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ヨッシンと 地学の散歩

散歩道の四方山話


月にまつわる話

 月についての基礎的な話からちょっと深掘りした話などいろいろと集めてまとめてみました。
 なお「日食・月食」と「太陰太陽暦」については別で扱っています。 そちらを参照ください。本章では割愛します。

内 容

1.満ち欠け

1a 満ち欠けのようす
 月は昇ってくるたびに形が少しずつ変わっていきます。ほとんど見えない状態から、まん丸になり、次第に見えない所が増えていって 最後に再び見えない状態に戻ります。見えない所がある状態をかけているといい、このように形が変化するようすを満ち欠けといいます。
 全く見えなくなる状態を朔とか新月とかいいます。 新月の日から月の形がどのように変わっていくようすを写真に撮ってみました。 新月の日を1[日]として、次に月が昇ってきて沈むまでの間を2[日]……というように追っています。 ここで使っている[日]は(太陽を使った)1日とは少し異なります。日付で計算すると翌日になっている写真もあります。 2020年8月20日から9月15日日までの期間、ほぼ毎日確認できました。この期間の写真を優先したので写りの悪いものもいくつかあります。 撮影できなかった日のみ、別の日に写した写真を掲載しています。
 月に見える表面の模様が同じ向きになるように回転しています。大きさもほぼ同じになるように拡大縮小している写真があります。 見やすくなるように画像処理をしている写真もあります。
[日]画像画像の
撮影日時
画像の
月齢
呼び方その他
特記事項
 11日月 2025/ 4/28
18:44
 0.6新月
 22日月 2020/ 8/20
18:51
  1.3二日月
繊月
 33日月 2020/ 8/21
19:57
 2.3三日月
 44日月 2020/ 8/22
19:25
 3.3四日月
 55日月 2020/ 8/23
18:46
 4.3五日月
以下略
 66日月 2020/ 8/24
20:35
 5.3
 77日月 2020/ 8/25
20:28
 6.3
 88日月 2020/ 8/26
19:23
 7.3弓張月撮影日は上弦
(半月)
 99日月 2020/ 8/27
19:08
 8.3
1010日月 2020/ 8/28
21:51
 9.4旧暦10月は
とおかんや
 十日夜
1111日月 2020/ 8/29
22:59
10.4
1212日月 2020/ 8/30
22:04
11.4
1313日月 2020/ 8/31
19:17
12.3旧暦9月は
 十三夜
1414日月 2020/ 9/ 2
00:34
13.6小望月撮影日
は満月
1515日月 2020/ 9/ 3
00:07
14.5望月 十五夜旧暦8月は
中秋の名月
1616日月 2020/ 9/ 3
21:21
15.4十六夜
1717日月 2020/ 9/ 4
22:13
16.4立待月
1818日月 2020/ 9/ 5
21:07
17.4居待月
1919日月 2020/ 9/ 7
08:51
18.9臥待月
寝待月
2020日月 2020/ 9/ 7
23:22
19.5ふけまちづき
 更待月
2121日月 2020/ 9/ 8
22:28
20.4
2222日月 2020/ 9/10
06:41
21.8
2323日月 2020/ 9/10
23:38
22.5撮影日は下弦
2424日月 2020/ 9/12
00:20
23.5
2525日月 2020/ 9/13
12:04
25.0
2626日月 2020/ 9/14
02:43
25.6
2727日月 2020/ 9/15
04:56
26.7
2828日月 2020/10/15
05:57
27.8
2929日月 2013/12/ 2
06:13
28.3水星が接近中

 月が全く見えなく(いちばん細く)なる時を新月(朔)というのに対して、まん丸になる(太くなる)時を満月(望)といいます。 また、きれいに半分だけ見える時を半月といいます。 新月から満月までの間にある半月を上弦、満月から新月までの間にある半月を下弦といいます。 これは月没時に見える半円が弧に対して弦が上にあるか下にあるかに従って名前がつけられています。 上弦の月については、もう少し拡張して新月から満月までの間の月に対してそのように呼ぶこともあります。下弦の月も同様です。

