ヨッシンと地学の散歩 > 散歩道の風景 > 写真集(No.28)

ヨッシンと 地学の散歩

散歩道の風景  写真集(No.28)

道標(top) 散歩道の風景(中扉)  写真集目次 写真集項目別索引  写真集五十音順索引
津波石
津波石
岩手県田野畑村ハイペ海岸

 海岸に転がっている岩です。 よく見ると海岸の砂に埋まっているところより少し上に地層の方向とは関係なく白い点々が並んでいるのがわかります。 上の方にはないのに対して、下の方にはあるようです。
白い点は、波打ち際にいる貝類などがくっついていた跡です。 付き方から見て上の方は海中に浸かっていて下の方は海面ぎりぎりだったように見えます。
他の岩についている点々と比べてみて高さがばらばらなところを見ると、この岩は大きな力でひっくり返されたと考えられます。
 押し寄せる津波の力でひっくる返されたのではないかと推定されます。
津波石
津波石
岩手県田野畑村ハイペ海岸

 海岸の青っぽい色の岩と向こう側の崖との間に茶色い大きな岩が挟まっています。 普通なら、茶色い岩は、崖の上から落ちてきたと考えるところなのですが、向こう側の崖には青っぽい色の岩石しかありません。 茶色い岩石があるの右の海側だけです。海の方からつきだした岩を乗り越えて現在の場所まで運ばれてきたと考えらえます。
 このような岩を運ぶのは津波の時に限られます。津波で運ばれた岩を津波石といいます。これは津波石ということになります。
断層破砕帯
断層破砕帯
広島県安芸太田町三段峡

 対岸の崖に行き止まりになった狭い切り通しのようなものが見えます。 人工的に削られたようですがそうではなく、この部分の岩石がやわらかいために侵食によって削り去られてできたものです。
 やわらかくなっているのは、断層運動でその両側にある岩盤が擦りあわさることによって砕かれたためです。 断層面上にできる、砕かれた岩盤の岩片や細粒物質の詰まっているところを断層破砕帯といいます。
温泉余土
温泉余土
長崎県雲仙市雲仙温泉

 火山地帯で温泉のような熱気が噴出している場所では、それに含まれるガスや温度の影響で脱色されたり柔らかくなったりします。 このようにしてできた土を温泉余土とよんでいます。
 この付近では噴気はでていませんが、過去にはこの付近では盛んに噴気がでていて温泉余土が作られたたようです。 その後、噴気の勢いが弱まったのか、移動したのかでここからは噴出しなくなりました。すぐ横には、まだ噴出しているところが見られます。
グリーンタフ
グリーンタフ
秋田県男鹿市山崎

 男鹿半島の地質を調査しているときに、この館山崎付近で緑色をした凝灰岩が見つかりました。 そのまま英語で標記するとグリーンタフとなるので、グリーンタフと命名さされました。 その後、東北日本では似たような色をした凝灰岩がたくさん見つかってきました。時代や成因もにていることから その時代の地殻変動を象徴する岩石となってきました。
 この場所は、最初に見つかった場所ということもあり、グリーンタフの模式露頭とされています。
 岩石の色は乾くと白っぽく、湿ってくると緑色を帯びてきます。
ベースサージ
ベースサージ(火山礫凝灰岩)
秋田県八峰町岩館ちごき崎

 火山噴火で、繰り返す水蒸気爆発の度に横殴りの暴風によって飛ばされてきた土砂がたまったものです。 この暴風はベースサージとよばれます。
 飛ばされてきた土砂も火山噴火で作られたものです。大きさでいえば火山灰とか火山礫に相当します。 これがたまってできた岩石ですから火山礫凝灰岩というのが岩石名としては正式なのでしょう。
火山豆石
火山豆石凝灰岩
青森県深浦町椿山

 凝灰岩層の断面です。丸い粒状のかたまりがたくさん含まれています。火山豆石といいます。 上空で火山灰に水分がつくことで火山灰を集めかたまりになったと考えられています。
 凝灰岩層の特定の部分に集中してあるのがわかります。条件が整ったときにしか作られないようです。
溶岩流
溶岩流
東京都三宅島阿古小学校

 1983年の三宅島の噴火で流れ出た溶岩は、小学校の校舎にぶつかったところで止まっています。 校舎の海側では溶岩が流れてきていませんが、校舎のすきまから流れ下ろうとした溶岩流の先端部分が見えます
 この溶岩はアア溶岩とよばれるタイプの溶岩になります。 表面はかたまっていて、先端部はそれが壊されてできたかたまりが崩れ落ちるようにして進んできていることがわかります。
流理構造
流理構造
青森県深浦町椿山

 流紋岩質溶岩が周囲にあった岩を取り込んで流れています。周辺で溶岩が流れたようすが筋になって残されています。 全体的に滑らかでまっすぐなので岩を押し流すように流れたように見えます。岩がへこんでいるところでは渦状になっている所もあります。 流れの速いところと岩では流れる速さが違っていたようです。
柱状節理
柱状節理
長崎県平戸市生月島塩俵園地

 この崖は塩俵の断崖とよばれています。塩俵がたくさん積み上げられていることからその名前がつけられたようです。 どれが塩俵なのかはわかりませんが、柱状節理に沿って柱状に割れ、それが細かく折れることによって、塩俵状の岩のかたまりができそうです。 そのようなものが転がっていたのか、柱状節理が塩俵を積み上げたように見えるのか、そのあたりはどうなのでしょう。
板状節理
板状節理
青森県深浦町鳥居崎

