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散歩道の風景  写真集(No.29)

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砂州と砂嘴
砂州と砂嘴
鹿児島県薩摩川内市上甑島

 甑島の長目の浜は、海岸に沿ってレキが一直線上堆積してできた砂州というかレキ州です。 このような海岸と平行な砂州を特に沿岸州ということもあるようです。
 遠くに山と山の間に平地があるのが見えます。こちらは島と島とを繋ぐようにできた砂州で陸繋砂州といいます。 一般に砂州は湾をふさぐようにできたもの、砂嘴は海に突き出すようにできたものをいいますから。 陸繋砂州というよりは陸繋砂嘴といった方がいいのかも知れません。
海食洞
海食洞
佐賀県唐津市「七ツ釜」

 唐津市屋形石にあることから、屋形石の七ツ釜として天然記念物に指定されています。 玄武岩の作る柱状節理が波で浸食されて洞窟を作っています。その数が七つということで七ツ釜と呼ばれるようです。 実際には7つ以上あります。中の一つは向こう側まで抜けているものもあります。
 この近くでは他にも、象の鼻とか眼鏡岩といった、柱状節理が侵食されてできた地形を見ることができます。
海食崖と海成段丘
海食崖と海成段丘
岩手県田野畑村「鵜の巣断崖」

 三陸海岸はリアス式海岸として知られています。田野畑村付近では海岸線は入り組まないで切り立った崖がまっすぐに伸びているのが特徴です。 南部にある鵜の巣断崖から北側を見るとそのようすがよくわかります。
 海岸に沿って150m近い高さの断崖が続いています。わずかに海に突き出した所には岩礁が見られることから波食台があることがうかがえます。 崖の山側も上面は平らで、かっての波食平坦面だったとされています。この平坦面は、さらに向こうの北山崎へと続いています。
地峡
地峡
鹿児島県薩摩川内市下甑島鷹落浜〜吹切浦

 海に挟まれた細長い陸地を地峡と言います。海と陸が入れ替わっていれば海峡となります
 下甑島を中南部から北上し鷹落浜の上を過ぎると、両側が海に挟まれた狭い尾根上を通ります。陸地の幅は狭いところで150mほどです。 これが1km以上続いた後、再び両サイドの海は遠ざかっていきます。
 左側が東シナ海です。右側に吹切浦という海域が見えています。 その手前側の山の上には反対側の景色が窓ガラスに写り込んでいますが、左右の海域はほぼ全て見えています。
潟湖
潟湖
鹿児島県薩摩川内市上甑島「貝池」

 砂州によって外海から切り離された水域を潟湖と言うようです。左側に長目の浜という砂州が伸びていてその向こうが海になっています。 砂州の手前側にはいくつかの池が並んでいて、この貝池もその一つです。
 水深は15m弱と比較的浅いものの、深部は海水で表層は淡水になっています。 海水の方が重たいので、水面との間で対流が起こらず、酸素の供給が絶たれるため、貧酸素状態で硫化水素が含まれています。 その上面には光合成細菌が20cmほどの厚さでマットを形成しているそうです。
埋積谷
埋積谷
鹿児島県種子島河内

 非常に幅の広い谷が延びています。谷の斜面もそれほど急なようには見えません。 枝分かれしてできている谷底もかなりの幅を持っています。 蛇行した川が曲がって流れる先で山の斜面をけずって(側方浸食)川幅を広げていったのではなさそうです。
 大きな谷があったところに地盤が沈降したことによって、堆積力が増えて谷が埋め立てられてできたようです。
溺れ谷・埋積谷
溺れ谷・埋積谷
愛媛県愛南町 足摺岬上空から

 四国西部の佐多岬から足摺岬にかけては典型的なリアス式海岸が続いています。 写真では、細長く深い入り江が見えます。地盤の沈降によって、深い谷に海が入りこんでできたものです。溺れ谷といいます。
 入り江の奥の方は、川(僧都川)によって運ばれてきた土砂が堆積し平野になっています。ここに愛南町の町並みができています。 溺れ谷が埋め立てられ手できた地形を埋積谷といいます。
水回し
水回し
千葉県君津市「亀岩の洞窟(濃溝の滝)」