<補足>
「日」について
 2020年9月17日が新月なので、8月20日からの期間は、表に用いた日数では28までになります。 この日数が29になることが時々起こります(後述)のでつけ加えています。
「画像」について
 新月の瞬間は真っ暗になります。時間が少したつと一部が光り始めます。日付が変わった直後に新月になったとします。 夕方月が昇ってくる頃にはかなりの時間がたっていますから光り始めているところができています。そのため新月の日でも月を見える場合があります。 同じように日付が変わる前に新月になるのなら、明け方に新月前の月がこの反対側を光らせて見えることもあります。
 次の新月までの日数が暦月によって変わります。その影響が後半ほど大きく現れ、月の太さと日数(月齢)との関係ははっきりしなくなります。
「月齢」について
 月齢は新月になった瞬間からの日数を数えます。1日に満たない分は小数を用いて示します。 例えば、月齢1.1は新月の25時間12分後から27時間36分後までの月になります。
「呼び方」について
 三日月というのは新月の翌々日の夕方に見える月をいいます。同様な形をしている月に対しても使うことがあります(例:三日月型)。 三日月の翌日の月なら四日月という言い方もありますが、何日までこのように呼ぶのかは人それぞれのようです。
 2020年9月の場合満月の瞬間は2日14時22分なので、この瞬間は月はまだ昇っていません。次の月の出と前の月の入りを比べると 月の出の方が近いので、2日の夕方に昇ってくる月を望月(満月)としています。 一般的にはカレンダーに満月と記載のある日に昇ってくる月を満月としています。その前日が小望月です。 なお、望月(満月日)は十五夜より1日遅くなることもあります。
「特記事項」について
 「撮影日が××」と書かれているのものは、撮影日の特定の時刻に××になっているという意味で、その写真が厳密な××を写しているものではありません。
 14[日]15[日]の月とも撮影時刻が24時をまわったために撮影日付が1日増えています。本来なら「撮影日が満月」は15[日]の欄に書かれることになります。


1b 月が見える位置
 三日月の日の前後の日に月を観察していると、日没時に月の見える位置がだんだん高くなり、南にずれていくことがわかります。 それと同時に月は太くなっていきます。
 日没時に南の空に見える頃には半月型になっています。満月の頃になってくると東から昇ってきます。 これ以後は、だんだん月の昇ってくる時間が遅くなり、立待月、居待月、臥待月となります。それに伴って反対側から欠けていき、 かけている部分も大きくなっていきます。 さらに日が経つと明け方に見えるようになり有明の月と呼ばれます。半月型(下弦)のころには日の出時には南の空に見えます。 以後、日の出時に見える位置はだんだんと太陽に近づき欠けが大きくなって、再び新月を迎えるようになります。
 月の出の時刻が遅くなるのに伴って南中や月の出の時刻も遅くなっていきます。 どのようになっていくのかをここでは簡易的に国立天文台暦計算室のサイトから求めたものを掲載します。 月写真を写した2020年8月の新月から次の新月までの期間について、北緯35度東経135度(兵庫県西脇市日本へそ公園)標高0mで、 周辺に山がないと仮定した時の月の出・南中・月の入りの時刻になります。 これに加えて前回南中した時からみて南中時刻が何分遅れているか(24時間と何分経っているか)も求めています。 なお、表中になしと記載のある欄は、その現象がその日のうちに起こらないことを表しています。
このような計算結果を使って何かの証明をしようとするとき、計算の元になった条件を証明する手段としては使えないことに注意してください。 今回は、計算結果が検証可能でありこのデータが一般的に使用できることから、便宜的に検証されたものとして使うことにしています。


