますから足場を確保しなくても掘り進めることができます。
実際には足元が高くなる方が早いので少しずつ運び出しながら掘っていくことになります。
このような掘り方はシュリンケージ採掘法といいます。
ヤッコカンザシ付着痕
高知県室戸市室戸岬
室戸岬近辺では海面から決まった高さのところに何ヶ所か、岩の表面に石灰質の付着物がみられます。
これは海面付近に生息するヤッコカンザシが作ったものです。ヤッコカンザシはゴカイの仲間で石灰質で筒状のかたまりを岩の表面につけます。
海面の高さにできる塊が何段かあるということは、大きな地震の度に地面が何mか隆起した事を示しています。
表現は正しくありませんが、地震の化石といえるものです。
タフォニ
和歌山県古座川町「高池の虫喰岩」
道路沿いの大きな崖に、ノッチ状の窪みがたくさんあいていて、そのへこんだ場所にタフォニができています。
この写真では小さくてわかりにくいのですが、右側の竹林の根元あたりに比較的はっきりしたものが見えます。
海岸から遠く離れていますが、過去に海岸線がこの近くにあったときにつくられたとされています。
古座川の環状岩脈と呼ばれる岩石にできています。この西側にある牡丹岩や東側の蜂の巣岩にも同じような構造が見られますから、
この岩石は、タフォニができやすい性質を持っているのかも知れません。
タフォニ
高知県室戸市鹿岡「夫婦岩」
鹿岡の夫婦岩の表面です。不規則な蜂の巣のような形のへこみがたくさんできています。
一般的にはタフォニと呼ばれています。
岩石中から浸みだしてきた塩水から塩分がかたまるときに岩石を割ってできるといわれています。
見た感じでは、つきだした部分が何かの理由で固くなり、その間の部分が削られていったようにも見ます。
段丘面と赤色土
長崎県雲仙市愛野町
島原半島のつけ根付近には、雲仙山から外側に向かって緩く傾斜する台地が広がっています。
この付近の耕作土を見ると赤っぽい色をしています。向こうに見えるのは橘湾です。
平坦面が作られた後、比較的暖かい時代が続いたことで表層土が風化によって赤くなったといわれています。
赤色化と呼んでいます。
土壌分類図を見るとこの付近は、黄褐色森林土に分類されていますが。土の色から見る限りでは赤黄色土のように見えます。
モルゲンロート
2018年11月 8日06時20分
水上高原から朝日岳
高山が朝日に照らされて、赤く染まって見える現象をモルゲンロートといいます。
水上高原に泊まったときに、日の出前に晴れていて山がきれいに見えていたので、向かい側に見える朝日岳を注意して見ていました。
日が昇ってこようとするのにつれて、上から赤く染まり始め、しだいに下の方に広がっていくのが見えました。
この時では水上高原ではまだ日は昇ってきていないようです。
石灰藻球
熊本県天草市鬼池
天草下島の北岸は石灰藻球打ち上げ浜とよばれるところがあります。
海岸を歩いてみると、白い石灰質の丸い石のようなものがたくさん見られます。管状のものが絡み合ってできているようです。
紅藻類の中には石灰分を沈着するものがあります。
これを石灰藻といいます。膜状のものや樹枝状ものなど様々な形があります。これが、海底に密集してできているところがあって
そこから運ばれてきて海岸に打ち上げられているようです。
対岸の島原半島原城跡沖には、大潮の干潮時に石灰藻のかけらでできた州が現れることがあるそうです。
硫黄細菌
福島市吾妻山浄土平
温泉水が湧き出している場所で、糸状の白いものがたくさんできています。
温泉水に含まれる硫化水素を硫黄に酸化するときのエネルギーを利用して、有機物を合成するバクテリアがいます。
硫黄細菌とか硫黄酸化細菌といいます。一部の硫黄細菌には、老廃物としてできた硫黄を体内にため込んだままにしているものがいます。
それが白い糸状のものの正体です。
化学的に取り出したエネルギーを利用する生物を化学合成生物といいます。化学合成生物のなかには温泉水のような高温なところや
酸性の強いところでも生活できるものがいます。化学合成が光のエネルギーを利用してできるようになったものが光合成と考えられています。
イチョウ(深裂葉)
イチョウの葉の形は、扇形をしているのが特徴です。
環境の悪いところや、傷つけられるなど大きなストレスのかかった所では、葉が大きく裂けることがあります。
その時の形は、古生代末にみられるイチョウの祖先であるギンゴイテスに似ています。
祖先の形に戻ったのではないかということで、先祖返りの一種ととされています。
葉脈は、同じ太さの2本の維管束に別れながら先の方が広がっていきます。このような維管束の別れ方を二叉分枝といいます。