 房総半島の山中を流れる川は細かく蛇行しながら深い谷を作っています(嵌入蛇行)。 その昔耕作地を確保するために、川が山を隔てて接近している所にトンネルを掘り、川の流れを近道させました。 迂回していた所には水が流れなくなりますから耕作地として使ことができます。このような方法を「水回し」とよんでいます。
 正面に見えるトンネルが水回しのために作られたものです。中には川が迂回して低くなる分に相当する段差ができ、小さな滝(濃溝の滝)となっています。 川底にある岩が亀岩で、このトンネルは亀岩の洞窟といいます。
嵌入蛇行
嵌入蛇行(先行谷)
四万十川 高知県四万十市上空から

 山地の中を川が曲がりくねって流れているのがわかります。蛇行は、川の曲がりがだんだん大きくなってできます。 ここでは、曲がりが小さかった頃の川があったはずのところは山になっています。川の流れが大きくなってできたものではなさそうです。
 平野の中を川が蛇行しながら流れていたものが、地盤が隆起したことによって川の流路はそのままで深い谷が作られました。 隆起現象を表す代表的な地形です。
 四万十川は右側から左側に向かって流れています。右側に海岸があり、山の中に入っていくようにみえます。
三日月湖
三日月湖
熊本県阿蘇赤水温泉 二重峠から

 阿蘇カルデラ内の阿蘇谷には、現在では本流となっていない川の流路がところどころに残されています。 写真の赤い屋根の建物を回るように川の流路が残されてます。右側の流れの跡は川のように見えますが、左側では流れはなくなっています。 現在の流れは手前側に木が横に並んでいるあたりを左から右に流れています。
 古い川の流れが三日月型に残されているということで、三日月湖とします。自然に川の流れが近道をしたのかはこれからではわかりません。
線状凹地
線状凹地
長野県白馬村「八方池」

 手前の雪渓がある窪地と奥に見える八方池が左側の尾根と平行に並んでいます。 右側にもだいぶ高さが低くなっていますが、左側とほぼ並行に尾根が延びています。 線状凹地とは、平行に走る尾根の間にできる溝状の窪地のことをいいます。 一般的には、同じ高さの尾根に挟まれたものをいう事が多いようです。
 氷河の周辺地域で雪の作用によってできたと考えられていましたが、尾根と平行に山がずり落ちてできたという考えもあります。
雪食谷
雪食谷
鳥海山 秋田県鉾立展望台から

 雪渓にたまった雪がゆっくり滑り落ちるときに、雪が地面を削って作る溝のような地形です。 川の場合と違って底がU字型なのが特徴です。一般的に氷河によるU字型とよばれるものに比べてものすごく小規模な谷です。 滑り方向の断面ではかなりの凹凸しています。
 アバランチシュートに比べて地面の傾斜はきつくはありません。
モレーン堤
モレーン堤(終堆石堤)
富山県立山「山崎圏谷」

 立山の山崎圏谷(カール)の底を見ると、谷を横切るようにいくつかの畝状の高まりが見えます。 氷河が流れてきた先端部で、氷の上に乗っていた岩などが落とされてできたものです。 終堆石堤(エンドモレーン)とよんでいます。
 雪の残っている所が氷河の先端であった所、その手前側の少し高くなった所が終堆石堤です。 氷河が後退していく途中で何度か踏みとどまった時期があり、その時に作られたものです。
 単にモレーンといいますが、これは構成している岩石をいうこともあります。ここでは区別するためにモレーン堤としています。
中央構造線
中央構造線
徳島県剣山付近上空から

 四国東部では中央構造線は、徳島県の吉野川北側の平野と山地の境界付近を通っています。 空から見ると、吉野川沿いの平野の北端から北側の山地に移り変わるところは直線上に並んでいます。 この場所を断層が通っていて、その北側が隆起したようです。
 写真では、右下角から斜めに通る平野に吉野川が流れていて、平野に接する山地との間に中央構造線が通っています。 遠くは、瀬戸内海から中国山地の一部が見えています。
 水平線下のコントラストを強調しています。



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