月/日
南中
入り
遅れ
 
08/19
05:05
12:11
19:08
 
08/20
06:15
13:06
19:46
55分
 
08/21
07:26
13:58
20:21
52分
 
08/22
08:36
14:50
20:55
52分
 
08/23
09:46
15:42
21:29
52分
 
08/24
10:55
16:34
22:05
52分
 
08/25
12:04
17:27
22:43
53分
 
08/26
13:12
18:22
23:27
55分
 
08/27
14:17
19:18
なし
56分
 
08/28
15:18
20:14
00:16
56分
 
08/29
16:13
21:10
01:10
56分
 
08/30
17:01
22:03
02:08
53分
 
08/31
17:42
22:53
03:08
50分
 
09/01
18:18
23:40
04:09
47分
 
09/02
18:49
なし
05:09
 
 
09/03
19:18
00:25
06:07
45分
 
09/04
19:44
01:07
07:04
42分
 
09/05
20:11
01:48
07:59
41分
 
09/06
20:37
02:29
08:54
41分
 
09/07
21:05
03:10
09:50
41分
 
09/08
21:36
03:52
10:46
42分
 
09/09
22:12
04:36
11:43
44分
 
09/10
22:52
05:23
12:41
47分
 
09/11
23:39
06:13
13:38
50分
 
09/12
なし
07:06
14:35
53分
 
09/13
00:33
08:02
15:28
56分
 
09/14
01:35
08:58
16:16
56分
 
09/15
02:42
09:55
17:00
57分
 
09/16
03:52
10:50
17:40
55分
 
09/17
05:03
11:45
18:16
55分
 
09/18
06:15
12:38
18:51
53分

 ところで、月の満ち欠けの大きさと太陽の位置との関係はどうなっているのでしょう。 新月の前後は太陽に非常に近づいていくのと、時によって日食が起こる事から太陽と月の位置はほとんど同じだと考えられます。 満月の時は太陽が沈むのとほぼ同時にでてきますから、180゚離れているのはわかります。その他の時はどうでしょう。
 満ち欠けの大きさは、見えている部分のいちばん太いところの面積が月の直径に対してどれくらいあるかで求めるのがいいでしょう。 この値は輝面率と呼ばれています。ところが写真から判定するのは難しそうです。 というのは露出が変わると欠け際の位置が変わって写るからです。表面の模様の濃さが違っていても位置が動いているように見えます。 特に月が細いときにはその傾向が顕著です。そうもいってられないところもあるので、ここでは半月(上弦)の時を例に考えることにします。
 太陽と月などの天体との角度を離角といいます。 直接測定可能ですが、ここでは上弦の月没時の遅れから求めてみることにします。 月が1日の中で起こっている運動(日周運動)の速さはほぼ一定なので時間は角度の大きさを示していることになります。 ただしこの方法では南北方向のずれは測定できません。

 離角を知る方法はあるのでしょうか。実際に測定してもいいのですが、観測したデータが必要になります。ここでは表の羅列は避けたいので別の方法を考えます。 とりあえず、新月の時は太陽と重なっているとします。そうすると、南中がこの日に比べて遅くなる時間は太陽との離角を示します。 月没時とかを使ってもいいのですが、月と太陽が南北にずれているとその影響が出てきますのでここでは影響のでない南中時を用いることとします。
 わかっているデータを使って上弦の時の離角を求めてみます。それには上弦がいつなのかを確認しないといけません。 厳密にするはこれも観測が必要ですが、簡易的に掲載の写真から確認することにします。 まず、7[日](8月25日)では真ん中より少し少なめ(欠け際が明るい側に湾曲)の形になっていることがわかります。 同じように8[日](26日)は反対で少し多めになっています。このことから、上弦は7[日]と8[日]の間に起こっていることがわかります。
 25日までの遅れの時間を合計すると(南中時刻の差でもよい)316分です。 1日は1440分ですから、割り算をして遅れを1周の大きさに換算するとに0.22になります。 角度では79゚です。同様に26日だと遅れは371分で、これは0.26周=93゚に相当します。 上弦はこの間になりますから、上弦時の離角は中をとってほぼ90゚に近い値が求められます。 この方法ではこの程度の精度が限界のようです。


1c 満ち欠けがおこる理由
 どうして月が満ち欠けをするのかを考えることにします。そのために観察事項から考えられることを整理します。 まず、月に欠けているところがあるということです。この部分は暗くなっていますから月は自ら光っていないことがわかります。 逆に、光ってみる部分については2通りの考えができます。自分で光を放っているか、何かの光を受けて光って見えているのかの2つです。 前者とした場合、自分が光を放つしくみやそれた周期的に移動してい行くしくみを考えるのは難しそうです。不可能といっていいでしょう。 逆に後者とした場合、望遠鏡で欠け際を見ると地形の凸凹のようすがよくわかるし、眺めていると高い所が作る影の長さがだんだん変化していくようすもわかります。 月は何かの光を受けて光っていると考えていいでしょう。
 それでは、月が受けている光はどこからやってくるのでしょうか。地球の場合だと太陽からというのははっきりしています。 月の場合も太陽と考えるのがよさそうです。違うところからと仮定した場合はそれが何なのかを探さないといけなくなります。 夜空を観察してみてもそのようなものはなさそうです。照らされているものよりも明るく見えるはずです。 月よりも明るく光っている天体は太陽以外にはありません。太陽としていいでしょう。
 これだけでは、月の形が変化することが説明できません。何かヒントになるものはないか探してみます。
横から光があたる球
地球儀に横から光をあててみた
 ボールのような球形のものがあって横から光があたっているとすると、光のあたっている側が明るく反対側は暗く見えて半月型のようになります。 光の位置を向こう側にずらしていくと三日月型、手前側にずらしていくと半月より膨らんだ形に見えます。 だとすると月の形はボールのように丸いと考えると形の変化が説明できそうです。

 丸い形なのかどうか確認します。 望遠鏡で月の欠け際を見ると地形の影が伸びているのが見えると書きました。影が伸びるのは太陽が地平線(月平線?)に近い方向にいることを示しています。 半月の時は欠け際は真ん中にあって太陽は横方向にある事がわかります。
 半月から少し進んだ日を考えてみます。欠けているところは狭くなります。 欠け際は半月の時には日が当たっていませんでしたから、半月の時の欠け際よりも地球から見て遠いところにある事になります。 逆に近ければ、半月の時に日が当たっていたはずですからこの時には見えていないといけません。 そうでないので欠け際の月面はそれまでより手前側ではないことを示しています。 月面上の欠け際の位置は地球から見て遠ざかったところにあります。
 さらに時間を進めて考えると、欠け際の位置が地球からどんどん遠ざかっていくことがわかります。 これは時間を遡っても同じです。上弦でなく下弦の時を考えてもいいでしょう。 上弦の時に光っている部分も中心から離れるに従って遠ざかっていくことがわかります。 新月や満月の時を基準にして考えれば、月面は地球方向に膨らんだ形になっているといえます。