 海岸にある岩が、板状に割れて不規則に積み上がっています。安山岩の溶岩はこのように割れているのをよく見かけます。 板状節理といいます。溶岩流の底面や上面で溶岩の流れる速さは遅く中心部で速くなります。 そのために溶岩がずれてm流れの方向と平行な割れ目ができてこのようなものが作られます。
貫入
貫入
岡山県西粟倉村影石

 白っぽい色をした岩石と黒っぽい色をした岩石の互層が直立しているように見えます。 よくみると、白っぽい露の岩石は花こう岩ですから、互層ではないようです。
 実際には黒っぽい色の泥質岩の間に幾筋もの岩脈となって入っています。 花こう岩が貫入してくるときには、岩盤の割れ目を押し広げながら入ってくるので、 場所によってはこのように幾筋もの岩脈としてみられることがあります。

不整合
不整合
大阪府箕面市才ヶ原林道

 崖の地層は上の地表からの風化で赤くなっています。よく見ると下の方はのっぺりとしていて、下に行くほどしまっています。 真ん中くらいに石ころのようなものが挟まっているのがわかります。
 下の方は岩石が風化して柔らかくなったもので、上の方はぼさぼさで新しい地層になります。 境界は、真ん中くらいの赤色が濃いところの上端です。ここより下は、地下水が流れにくくなっています。 その差によって風化でできた赤色成分が流されたどうかかで濃さが違ってきたようです。
 赤色の濃いところの上限を境にして地層のできた時代が違うので、ここに不整合があることがわかります。
コンボリュートラミナ
コンボリュートラミナ
長崎県佐世保市松浦島

 地層の中に大きな岩がたくさん入っているように見えます。地層の厚さと同じくらありそうです。 よく見ると岩の周りに岩を取り巻くように筋が見えています。
 地層ができた後、上から圧力が不均等にかかると、圧力の弱いところから上の方に水分がぬけようとします。 それにつられて、地層の土砂も移動してこのような模様ができるといわれています。 コンボリュートラミナといます。
乾裂
乾裂
長崎県雲仙市

 干上がった水田の表面です。たくさんのひび割れができています。このひび割れを乾裂といいます。
 水田の底にたまった泥は、乾燥するにつれて縮んでいきます。表面から乾いていきますから、表面に近いほど収縮が大きくなります。 収縮の大きな方向と直角にひび割れができますから、表面に対して直角に乾裂ができます。
 表面近くはたくさん縮み、土中ほど縮みが少ないので、表面の土はひび割れの塀から捲れあがるようになっていきます。
メランジェ
メランジェ
鹿児島県徳之島みやどばる

 海溝で海洋プレートが沈み込むとき、海底にたまっていた泥や砂がかき混ぜられるようにして引きずり込まれていきます。 メランジェはその結果できたものとされています。メレンゲと同じ語源です。
 砂は丸くなっていますが、ある程度地層の形を残してます。泥は流れるように動き、砂の周りに水流のような模様を作っています。
瓢箪型鍾乳石
瓢箪型鍾乳石
鹿児島県沖永良部島昇竜洞

 鍾乳石にたくさんコブものが連なって、数珠のようになっています。その形から瓢箪型鍾乳石といいます。
 単独にあるのではなく、広い範囲で密集して下がっています。できている範囲も限られているようです。 その付近で、膨らみができやすいとき、真っ直ぐ伸びるときと、決まった時期に変化したように見られます。 洞内で環境の変化か何かがあったのでしょうか。
モレーン
モレーン(氷堆石)
富山県立山室堂平

 立山美女平からバスに乗り室堂に着く手前あたりから、横に見える斜面に大量の岩や石が積み重なっているのが見えてきます。 背後の山に比べても非常にたくさんあります。転がり落ちてきたものではなく、どこかから運ばれてきたものと考えた方が良さそうです。
 今から数万年前、非常に寒かった時期に、この付近は氷河に覆われていて、高いところから大量の岩や石が運ばれてきました。 暖かくなり、氷河がなくなったことによって、取り残されたものです。このような岩や石をモレーン(氷堆石)といいます。
羊背岩
羊背岩(ようはいがん)
富山県立山室堂山遊歩道

 氷河が周囲の岩盤を削っていくとき、岩盤にあった出っ張りは、氷河の上流側がなだらかに、下流側はでこぼこした形になります。 そのようすが、羊が寝そべっている姿に似ていることから「羊背岩」と呼ばれます。 羊背岩の表面には、氷河擦痕による筋がみられるのも特徴です。
 周辺を見わたしてみると、似たような格好の岩がいくつもあるのがわかります。
氷河擦痕
氷河擦痕
富山県立山室堂平

 立山室堂ターミナル前から遊歩道に上がる石段の石についていました。平らな石の表面に、まっすぐ平行に並んだたくさんの筋がみられます。 氷河に取り込まれた石や岩が、周辺の岩盤などとこすれあわさってできたものです。
 氷河の作用によってできたすり傷ということで「氷河擦痕」といいます。この近辺の遊歩道や石段は、付近に転がっていた石を並べて作られています。 探せば他にも見つけることができるでしょう。



ヨッシンと地学の散歩 : 道標(top) 散歩道の風景(中扉)  写真集目次 写真集項目別索引  写真集五十音順索引

前のページ<<  ■  >>次のページ