古い特徴を持つ植物によく見られる特徴です。
ヤチヤナギ
青森県八甲田山田代湿原
北日本の湿原でよく見られる植物です。大阪付近で化石として見つかった事があります。
このことから、北日本なみに寒かったということがわかり、寒冷期の示相化石として用いられました。
ヤマモモの仲間になります。実を食用にするやまももや新生代中新世のコンプトニアもその仲間です。
これらの植物はは暖地の示相化石として扱われています。このヤチヤナギだけは例外のようです。
学名:Myrica gale L
琵琶湖産貝類
滋賀県大津市堅田港
琵琶湖で見つかる貝類の殻です。上段左から、ナガタニシ、セタシジミ、マツカサガイ、下段はササノハガイです。
琵琶湖は歴史が長いので、独特の生物がいるといわれています。ナガタニシ・セタシジミは琵琶湖とそれにつながっている淀川水系でのみみられます。
その他のものは全国的に見られるようです。このうちササノハガイは、他の地域のものと少し形が違っています。
種類によって、形の変化の程度が違っています。
現在みられる琵琶湖独特の生物が現れてくるのは、長い琵琶湖の歴史の中でも最近になってからのようです。
トビイカ
伊豆大島沖
船のデッキから海面を眺めていると、水中から勢いよく飛び出す生物がみられます。ほとんどがトビウオですが、たまにイカの姿もあります。
イカは、漏斗から勢いよく水を噴射して飛び出した後、
エンペラ(耳)の部分を大きく広げているのと足を平たく並べ膜のようにして翼の代わりとしています。
生物の種類によって、翼として使う器官は様々なようです。
オパキュリナ(大型有孔虫化石)
鹿児島県知名町(沖永良部島)沖泊海浜公園
新生代新第三紀中新世の示準化石とされていますが、現在でも見られるようです。
有孔虫とは、石灰質の殻を持ったアメーバのような生物です。いろいろな地質時代に、それぞれに違った特徴を持った有孔虫が大きくなりました。
この時期にも何種類かの有孔虫が大きくなっています。
オパキュリナはカタツムリを押しつぶしたような形になるのが特徴です。
直径は5mmくらいですが1cm近くにになることもあります。広い面に沿って砥石で削っていくと渦巻き模様が見えてきます。
ハチノスサンゴ
宮崎県五ヶ瀬町祇園山
古生代シルル紀〜デボン紀の示準化石です。
放射状に広がる筋がみえます。サンゴが成長するにつれて、だんだん横に広がっていってできたものです。
この方向と直角な断面(サンゴの表面)をみると、細かい蜂の巣のような模様がみられます。
この模様から、化石の名前がつけられています。
これは五ヶ瀬町木地屋前に置かれていた石に入っていたものです。
クサリサンゴ
宮崎県五ヶ瀬町祇園山
古生代シルル紀の示準化石です。
石の表面に波うった筋がたくさん並んでいます。右側では、楕円形のコブのようなものに変わっていきます。
コブの間にある模様をみると、鎖が並んだようにみえるのでクサリサンゴの名前がつけられました。
縦(成長)方向の断面をみています。
これは五ヶ瀬町木地屋前に置かれていた石に入っていたものです。
ライチョウ
富山県立山室堂平
ライチョウは氷河時代の生き残り(レリック)として日本アルプスの高山に生息しています。
冬と夏で羽の色が変わるということでも知られています。実際には、春に羽根が変わった後、もう一度変わります。
全部で3回変わることになります。写真のものは、夏から秋にかけての羽根になります。地面とよく似た模様になっています。
アマミヤマシギ
鹿児島県徳之島
奄美地方にいるシギの仲間です。本州やユーラシアにいるヤマシギに比べて、足がずんぐりしている、額のところが灰色ではなく茶色であるなど、
いくつか違いがあります。
分布域は、奄美大島のみと書かれているものから沖縄渡嘉敷島までと書かれているものまで色々あります。
特定の地域にのみ生息している生物はその地方の固有種とされます。これは、奄美(+沖縄)地方の固有種ということになります。
アマミノクロウサギ
鹿児島県徳之島
鹿児島県の奄美大島と徳之島に生息するウサギの仲間です。全体的に黒っぽい色をしていることからその名前がついています。
普通のウサギに比べて、耳が短いこと、足(特に後足)が太く短いこと、爪が大きいことなどで区別できます。
これらの特徴は、原始的なウサギに見られるものとされていて、ウサギの祖先の生き残りではないかと考えられています。
土の中に穴を掘るのに適したからだのつくりをしています。
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