 満ち欠けがどうして起こるかを考えるために、月の位置と満ち欠けの関係を図面(下図)に書いて整理してみます。
 月の形はどれくらい膨らんでいるのかわかりませんが、とりあえず球形としておきます。 違っていてもそれほど影響がないと考えられます。図面真ん中に地球があるものとします。青丸印で示します。 ここから図面上に立って月をみているものとします。 太陽の位置は図面上の上側(の遠方)にあるとします。 月の位置は図面より手前とか向こう側の位置にあるかも知れません。太陽−地球を軸にして回転させ図面上に持ってきて示します。 地球から月までの距離は変化させると複雑になりますから、拡大縮小して一定の距離となるようにして書きます。 この時の月がある位置を結ぶ線を黒円で示しています。これは現時点では月の軌道を示していませんが、そのように解釈してもらってもかまいません。 地球を中心とする円になっています。
 円上に月を配置します。月のどの部分が光っていて何処が影になっているかも示すことにします。 月の上側は太陽に照らされていますから黄色で、下側は影になっていますから黒色で塗りつぶしました。 地球から見える位置は地球側半分になりますからその境界線を緑線で引いています。
 次に地球から見て月がどのように見えるか考えてみます。この月は円上にならべた月の外側に配置します。 外側に配置された月で、地球(図面中心)側は下方向(天の南極方向)を示しているものとします。
満ち欠けがおこる理由
 内側の月で、緑線、明暗境界線とも月の中心を通っています。この2線の交点は実際に月を見たときの欠け際の端っこになります。 この位置をカスプといいます。平面図で書いています。実際には月は膨らんだ月で形をしています。 立体的に考えると月の表面で最も手前(上・北)側と向こう(下・南)側に離れた位置にあたります。 外側に配置した月でこの位置は、地球に近い位置と離れた位置に配置しています。図面で向こう方向を地球に近い側に置いています。 それぞれの状態ごとに図面を回転させると実際の形がわかりやすくなるでしょう。 内側の月にある明暗境界線の地球側の端は、月の欠け際が月にどれくらい入りこんでいるか(輝面率)を示しています。 対応する位置を赤線で結んでいます。他にも月の横端になる位置も赤線で結んでいます。

 順番に見ていきます。月は太陽に対して左側にずれていきますから上から左回りの順番に見ていきます。
 まず上にある月です。太陽と同じ方向に見え、光のあたっていない面だけが見えていますから真っ暗な月になっています。 これが新月です。この月は太陽にくっついて動きます。日の出の時に昇り、真昼ごろに南中して、夕方陽が沈むと同時に沈んでいきます。
 左上の月です。この月の真ん中付近にはまだ光があたっていません。月は半分より大きくかけた三日月型に見えます。 太陽の左側に少し離れたところにいますから、日没時には南西の空に見えることになります。 月はまだそれほど明るく光っていないので太陽が高くに昇っている時間帯は見えないようです。
 左側の月です。ちょうど真ん中まで光があたっているように見えます。欠け際は直線となります。これが上弦です。 太陽に対して90゚離れた方角に見え、春分秋分の頃だと日没時には南中する位置になります。 前項で求めた上弦が太陽から90゚離れているということに一致します。 この頃になると天気にもよりますが昼間でも見えるようになっています。
太陽−月−地球の角度が90゚のとき月はちょうど半分だけかけているように見えます。 ところで、上弦の定義(国立天文台による)は太陽−地球−月の角度(離角)が90゚になったときとしています。 太陽が無限遠方になる時は両者の角度は同じなのですが、実際には有限の距離にあります。 その影響で、ちょうど半分かけるときは上弦よりも少し前となります。 上弦の月は半分より少し太めになっています。

 以下同じように見ていくことができます。下の位置が満月で太陽の正反対側に見えます。日没時に昇ってきて真夜中に南中し日の出とともに沈みます。 右の位置が下弦で左側半分だけ光った月が見えます。


1d 月の傾き
<日周運動による傾きの変化>
 上弦の頃の夕方、月を見るとまっすぐな欠け際(弦)が垂直に立って見えます。時間が経って沈む頃になると斜めになっています。 夕方に比べて月は傾いています。天気がよければ昼過ぎでも月が見えることがあります。その時の月は沈む月に比べて反対側に傾いて見えます。
月の傾きの変化
月の傾きの変化 2026年 1月27日撮影
左:13時57分 中:18時33分 右:22時30分
東の空    南の空    西の空

 見てわかるのは欠けた月は模様もいっしょにそのまま回転して見えるということです。欠け際線だけが回転しているのではありません。
 見える方角によって傾きが変わるというのは星座でもあります。 例えば、さそり座は東の空に昇ってくるときはオリオンのようすを伺うように 頭を先に出して 西の空に沈むときは反対側にオリオンが出てくるとさっと隠れるように 横になって沈むという話があります。
 もう一つ見える方角によって変わるものがあります。星や月、太陽が時間が経つにつれて動いていく向きです。 東の空だと右上に、 南の空だと右に (こちらこちらにもあります)、 西の空だと右下に移動していきます。 このような星の動きは 天の北極(北極星)を中心とした回転運動 となっています。 星の動く向きは北極星に対して直角方向になります。星に対して北極星が見える方向に対して直角方向に移動することになります。。 この動きは日周運動と呼ばれています。 東の空だと北極星は左上方向にあります。南の空だと真上、西の空だと右上になります。月の形はこの方向にあわせて傾いて見えます。


<月面の欠けている位置>
 月の満ち欠けにある特徴があります。欠け際が月の縁と接しているところをカスプといいます。欠け際の端っこと見ていいでしょう。 写真はこれがほぼ上下になるように月の向きをそろえています。このようにしてみると、月の表面に見える模様がどれも同じ向きになっているのがわかります。 これはカスプがある位置は月面上ではいつも同じ場所だということを示しています。
 このことから、月からみると決まった位置に太陽があることがわかります。その位置は、カスプを結ぶ線に直角な平面上の位置です。 これは、太陽は月を中心に回っているように見えることを意味します。実際には地球のまわりを公転しているわけですからあり得ないことです。 でも、月の地球を中心とする公転面と地球の公転面が一致していればこのように見えます。 実際に天球上の太陽の通り道(黄道)と月の通り道(白道)を比べてみるとほとんど一致しているのがわかります。厳密には5゚ほど傾いています。 さらに、月の自転軸の方向と公転軸の方向とが一致しないとカスプはいつも同じ所にはできません。
 月が新月の時に日食、満月の時に月食になるはずですが、いつもそうなるとは限りません。これは黄道と白道が一致していないからです。 新月の時に日食になっていないときは、太陽の南か北側を通ります。南側を通った時は北側に太陽がありますから北側が細く光って見えているはずです。 実際にはこの頃の月は空が明るくて見えませんから確認できません。
 満月の時はどうでしょう。地球の影の中心から少しはずれたところを通ります。 影の中心は太陽から正反対の位置、言い換えれば180゚離れた所で太陽から最も遠くなっています。 影の中心よりも南側を通過すれば月面の北側の方が太陽から遠くなりますのでこちら側がほんのわずかですが欠けて見えます。
 下の写真は2025年11月6日満月約3時間後の月の写真です。月の向きは満ち欠けの図にあわせています。どちらが欠けているかわかりにくいのですが、 月の上端の線は滑らかなのに対して下端の線はぎざぎざしています。これは、下端側は月面地形の凸凹によって影が伸びているのがみえているからです。 上端側では影が裏側にできます。山の凸凹はわからないので滑らかにみえます。これは月はいつも欠け際がぎざぎざし、反対側が滑らかに見えるのと同じです。 この月は下(南)側が欠けているといえます。
南側が欠けた月
下(南)側が欠けた月
2025年11月 6日01時17分 満月3時間後


<三日月の傾きの変化>
 三日月の頃の月の傾きはどうなっているでしょうか。3月に写したものと10月に写したものを見比べてください。
三日月(受け月)
2025年 3月 1日18時56分 月齢は1.4
下の星は水星
三日月(弓月)
2025年10月23日17時33分 月齢は1.8
色・明るさ・コントラストを調整

 見て気がつくのは月の傾きが全然違うということです。3月の方は横になっています。「受け月」という言い方をすることがあります。 願い事を唱えるとこぼれないように受け止めてくれるのだそうです。名前の由来ははっきりしませんが、小説の題名にもなっています。 ことばがあって小説に用いたのか、小説からこの名前がついたのかはわかりません。他に盃とか舟にも例えることがあるようです。
 10月の方は月が立っています。この形の月について特に名前がつけられてはいないようです。 何となく横にある太陽の塔と形が似ているようです。勝手に「弓月」と呼んでいます。 和弓を構えたときの形に似ているからです。立っているから「立月」ともいいそうです。 弓張月というのがありますが、こちらは半月(上弦)の月をいうようです。
 大きな違いはもう一つあります。空の明るさです。3月はほとんど真っ暗になっていますが、10月はまだ夕焼け色に染まっています。 夕焼け色を消去する処理をして月を際立つようにしていますからもとの状態がわかりらなくなっていますが、 下の方に行くに従って赤っぽくなっているのは夕焼け色に染まっていた名残です。
 時刻で比べてみます。10月の方が約80分早くなっています。 日没時刻は10月の方が約40分早いので、日没後の時間で比べると10月の方が40分ほど短いことになります。 時間が短いのは太陽に近いように見えますが、月齢で見ると10月の方が大きいので、10月の方が離れているはずです。 日没後の時間で比べるとどう考えても10月の方が短いようです。
 月がいつでも同じ速度で沈んでいきます。時間が長いのならそれだけ移動量が大きいことになります。 沈む角度もいつでも同じですから、太陽が沈んだときに月が見える位置も高いことになります。 実際に比べてみると、10月の写真で左側にある建物の上端と3月の写真で下方にある林の上端はほぼ同じ高さです。 明らかに10月の写真の方が低いようです。
 日没時に太陽から決まった距離にある月を考えてみます。太陽を中心とする円上のどこかに月がいることになります。 月が高い所にあるのなら、太陽は下の方にあります。月は下から照らされて横に寝た形になります。 低いところのあるときは、太陽は横の方にあります。横から照らされて立った形になります。三日月の傾きと高さは関係しています。

 それではどうして3月と10月では高さが違うのでしょうか。太陽と月はほぼ同じところをとっているということなので太陽で考えてみます。 春分の日の夕方太陽は6時頃に沈みます。24時間経った翌日もほぼ同じ時刻に沈んでいきます。しばらく同じ時刻に太陽の位置を見ているとどうなっていくでしょう。 だんだん右上に移動していきます。それと同時に日没時刻が遅くなり、沈む位置もだんだん北に寄っていきます。 最終的には夏至の頃に一番遅くなり、もっとも北の場所に沈みます。
 これは、地球の公転軸と自転軸の方向が一致していないことから生じています。一般的には地軸が傾いていると表現され、その角度は23.4゚です。 このため地球自転面である天の赤道や日周運動の方向に対して黄道が傾きます。春分や秋分の頃だと面の交線の方向から見ていますのでその角度は23.4゚です。 春分の頃だと天の赤道に対してこの角度分大きく傾いて、次第に太陽の日没が遅れ北で沈むようになります。 この頃の黄道の傾きは北緯35゚の地点で水平線に対して約78゚(35゚+23゚)になります。秋分の頃だと約22゚です。
 この時に後を振り返って見ます。東の空水平線近くには秋分点があります。黄道は立ったままです。秋分点に太陽がくる日は秋分の日です。 秋分の頃だと明け方の東の空では黄道が立った状態になっています。 黄道そのものは見えませんが、地球の公転面に沿って彗星などがまき散らした塵がたくさん漂っています。 これが太陽に光を受けて夜明け前とか日没後にぼんやりと光って見えることがあります。 黄道光といいます。 黄道光は低い位置のものは見難いので、角度が大きな春分の頃の夕方か秋分の頃の明け方が観望の好機とされています。
 話を月に戻します。月もほぼ黄道に沿って動いていますから、黄道上を動けばどうなるかを考えればいいことになります。 どちら向き(上か下か)を考えないといけませんが、新月から日を追うごとに高くあがっていきますから太陽と同じ方向とわかります。 春分の日では、黄道がほとんど立っていますから日没時の月の位置はまっすぐ上がっていくことになります。従って下面が照らされた受け月となります。 秋分だと寝ていますから、高さはほとんど上がらずに横に移動していくように見えます。右側が照らされ弓月となります。
 このような月の動きは実際に確認することができます。日没時に月がどこにいるか、その後月がどこに沈むかをみればいいでしょう。 春分の頃だと新月から日が経つに従って急速に高度が上がっていき、沈む位置は上弦の頃にもっとも北に寄ります。 秋分だとそれほど高度が上がっていかず、上弦の頃にもっとも南に沈みます。
 新月前の明け方に見える細い月の場合は、傾きはこれと逆になります。春分の頃は弓月で秋分の頃に受け月となります。
 2枚の写真に写っている月の位置の比較のために撮影位置の関係がわかる写真を示します。必要のない情報が写っている部分にぼかしをかけています。 3月の方が右(北)に寄っていて高い位置にいることがわかります。なおこの頃は、太陽も日によって沈む位置が大きく変わります。 春分の日・秋分の日からの日数は10月の方が10日ほど多くその分8゚(画像横幅の約1/4)程南に沈むことを考慮して見てください。
写真位視野範囲の比較
写真視野範囲の比較
 春の夕方・秋の明け方の細い月は受け月、春の明け方・秋の夕方では弓月になります。

<月の水平反転現象>
 下の写真を月がどちらに傾いているかに注目してみてください。 左下に写っている避雷針を平行移動させてきて白黒反転して重ねています。これは垂直(重力)方向の基準としていいでしょう。
水平反転月
水平反転月
2021年10月 5日04時38分
 左に傾いているように見えるのですがどうでしょう。水を入れると左側からこぼれる状態です。それでどうしたのかという疑問が出てくるかも知れません。 三日月は基本的に左に傾いています。でも、撮影時刻を見てください。夜明け前の東の空ということがわかります。東の空ですから右に傾くのが普通です。 月の表面に見られる模様からもこの月は下弦の月であることがわかります。わずかですが傾く方向が逆になっています。
 三日月(型の月)が本来と反対方向に傾いて見える現象を「月の水平反転現象」といい、このような月を水平反転月と呼ぶことにしています。

月太陽の配置
2021年10月5・6日の太陽・月の配置
(恒星固定)
 それではどうしてこのようなことが起こるのでしょうか。この時の月と太陽の位置関係から考えてみます。 そのようすを右図(ステラナビゲータ7で作成)に示します。 6日の太陽中心が水平線上にあるときの恒星位置が重なるようにして5日の太陽月の位置を入れています。 黄線が黄道(太陽の経路)、右上がりの赤線が星や太陽が昇っていく方向、左上がりの赤線が天の北極(北極星方向)、 青線は垂直線と等高度線で10゚間隔に引いています。月の真ん中あたりを白線で結んでいます。
 秋分前後の明け方ですから黄道が垂直に近い角度で立っているのがわかります。 月は太陽よりも北側を通っています。5日では太陽よりもわずかに左側にいますから下方わずかに右寄りが光って見えることになります。 4日は入っていませんが月の動きが大きいことで太陽の右側にいることになりふつうの欠け方になります。 6日はもっと傾いた月が見られそうですが、太陽との高度差があまりないので月が昇ってくる頃には空が明るくなりすぎていて月は見えないでしょう。
 受け月が太陽との位置関係の影響を受けて水平反転現象が起こります。

 秋の明け方に水平反転した年を考えてみます。春はどうなっているかという問題があります。 秋の太陽はおとめ座の方向にいます。春ならうお座です。ちょうど反対側です。月もこの位置にいることになります。 秋に太陽の北側に月がいたとすると、春はその反対の南側にいることになります。 春の夕方の空は、図を裏側から見たの(左右反転した)と同じになります。水平反転現象が起こるのは月が北側にいる時にかぎられます。 これでは水平反転現象は起こらないでしょう。
 水平反転現象が起こるのは、春の夕方か秋の明け方のどちらかだけになります。春に起こったから秋もというようにはなりません。

 2021年の月は太陽の北側を通っています。月が通る道筋(白道)は黄道と2ヵ所(昇交点と降交点)で交わります。 もしここに月がいるときに新月になれば日食が、満月になれば月食が起こります。月と太陽が重なるので当然です。 日食や月食が起こる時期は年々ずれています。2025年のように春秋に起こる年もありますが、2021年のように夏冬に起こる年もあります。 2021年は昇交点・降交点の位置が夏冬に太陽がいる位置(夏至点・冬至点)の近くにあることを意味しています。
 2021年秋の明け方新月の日で考えてみます。東の空太陽がある方向に秋分点があります。 秋分点は夏至点・冬至点から90゚離れていますから、昇交点・降交点は太陽から90゚離れた位置にいることになります。 昇交点・降交点から90゚離れた位置で2つの線(この場合黄道と白道)はもっとも離れます。 2021年は月が太陽からもっとも北か南に離れたところにいることがわかります。ただし、どちらに離れているかはこれだけではわかりません。
 夏や冬に日月食が起こる年は、春か秋に水平反転現象が起こるといえます。春になるか秋になるかは交互ということだけはいえます。

 写真の撮影日前後では4日はふつうの傾きの月が見られると書きました。水平反転して見える期間(日数)は短そうです。 どれくらいの期間(日数)水平反転しているのかを本州中央(北緯35゚)秋分の日の日の出時で考えてみます。 この時黄道の傾きは78゚になります。白道は黄道から最大で5゚離れます。月が太陽の真上にあるとして、新月位置までの(日周圏)角度は 5゚×tan78゚から24゚が求められます。月は1日で約12゚動きますからほぼ2日分となります。
正確には5゚×tan78゚÷cos5゚です。違いは誤差範囲内なので無視します。他にも日周運動による傾きの変化といった誤差要因があります。

 本州中部では水平反転が起こるのは最大で新月の前後2日間(48時間)ほどに限られます。

 日月食の時期がずれて元に戻るまで18年かかります。2021年から18年経った2039年は黄道と白道の位置関係が元に戻りますから、 2021年と同じように秋の明け方に水平反転月がみられる事になります。 18年の半分の9年だとどうでしょう。この年でも夏冬に日月食が起こります。同じと思えますが、実際には昇交点・降交点が入れ替わっています。 秋の明け方新月の頃は、月が北にずれていたものが、南にずれるようになっています。逆に春の夕方だと南にずれていものが北にずれるように変わります。 水平反転現象が起こる条件になります。
 2021年から9年後の2030年頃には春の夕方の空に水平反転月が見られそうです。

 星や太陽などが昇る角度は北に行くほど小さくなります。 このために黄道が昇る角度も小さくなりますから、新月前後で水平反転して見える日数は少なくなります。
 逆に南に行けばどうなるでしょう。角度が大きくなり益すから、水平反転して見える期間は長くなります。 極端なことをいえば、南半球では月の傾きは北半球とは逆になります。あたりまえに水平反転して見えます。 地球上のどこかで傾きが変わるところがあるようです。特異な地点で秋の明け方を中心にどうなっているかを考えてみることにします。 南半球については省略します。
* 北緯28゚(23゚+5゚)の場合です。 降交点(黄道に対する白道の降交点:以下しばらくの間簡略化します)が東の空にいると白道の傾きは黄道の傾きより5゚大きくなります。 黄道の傾きは90゚−緯度ですから、白道の傾きは90゚になります。白道はまっすぐ立ってみえます。月は白道上を通りますから、月は必ず太陽の上に見えます。 月の弦は水平になります。これより南の地点では水平反転となるでしょう。 これは、下弦の月でも満月直後の月でも同じです。日数でいえば満月直後のほぼ半月間になります。 注意して欲しいのは水平になるのは日の出時のみです。時間を遡ると月は日周運動で南側によった位置にいましたから、ふつうに傾いていみえるようになっています。 もう一つ注目することがあります。降交点が東の空にありますから、この年は日月食が春秋に起こる事になります。 夏冬に日月食が起こる年に限られていたものから期間(年数)が増えています。
* 北緯18゚(23゚−5゚)です。昇交点が東の空にあっても白道は垂直になります。この時のようすは北緯28゚で書いたことと同じです。
* 赤道上です。季節・昇交点降交点に関係なく、明け方夕方の月は太陽より南側(天の南極側)にいるときは通常(北半球での)どおり、 北側にいるときは水平反転になります。
 南に行けば、水平反転現象の起こる期間(日数・年数とも)長くなっていき、 南半球ではふつうに水平反転が起こるようになります(水平反転といっていいのかという問題があります)。

1e 地球照
 三日月の頃の月を眺めていると、欠けている側がぼんやりと光っているように見えることがあります。この現象は地球照と呼ばれています。 この時に月面に立ってみると、地球が満月のように明るく輝いて見え、その光で月面が照らされて見えることに由来した名前です。 満月の時に外に出てみると地面がわりと明るく見えるのと同じ原理です。
地球照
地球照
2026年 1月21日18時 4分
 ところで、月面に立って地球を見たときどのような形に見えるでしょうか。 新月の頃ならまん丸で、上弦の頃なら半月型で左側が光って見え、満月の頃ならほとんど見えません。 月と欠けて見える部分光って見える部分の関係が全く逆になっています。
 地球の形の変化に伴って照らされる明るさも変わっていきます。まん丸に見えるときが一番明るく、日を追うごとにだんだん暗くなっていきます。 地球から見て新月の頃の地球照が一番明るく満月の頃には見えなくなっています(できる場所も狭くなります)。 地球照を見ようと思えばできるだけ月が細い方がチャンスのようですが、あまり細いときは空が暗くならないうちに沈んでしまうのではっきりと見えないでしょう。 同じ(夕方の)三日月でも、春の方が高度が高く、沈むまでの時間が長いので地球照を見やすくなります。 夜明け前の細い月なら秋がいいでしょう。
 地球照を見るのなら春の三日月、秋の夜明け前の細い月がチャンスです。

 ところで、地球照の明るさを調べると地球が月面をどれくらいの明るさで照らしているのかがわかります。 というのは、月の明るい部分の明るさは太陽に照らされた光を月面がどれくらいの割合で反射しているかを示しています。 この割合は月に限らず反射能とかアルベドといいます。太陽の明るさは地球の場合と同じと考えられますから、月面の反射能は簡単に求められます。 月の反射能がわかるので、地球照の明るさから逆算して地球が照らす明るさが計算できるというわけです。
 地球が照らす明るさから、地球が太陽の光をどれくらい反射しているか求められます。地球の反射能ですね。 月から見る地球は太陽よりも大きく見えますからこの影響もありますが、これも考慮に入れて地球の反射能が計算されています。
 地球照の明るさから地球の反射能(アルベド)が求められます。

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